世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

劉備玄徳

2014-01-03 05:25:49 | 天使の小窓

暖かき天使である。
彼は指導者というよりも、みなの仲間という感じで人間に接した。仲間を暖かく包み、みなででっかい良いことをしていこうという天使だった。

だが彼は、ある悲劇的な事件により、二十代そこそこという年齢で急死した。存命中にできたことは、ある悪党をこらしめるということだけだった。ゆえに三国志は、すべてが偽史である。

なぜこういうことになったのか。それは、この人生を機に、この天使が人類の天使から撤退したからだ。その寒さのゆえに、彼を惜しんだ人間たちが、彼の人生を六十代まで伸ばし、彼を皇帝にまでのしあがらせ、壮大な偽史を創作したのだ。

実に、これは真実である。

このように人間は、天使を失うたびに、未練をひきずって過剰反応をする。三国志が今も人間の心に響いているのは、劉備玄徳の暖かさを、人間が忘れられないからだ。



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