大分の土地家屋調査士ブログ

「土地家屋調査士の業務と制度」を中心に、それに広い意味で関連する様々なことについて一人の人間として思うところを書きます。

「土地家屋調査士業務を行う上での心構え」

2013-01-30 06:41:29 | 調査士会

先日書いたように、今週の金曜から3日間、九州ブロックの新人研修会があります。

今年は、長崎会が当番会なので、長崎会で諸準備を行っていただきつつ、最近は九州ブロックの各会からも講師を派遣して「新人研修会」の運営がなされています。

私自身は、随分前に大分で新人研修が行われた時に講師をして以降は関わらずにきましたが、今年は、大分会の担当が「土地家屋調査士業務を行う上での心構え」というものになった、こういう漠然としたテーマは話しにくくて他にやろうという人がいない、ということもあって、私が引き受けることにしました。

私の性格上、本当はこういう漠然としたテーマは苦手です。なんとなく年輪を感じさせるような話をしつつ、「なるほど心構えとしてそういうことが必要なのか」と受講者に思わせるようなことを話せればそれがいいのだと思いますが、私にはそういう話はできません。準備したレジュメとしても細かいところをきりきりと詰めて行って、「面倒くさいな」と思わせるような話になってしまいそうな気がしていますが、受講者の皆さんには、「これも試練」と思って乗り越えて行っていただきたいと思っています。

その上で、「心構え」を説くにあたって、そもそも「新人」の皆さんが、「何故土地家屋調査士を志したのか?」ということをまず訊ねてみようか、と思っています。

この問いに対する答えの「模範解答」は、「表示に関する登記の円滑適正な実施に寄与して、もって国民の不動産に関する権利の保護に資したいと思ったから土地家屋調査士を目指しました」・・・・というものだと思っているわけではありません。こういうふうに答える人がいたら、その人は「嘘つき」なんじゃないかと思うほどです。そんな人、まずいないですよね。

医師であれば「人の命を救いたいと思ったから医師を目指しました」という人が中にはいるでしょう。弁護士でも「社会正義の実現のために弁護士を目指しました」という人がいるでしょう。どちらの場合も、「収入がよさそうだから」とか「社会的地位が高そうだから」という人が多数派かもしれませんが、少数派とは言え、そういう人がいる、というのは間違いないところだと思います。

だったら、土地家屋調査士にだって、そういう人がいてもおかしくないんじゃないの、と思われるかもしれませんが、やっぱりそういう人はいないだろうな、というのが偽らざるところです。それはそれで、全然悪いことだとは思いません。

私自身にしても、「大分に来るにあたって、就職先はないだろうから自分で食っていける資格を取らなくっちゃ」というのが、志望動機でした。「自分の生活が第一」というところから出発しています。これは、多くの調査士にとってもそう大きくは違わないのでは、と思っています。

しかし、「志望動機」がどうであれ、一度調査士になった以上、上記「模範解答」をもっと発展させたものを調査士としての「心構え」にするべきなのだ、と私は思っています。もちろん、現実の生活をしていかなければならないし、それが大事なのは間違いないところです。このことを無視しろ、というわけではありません。しかし、それだけに「業務独占の資格者」としてのアドバンテージを与えてもらっていることの意義を噛みしめなければならないのだと思います。

・・・そんなことを、いろいろなエピソードを交えながら、ゆったりと説得力持って話せればいいのだけど、と思っているのですが・・・・(やっぱり、無理だろうな、と思いつつ)。
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「専門家」の結論

2013-01-29 06:31:20 | インポート
原子力規制委員会の「専門家会議」は、敦賀原発2号機の下を走る断層について「活断層の可能性を否定できない」とする結論の報告案をまとめた、とのことです。

しかし、それでもなお、電力事業者である日本原電は、その「結論」には「科学的根拠が不十分」として、さらに「延長戦」に持ち込もうとしているようです。福島原発事故以前であれば、こういう議論にもならないままに、電力事業者の「調査結果」が受け入れられていたのでしょうね。

この場合、電力事業者側においても、単に「経営上の理由」からだけで「活断層ではない」という主張をしているわけではないのでしょう(少なくとも形の上では)。「活断層ではない」という結論を出す「専門家」がいて、その「専門家」の見解に基づいて「正々堂々」と主張されているのだと思われます。これまでだって、そのような「調査」をきっちりと踏まえて、原発の建設もその後の運転もなされて来た、というわけなのでしょう。

さて、そういう「調査」というのは、おそらく電力事業者と継続的な関係にある「専門家」が行っているのでしょうね。原発の下の活断層が走っている、ということになってしまえば、「廃炉」へ向かわざるを得なくなり、莫大な損害を被らなければならない電力事業者の事情を見ながら、「調査」を「専門的」に行う「専門家」です。

今の世の中においては、「専門性」すらも一つの「商品」になってしまう、というところがあります。「クライアントの言いなりに動く便利な専門家」がもてはやされ、幅を利かせる、ということもあるのでしょう。しかし、「原子力ムラ」の実態が明らかになり、「専門家」のあり方が問われるようになった今、そのような「御用学者」「御用資格者」「御用業者」としてのあり方も厳しく問われているのだと思います。もちろん、我が業界を含めて。





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今週の予定

2013-01-28 07:32:00 | 調査士会
30日 常任理事会 今年度の会務総括と来年度の事業計画・予算等の検討を中心に協議します。

2月(もう2月です!)1日~3日 九州ブロックの新人研修会、会長会議等が長崎であります。

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日調連「業務情報の公開」説明会

2013-01-25 07:21:26 | 調査士会
来週の金曜から日曜(2.1-2.3)は、長崎で九州ブロックの新人研修会が開催され、それに合わせて会長会議があるのですが、さらにそれに合わせて、日調連の「土地家屋調査士が保有する業務情報の公開に関するブロック協議会における説明会」が開催されることになりました。何かと用件が重なるものですが、いろいろなことが一気に済む、というのは、ありがたいことではあります。

さて、その「説明会」ですが、「開催趣旨」は、次のものとされています。

土地家屋調査士が保有する業務情報の公開に関するブロック協議会における説明会開催趣旨
<実施趣旨>
今、日本の人口が減少の一途をたどる時代となり、登記業務もここ10年間で半減しており、従前への回帰は望めない状況である。不動産政策も時代を睨み中古市場へ歩みだし、それに伴う消費者保護の制度は事前規制型の瑕疵担保責任から履歴の提供による自己責任型へ転換を進めている。こうした社会理念と制度変更に対し、不動産に係る権利と財産の明確化に寄与する土地家屋調査士はこれからどのように対応するのか明らかにしなければならない。
つまり、土地家屋調査士制度は不動産登記法に規定された業務と周辺業務の補完に限った市場に留まるのか、それともそれ以外の社会制度の変更を織り込んだ新たな市場を組み入れることを望むのかの検討を行う必要がある。
このような状況の中、平成24年度、日本土地家屋調査士会連合会研究所では、研究テーマ「情報公開システムの研究の第一段階としての基盤情報の整理」についての研究において、今後の時代に即した新たな市場を創造するシステムの構築が必要であるとの方向性で結論付けされようとしている。
また、連合会としては、情報公開システムの構築と相まって、会員が直接、国民の権利と財産を守るための業務様式の改善に取り組まなければならないと考える。土地家屋調査士が保有する業務情報の公開は、業務改善との相互作用により、不動産登記制度を補完し、履歴社会で土地家屋調査士があらためて専門家として再認識され、その情報が活用されることとなる。
  ついては、連合会が本事業を進めるに際し、標記情報を公開する必要性及び計画並びに業務情報公開システムの実務的稼働についての各土地家屋調査士会における担当者を中心として全般的な説明を行い、ご理解をいただくこととしたい。


まず確認しておきたいのは、時代の大きな変化・転換に対応した方向性が検討されていることの意義です。私たちは、つい日々の業務の中で目先の事柄に目を奪われて、それ以上先のことを考えられなくなってしまいがちですが、このように社会構造の変化を大きくとらえたところから、10年、20年先を見据えて、私たちの業務性格の根幹のところから見直して行く作業がなされている、ということに注意をはらっていきたいと思います。

その上で、その方向性がどのようなものなのか、ということについて、もう少し突っ込んだ検討・論議がなされるべきでしょう。いくつかの方向性があるはずなわけですから、まず、ここの検討・論議をしっかりとすることが必要なのだと思いますが、現状では、目の前のことを追ってばかりいるなかで、いきなり遠くを見るようになってしまっていて、その結果、一方向しか見ないことになってしまっているような気がして、ひっかかるところです。

内容的なこととして言うと、さかんに言われている「不動産登記制度の補充」という表現(理解)に一つの問題があるように思えます。たしかに、そのような役割を担うものとして生まれ育ってきた、という歴史への正しい理解(自覚)の上で、さてこれからはどうするのか、ということが問題になるわけで、これはもっと多面的にとらえられるべきことのように思えます。

もう少し細かいところでは、「情報の公開」と言う時の「情報」の中味についてどのように考えられているのか、ということをもう少し詳しく知りたい、と思っています。この「情報」について私は、「網羅性」と「現時性」(そんな言葉あるのか?「リアルタイム性」)が重要だと思っています。それがないと、そこで行われる「情報の公開」は、まさしく「不動産登記制度の補充」にしかなりません.。そういう構成でいいのか?と思うのです。

なにはともあれ「説明会」を契機に、本質的な検討・議論が深まり、より良い方向性が確立されて行くことが望まれますので、私もそのような姿勢で出席することにしたいと思っています。




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訃報 ; 松岡直武前日調連会長

2013-01-24 06:27:53 | 調査士会
松岡直武前日調連会長が亡くなられた、との報を受けました。

突然のことで、ただ驚くばかりなのですが、生前の故人の業績に敬意を表するとともに、御冥福をお祈りいたします。

松岡前会長には、昨年夏に大分会の全体研修会においでいただきました。皆様の記憶に新しいところだと思います。3期6年務めた日調連会長の職を離れ、自由な立場で、しかし誰よりも土地家屋調査士の未来を考える視線で、さまざまな領域にわたるお話をしていただいたことが、つい昨日のことのように思われます。

私の個人的なこととして言うと、私が日調連の理事を務めた当時の会長が松岡先生でした。正直に言って、私は松岡会長の方針に反対意見を言うことが多い末端理事でしたが、私としても、松岡会長がとっている方針について、異論を唱えることがあるとしても、その趣旨や理由は十分に理解しうるものであると思っていました。これは、松岡会長の側からも同様のことが言えたのではないか、と(勝手に)思っています。

方針の違い、考え方の違いなどがあったとしても、松岡会長が、格段に優れた指導者であったことは間違いのないことです。それだけに、日調連の会長職を離れた後、もう少し、自由な立場からさまざまな問題に関するお話を伺い、未来の土地家屋調査士像を作り上げる若い世代の営みにお力を貸していただきたかった、と思えて、無念でなりません。

あらためまして、謹んでお悔やみ申し上げます。


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