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『ダンケルク』

2017年09月24日 | 映画(た行)
『ダンケルク』(原題:Dunkirk)
監督:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド,トム・グリン=カーニー,ジャック・ロウデン,
   ケネス・ブラナー,キリアン・マーフィ,マーク・ライランス,トム・ハーディ他

台風接近中の日にTOHOシネマズ伊丹で3本ハシゴの3本目。

「ダンケルクの戦い」についてメジャー映画化されるのはこれが初めてだと思い込んでいたら、
1964年にトルコ出身のアンリ・ヴェルヌイユ監督が、
ジャン=ポール・ベルモンド主演で撮っているのですね。
そちらはロベール・メルルの小説『ズイドコートの週末』を原作とし、
当時フランスで大ヒットを飛ばしたそうです。

本作はクリストファー・ノーラン監督によるイギリス/アメリカ/フランス作品。
CGの使用を避けることで有名な監督で、本作でもその姿勢は同じ。
CGではないのだということを頭に置いて観ると、より面白い。

1940年、第二次世界大戦中のフランス北端の港町ダンケルク。
英仏連合軍の約40万人の兵士たちは、独軍に追い詰められて絶体絶命の危機を迎えている。

そんな状況をノーラン監督は「防波堤」、「海」、「空」の3つに切り取って描いています。
しかも描かれる時間がちがう。防波堤の1週間、海の1日、空の1時間。

防波堤には若い英国兵トミーが銃弾をかわしてたどりついたところ。
これで助かると思いきや、そこには救出を待つおびただしい数の兵士たち。
なんとか救助にやってきている船に乗り込めないものか。
たまたま知り合った兵士とともに担架で怪我人を運び込むふりをする。

ドーバー海峡をはさんだ対岸のイギリスでは、防波堤の兵士たちを救出するため、
民間の船をも徴用する作戦が決行される。
船の所有者ドーソンは、船だけを渡すわけにはいかない、自分は船長なのだからと、
自ら船を操ると、息子ピーターとその友人ジョージとともに海に出る。

空には最新鋭戦闘機スピットファイアが出撃中。
パイロットのファリアとコリンズが、英仏連合軍の撤退を援護するため、
イギリスからダンケルクへと飛び立ったのだ。
しかし、攻撃を受けたコリンズの操縦機が海に不時着してしまい……。

この時間の切り取り方は斬新で面白い。みっつがひとつになるとき。
地味ながら芸達者な役者たちがそろい、見応えがあります。
知名度の高い役者といえば、ファリア役のトム・ハーディが目立つくらい。
ドーソンに最初に助けられるも怯え通しの兵士にキリアン・マーフィ

海軍将校役のケネス・ブラナーとドーソン役のマーク・ライランスがシブく、
とくに後者はオイシイとこ取りとも言えるかも。
親の世代が始めた戦争のせいで、子どもたちを戦場に送り込むことになった、
だから兵士たちを救出に行く責任があるのだという言葉が力強い。
ノーラン作品の常連でこれまたシブいマイケル・ケインが、
ファリアとコリンズの指揮官としてノークレジットで声の出演を果たしています。
そうそう、コリンズ役のジャック・ロウデンという俳優を初めて知りました。
サイモン・ペッグを二枚目にした感じでカッコイイ。

救出作戦が成功したといって喜ぶ人々を見ると、
だけど戦争なんだからと、素直には一緒に喜べない複雑な心境です。
逃げ帰ってきたと罵倒されるのではと気落ちしていた若い兵士に、
盲目の老人がかける、生きていること自体が賞賛に値するという言葉が印象的。

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