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『あなたを抱きしめる日まで』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の13本目@西宮)

2014年03月26日 | 映画(あ行)
『あなたを抱きしめる日まで』(原題:Philomena)
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ,スティーヴ・クーガン,ソフィ・ケネディ・クラーク,
   アンナ・マックスウェル・マーティン,ミシェル・フェアリー他

なんばで“半沢直樹”の1作目『オレたちバブル入行組』を読み終えて、
この日は2作目の『オレたち花のバブル組』を映画の合間に。
そうか、確かに「倍返しだ」という台詞はあるけれど、
流行の台詞にするほど言わせたのはTVドラマだったのか、上手いなぁと感心。

よくありそうな邦題が付いていますが、原題は“Philomena”。
ジュディ・デンチ演じる主人公女性の名前です。これも実話が基。

イギリスに暮らす敬虔なクリスチャンの老婦人フィロミナ。
彼女の娘ジェーンは、ある日突然、母親から秘密を打ち明けられて驚く。
子どもは自分ひとりだと思っていたのに、息子がいると言うのだ。

フィロミナはまだ十代だった頃、ナンパしてきた相手と関係を持ち、妊娠する。
一家の恥だと考えたフィロミナの両親は、彼女をアイルランドの修道院へ。
修道院には彼女のほかにも同様の境遇の未婚女性が多数。

家から追い出された彼女たちは、修道院で面倒をみてもらう代わりに、
出産後何年かにわたって洗濯などの労働を課せられる。
金が払えなければ修道院を出て行くことも許されない。

自らの子どもに会えるのはわずか数時間だけ。
それでもフィロミナたちは、わが子とともに過ごせることが嬉しくてたまらない。
フィロミナは生まれてきた男児にアンソニーと名付け、愛情を注ぐ。

しかし、あるとき、アンソニーが養子に出されてしまう。
別れを告げる機会もなく、一方的に息子を取り上げられ、涙に暮れるフィロミナ。
養子に出した子どもについて知ることは認められず、
息子のことを忘れられないまま今まで来た。
今日はその息子の50歳の誕生日、どうしても捜し出したい。

にわかには信じがたい話にジェーンは動揺するが、
ちょうど勤務先で見かけたジャーナリストのマーティンに話を持ちかける。
マーティンは政府担当のエリートジャーナリストだったが、身に覚えのないことでクビに。
社会面の記事は自分の仕事ではないと断るが、再起のいいチャンスかもしれない。
こうしてフィロミナとマーティンはアンソニーを捜しはじめるのだが……。

ネタバレになりますが、わりと早い段階でアンソニーがすでに他界していることがわかります。
それを知った直後は絶望してイギリスに帰ろうとするフィロミナですが、思い直します。

アメリカの夫婦に育てられたアンソニーについて、フィロミナが知りたいことはただひとつ。
アンソニーはアイルランドのことを周囲に話したことがあったのかどうか。
アイルランドでの日々が彼にとって良きものだったと思いたい。

アンソニーをふたたび抱きしめられる日は来ないわけですが、
アイルランドへの想いがわかるシーンではツツーッと涙。
マグダレンの時代ではない」という台詞がありますが、
こんな養子縁組がおこなわれ、それをひた隠す理由がシスターの薄暗い心にあるならば、
マグダレンの時代は完全に終わることはないのでしょう。

マーティン役のスティーヴ・クーガンが共同で脚本も担当。
フィロミナ役のジュディ・デンチのマシンガントークに呆気にとられる表情が可笑しいです。

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