エリヒュー・ヴェッダー、20世紀アメリカ、象徴主義。
メデューサは特に悪いことをしたわけではなかった。ただ美しかったというだけで憎まれ、恐ろしい怪物にされてしまったのだ。人々は彼女を指さしては言われない噂を語った。あいつを見れば石になると。ペルセウスは英雄だということになっているが、本当は親に大幅に下駄をはかせてもらった若造でしかない。そいつはメデューサを殺し、アンドロメダを選んだ。メデューサは美しいだけでなくかなり賢かったからだ。アンドロメダは美しいが難しいことはできない頭の弱い女だった。要するに男は、本物の美女より偽物の美女を選んだのだ。そのほうが、自分の正体を見破られずに済むからだ。セックスも簡単にできる。アンドロメダを助けて結婚したペルセウスが、本当に幸せだったのかを語る神話はない。