大分の土地家屋調査士ブログ

「土地家屋調査士の業務と制度」を中心に、それに広い意味で関連する様々なことについて一人の人間として思うところを書きます。

境界ADRについて

2011-05-31 05:35:53 | 調査士会

今年度の調査士会の事業計画の中心的課題として、昨年積み残しになってしまった「境界ADR」の設立があげられています。
これについては、全国の調査士会50会のうち48会で設立されていて、残りが2会だけになてしまっている、というような事情もあって、とにかく急いでやらなければならない、という事情もあるのですが、そういうことを少し離れて、「境界ADR」については、原点に帰って考え直すことが大事だろうと思っていますので、少しだけ考えていることを書きます。

と言うのは、私には、「境界ADR」をめぐっては、さまざまな未整理な考え方が錯綜したまま事態が進行してしまっている、というように思えるのです。

私は、「境界ADR」は、あくまでも平成18年に改正施行された調査士法の3条1項7号の「土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事紛争にかかる民間紛争解決手続き」というところにある、ということを明確にするべきであると思っています。この規定は、筆界特定手続とともに創設されたもので、境界問題の解決のために筆界特定制度が有効に機能している現実とともに、筆界特定制度には避け難い限界(所有権界や境界紛争に起因する民事的問題について取り扱うものではない)があることを補うものとして設けられたものとして受け止めるべきものだと思っています。

ところが、「境界ADR」をめぐっては、この基本的な事が軽視されつつ、次の二つの問題を持って議論や現実が進められてきているように思えます。

一つは、これまで調査士の世界において、市民・国民からの相談に答える機能がきわめて弱かったことを受けて、「境界ADR」の設立・運営にあたって「相談機能」をも併せ持つものとして考えられた、ということです。これは、「専門的知識をもった者によるADR」として考えられている日本のADR法の下おいては、言わば不可避なことでもあるのですが、「相談」で解決すべきことと、「調停(和解の仲介)」によって解決すべきことは、きちんと分けて考えるべきだと思います。

もう一つは、「境界ADR」に関する考え方が、「ADR」そのものに対する考え方にあまりにも大きく影響を受けてしまったのではないか、ということです(これについては、後日あらためて書きたいと思います)。

これらの問題を考えつつ、先に述べたように、平成18年改正施行された調査士法の枠組みの中で、やるべきことを着実にやっていかなければならないと思っています。会員の皆さん、是非関心を持っていただき、ご協力いただきたく、お願いたします。

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建築会社「希望社」会長の講演

2011-05-30 05:47:29 | インポート

昨日、大分市内で開かれた講演会で、岐阜県の建築会社「希望社」の会長桑原耕司さんの講演を聞きました。
桑原さんは、清水建設で設計、現場管理の業務を長年担当し、退職後岐阜で建築会社を開いた方(1988年)です。(希望社のHPは、http://www.kibousha.co.jp/ )

ご自分で建築会社を開いたのは、建設業の「裏」からの脱却を目指して、ということでした。

当初は、「コンストラクション・マネジメント(CM)」というかたちだけで、建築設計事務所的に建設業者と顧客を結ぶ役割を担うものとして始めたそうですが、それだけでは十分にできないことがあるということで、直接自分で施工する建築業をも行うこととした、とのことでした。
希望社における仕事の基本方針は、次のものだそうです。
「建築主への義務としての設計改善」 「専門工事を競争的に調達するJCM(日本型CM)」 「工事費の内容をすべてオープンに」 「最終工事費が請負金額を下回った場合は差額の半分を建築主に還元」というもので、これまでの建設業のあり方とは、まったく異なるものです。

具体的なお話を佐賀市発注の小学校改築工事の例でされました。これは、佐賀市の工事発注のありかたを透明性を高めて行うことを目指して希望社がCM契約を結んで行った事例で、日本の建設業の閉鎖的な特有のあり方を根本的に変えて、透明性・公開性を高めて、多くの業者の参加とその組み合わせによって、より安く、より良い工事を実現した、ということでした。

私たちにとっても、公共事業や入札ということが問題になるなかで、「価格」と「品質」をめぐる問題、あるいは「業務改善」をめぐる問題として興味深く、考えさせられるものでした。著書の「[良い建築を安く]は実現できる」と「談合破り」を購入しましたので、読み終えましたらまた報告をするようにします。

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会務運営の基本方針

2011-05-29 10:34:43 | インポート

総会で、会長として選任された直後に、下記の「会務運営の基本方針」を配布させていただき、口頭でも要旨を述べさせていただきました。長くてすみませんが、あらためて、掲載させていただきます。

今後2年間の会務を行っていくに当たって、基本的な考え方を述べます。

1.基本理念―「社会に役立つ土地家屋調査士」を目指して

調査士に今問われているのは、「社会に役立つ存在」になること、そうあること、だと思います。

「調査士制度のあり方が根底から問われている」と言われて既に数年が経過しています。この動きは、けっして衰えているわけではなく、ますます厳しく問われているものと受け止めなければなりません。

35代アメリカ大統領ケネディは、その就任演説において「国があなたに何をしてくれるかを問うのではなく、 あなた方自身が祖国に何ができるかを問うてください。」と述べました。これは、今の私たち調査士にも阿多はまります。「日本の国が調査士に何をしてくれるかではなく、調査士が日本に何ができるか」を考えなくてはならないのです。特に、東日本大震災後の今日、調査士が日本の社会のために、人々のために何ができるのかを考え、その「役に立つ」ということをもって社会的な存在としての調査士の存在を確立していくことが必要です。

資格制度・業務独占資格ということ自身が問われる中、「社会に役立つ資格者だけが生き残る資格がある」ということを肝に銘じておく必要があり、調査士会はそのための活動をしていかなければならない、と考えています。

2.基本方針

(1)調査士会の基本目的を見据えての会務運営

調査士会は、「会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする」(土地家屋調査士法第47条第2項)ものとされています。

私は、この法的規定の「目的」に、言わば原点に返ることが必要だと思っています。常にこの「目的」を見据えて、そのために何が必要なのか、ということを考えながら調査士会の会務を進めて行く、ということを会務運営の基本とします。

あらためて言います。「調査士業務の改善進歩」そのための「会員の指導・連絡」が調査士会の果たすべき役割です。この「会員の指導・連絡」に関しては、従来、ややもすると「法務省(法務局)からの指導・連絡」というように限定的にとらえられ、民間資格者である調査士自身による「業務の改善進歩」へ向けた努力が後景に追いやられてしまうような傾向があったようにも思えます。調査士会は、ただ存在し、監督官庁からの指示を伝達していればいいのであり、それ以上の出すぎたことは行わなくてもいい、というような考え方です。

しかし、今日の「官」と「民」との関係、その構造的な変化は、これまでのような受け身の姿勢を許さないものになっています。登記行政のあり方そのものが問われる時代にあって、民間資格者としての独自の立場から「業務の改善進歩」を追求していかなければならないのであり、そのための「会員の指導・連絡」を強化していかなければならない、と考えています。

他方、これまでの調査士会の果たしてきた役割の中には、「厚生」「共済」的な役割が大きくありました。これは、多くが零細自営業者である調査士の業務形態から今後も必要となることだと思います。しかし、その場合においてもあくまでも「厚生」「共済」そのものが目的なのではなく、「業務の改善進歩」が目的なのであり、そのための基礎的条件を形成するために必要なものとして位置づけなおすことが必要だと考えています。

(2) 「社会の中の調査士」としての対外的発信の強化―その前提としての内部強化

「土地家屋調査士業務の改善進歩」は、登記行政そのものの「改善進歩」へと結び付けられなければなりませんし、調査士の業務が社会に対して直接役立つ領域の拡大として実現されなければなりません。

そのためには、これまであった「監督官庁しか見ず、内向きの論理で考える」傾向を克服していかなければなりません。登記行政に関して積極的な提言を行い、さらに他の国家機関、地方自治体や他業界に対する発信を強化する必要があります。

そして、対外的発信の強化の前提は、内部的な強化です。たとえば、非調査士排除を強化しようとするとき、非調査士を排除しなければならない実質的な理由―調査士が表示に関する登記業務を行うことこそが登記の適正性確保のために必要なのだ、ということを基礎に置かなければ、単なる業務独占資格の権益保持のためのエゴになってしまうのであり、社会的に認められるものとはなりません。官公署等の業務について、調査士への委託の枠組みをつくり、守るためには、官公署の側が公益的に必要としている要件に対応する調査士の側の内部態勢が必要です。

対外的発信の強化、その基礎としての内部強化の実現へ向けた諸施策を、「業務の改善進歩」を目的として実施していきます。

(3)10年・20年後の調査士」を見据えた会務運営

昨年問題となった「登記事務の地方移管」論議に見られるように、調査士業務をとりまく環境は、その基盤から大きく変動する可能性があります。そのような時代にあって、目先の政治的動向や力関係から物事を考えているのでは、時代の激変を「想定外」にしてしまい、時代・社会から取り残されていくおそれが大きい、と言わなければなりません。

時代の変化の中で、なお生き残って行くものは、社会・国民が真に必要とするものである、ということを踏まえ、そのような「調査士像」を作り上げていかなければなりません。調査士会の行っていくべきことは、この「調査士像」の実現へ向けた不断の追求であり、今後2年間という比較的短いスパンでの方針を考えて行くにあたっても、10年後、20年後に通用する「調査士像」を見据えて行かなければなりません。

このような課題を意識して、10年後、20年後を担う調査士が、調査士会の会務を担っていくことを課題にしていかなければならないものと思っています。今期の調査士会は、そのスタートを切るものにしていきます。

(4)「自己変革」の実現――「前例踏襲」的意識からの転換

私は、これまでの調査士会の会務運営のあり方の基本について、「官」の影響をあまりにも大きく受けたものであり、転換していかなければならないものだと考えています。

この転換は、法務省を監督官庁とし、その業務の大きな部分を「官業補助」的な業務が占める調査士にとって、根本的な変革を必要とするものであると言えます。

「変らずに生き残ってゆくためには、自分が変らねばならない」――変革の時代において生き残っていくための自己変革の必要性が問われています。このことは、具体的なさまざまな「細部」において意識されなければなりません。さまざまな事柄を決定していくに当たって、「前例踏襲」の意識を捨て、調査士会の「目的」を見据えての決定、ということに努めて行きたい、と思います。

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会長ブログはじめます

2011-05-28 10:58:33 | 調査士会
昨日、5月27日、大分県土地家屋調査士会の会長に選出されました。
会長として、ブログを始めます。
土地家屋調査士会というのは、これに入会しないと、調査士としての業務ができない、という重要な意味を持つ会であるわけですが、その活動は決して活発と言えるものではありませんでした。この現状を変えるために何より必要なことは、できるだけ多くの情報を会員が正しく得られるようにすることだと思います。
このブログでは、会員への情報の伝達、ということを第一の目的にします。
その際、確定情報ではないものも含めてお知らせすることになると思いますので、単なる「情報」ではなく、それを読み解くための「考え方」ということが大事になるのだと思います。
そのようなものとして、「考え方」、「そう考えるに当たっての思考過程」みたいなものを含めて書いていければ、と思っています。

早速ですが、まずは「情報」の部分を。総会終了後の理事会で役員の担当を決めました。
常任理事として、安部晴夫さん(総務部長)、小野剛志さん(財務部長)、佐藤栄二さん(業務部長)、三宮浩輝さん(研修部長)、是永幾一郎さん(広報部長)を選任しました。これに、副会長の井上隆さん、城戸崎修さんと私の8人で常任理事会を構成して、会務執行していくことになります。
コンセプトとしては、「労壮青の三結合」です。徹底的に実務的に執行して行き、10年後、20年後に通用する体制を作って行きたいと思います。

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