大分単身赴任日誌

前期高齢者の考えたことを、単身赴任状況だからこそ言えるものとして言ってみます。

読んだ本―「資格を取ると貧乏になります」(佐藤留美著:新潮新書)

2014-02-20 08:34:35 | インポート

刺激的なタイトルの本ですよね。書店で見かけてつい買ってしまいました。奥付を見ると「2014年2月20日発行」ですので、出たばかりの本です。

本書で取り扱われている「資格者」は、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士です。これらの資格者の「悲惨な現状」が、これでもか、という感じで示されます。

これについては、それぞれの資格者の全体を正しく示しているのわけではないと思いますが、特に「新人」について「そんなこともあるのか」という感じで、私たちの現状と照らし合わせて読んでおくのは、面白いし有意義なことだと思います。

「資格業」が苦境に陥っている原因として、弁護士・公認会計士の場合は、「国策」(の誤り)が指摘されています。制度改革にあたって、そもそも目標設定が正しかったのか? 目標実現へ向けた方法が正しかったのか? それに対する資格者自身の対応はどうだったのか? というようなことを、他山の石として見ておく必要があるでしょう。

もう一つ、税理士に関して言われていたことが興味深く感じられました。「全自動会計クラウドサービス」というものができていて、それを使うと毎月の記帳はあっという間に終了してしまうのだそうです。そういうものができてくると「会計」の仕事はなくなってしまいます。技術的な革新によって越えられてしまうものだけに頼っていたのでは社会的な存在意義を確認することはできない、ということなのでしょう。

また「税務」についても、「そもそも、納税なんて国民や法人が税金を払えばいいだけの話で、それを他人にやってもらうこと自体、余計なコスト」だと考えられるのであり、世界的には少数派のやりかただそうです。

極端な意見だとは思いますが、ある税理士さんは「今まで税理士は国に守られてきただけ。国や地方がやるべきことを、代わりにやってきただけで、専門家でもなんでもない。国が、『システムができましたのでアナタ達が作る税務書類はいりません』と言ってきたら、はいオシマイでしょう」とさえ言っています。言い過ぎだろう、と思う反面、わが身に照らして考えさせられることでもあります。