世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

夏⑥

2018-01-08 04:13:03 | 風紋


自分が働いて、みんなを養うのにも限界がある。助けてくれる兄弟もほとんどいないし、自分だけで育てるには七人は多すぎた。

しばらく考え込んだ後、ユカダは子供たちを見て、半ばぼんやりと言った。

「コル、こっちに来なさい」
すると、子供たちの中から、小さめで幾分暗い顔をした子供が顔をあげた。いたずらな顔をしたほかの子と比べると、どこか線が細く、思い深そうな顔をしている。男の子だ。

コルと呼ばれた子供は、川から上がり、黙って母親に近づいてきた。

ユカダの頬に涙が流れた。




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