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ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

エッセイ ユーミンの、島の「校歌」

2010-02-07 21:43:33 | エッセイ
これは、昨年、地元紙に掲載したもの。最後に出てくるブログは、当然、このブログのこと。

 先日、NHKの「ソングズ」という番組で、2週続けてユーミン(松任谷由美)の特集があった。
 一週目は、結婚前の荒井由美時代の、「やさしさにつつまれたなら」、「瞳をとじて」、「卒業写真」などを中心に。
 この時期の彼女の歌には、不思議な透明感がある。
 「瞳をとじて」は、長崎の五島列島のある島の高校の愛唱歌。そんな歌をもてる学校は、“いいよな、うらやましい”とずっと思っていた。番組によれば、島の名は奈留島、学校は奈留高校というのだと。
 三十五年前、ユーミンがDJしていた深夜のラジオ番組に、ある高校生の女の子が、自分の学校の校歌を作ってほしいとリクエストした。そして、実際にユーミンが作ってプレゼントした歌が、「瞳をとじて」。聴いていると自然に、島のまわりに広がる海の、光る水面がイメージされる。
 その女の子の当時の同級生が、フェリー会社に勤めていて、今でも、高校を卒業して島を出て行く若者のために、フェリーが出港するとき、この曲をかけているという。
その当時は、校歌にはできなかったようだが、今となっては、その高校にとって、さらには、島の人々にとって校歌を超えた宝物だ。
 別のシーンでは、長野県の中学校の卒業式で、卒業生による「卒業写真」のコーラス。渋めの、仕立てのいいスーツを着たユーミンを前に。これも、泣ける。
 ユーミンは、時代の半歩先を行くと言われていた。それこそ、三十五年前に。前衛に先走りしすぎず、時代の半歩先の空気を捉え、みんながあこがれる新しい世界、新しい生活のかたちを創っていく。二十一世紀の現在の日本を創った人物(の、少なくとも最も重要なひとり)だと言って過言でないと、ぼくは思っている。
 ちょっと宣伝をさせていただければ、いま、「湾」と銘打ったブログで、これまで詩誌「霧笛」に書いた詩を掲載している。ユーミンの「やさしさにつつまれたなら」と「中央フリーウェイ」を本歌取りの本歌にして、日常生活の奇跡、とまではいかないけれど、ちょっとした奇妙な符合みたいなことを書いた詩が、「新・中央フリーウェイ―日常生活の奇跡―」。よろしければ、ご一読のほどを。
 ところで、今の気仙沼高校の校歌は、加古隆作曲で、統合前の鼎ヶ浦高校のイメージソング「咲き競う花の憧れ」を書いたのも加古隆。これは、校歌とあわせて、引き続き大切に守っていくべき宝だ。われわれ男子校の旧気高生にとって、鼎ヶ浦の女子生徒は、憧れの咲き競う花々であったことはいうまでもない。
 加古隆は、気仙沼の港の「海の道」のテーマ曲も書いている。これも、もちろん、忘れられるようなことがあってはならない。
 (ブログ「湾」http://blog.goo.ne.jp/moto-c/ )

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