世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

青い鹿①

2017-12-17 04:12:47 | 風紋


夢の中で、アシメックは冬の星を見上げていた。あれはカシワナカの星だ。

まだ宵の口だというのに空は漆黒に近く、星はまるで月のように大きく見えた。

まだ冬の最中だが、春はそう遠くない。アシメックは星を見上げながらそう思った。春がくれば鹿を狩ろう。みなが喜ぶだろう。

そう思いながら、アシメックは何かを感じて後ろを振り向いた。

するとそこに、山のように大きな青い鹿がいた。

おまえはだれだ、と鹿は言った。

アシメックは自然に笑い、アシメックだ、と答えた。

鹿は顔をそびやかせ、不満のありそうな顔をした。そしてまた言った。

おまえは、仲間を守ったのか。

今度はアシメックが不思議そうな顔をした。こいつはだれだろう。どこかで見たような気がするが。




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