世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

戦争の結末

2016-09-06 04:13:24 | 霧の風景


ヴァシリー・ヴァシリエヴィチ・ヴェレシチャーギン、19世紀ロシア、写実主義。

見事な直喩だ。結局のところ、戦争が生産するものは、こういうものなのだ。
ヴェレシチャーギンは露土戦争に従軍し、その悲惨な現実を間近に見た。彼は戦死者や負傷者など、戦争に参加する人間の一人一人に迫った作品を多く描いている。自らも日露戦争で戦死した。戦争を指揮する王や英雄は誇り高く美しく描かれるが、実際の戦場はそんな生ぬるいものではない。醜く悲惨な現実がいくらもある。命を取り合うけんかなど美しいわけがないのだ。
石くれのように積まれている頭蓋骨の一つ一つに人生があり、愛があり、美しい価値があった。それを戦争は大量に悲惨にひき潰すのだ。戦争を指揮したものは、この一つ一つの人生に対して責任を持たねばならないのである。
我欲のために起こされた戦争ほど、醜いものはない。





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