フランソワーズ・デュパルク、18世紀フランス、ロココ、女流。
美しい絵だね。この時代の女性にはお針子くらいしか良い仕事がなかった。ほかのことを勉強することなどほとんどできなかったからだ。それも収入は微々たるものだ。女性は早く結婚するか、美貌を武器に金持ちの囲い者になるか、それができなければ苦界に身を落とすしかなかった。そういう世界において、こういう美しいお針子の姿は、まるで女性が心に描く切ない幻のようなものだ。自分の力で生きていくことができればそうしたいという、女性にとってはかなわぬものに近い願いなのだ。デュパルクについては、スペインで生まれてフランスで活動していたということしかわからない。だが画家は、自分と同じ女の運命を、このモデルに感じていたのかもしれない。