夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミルカ』

2015年02月04日 | 映画(ま行)
『ミルカ』(原題:Bhaag Milkha Bhaag)
監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
出演:ファルハーン・アクタル,ソーナム・カプール,ディヴィヤ・ダッタ,アート・マリク,
   ジャプテージ・シン,パヴァン・マルホトラ,プラカーシュ・ラージ,ヨグラージ・シン他

「映画の日」だった日曜日にTOHOシネマズ西宮にて。
毎週土曜日の恒例で、外食でお酒を適量以上に飲み、
日付が変わってから帰宅することが多いため、
ほぼ毎週日曜日、朝は残ったお酒と眠気との戦い。
この日も同じく、レッドブルの力を借りて這うように出発。

前夜のちらつく雪で凍りついた、最寄り駅へ向かう坂道。
気をつけてゆっくりゆっくり歩いていたのに、下りでツルっと滑って転び、
立ち上がってもういっぺん転び。痛いがな。
尻餅をついただけだったので、いつぞやのように血まみれの惨事にはならず。
そのまま駅へそろりそろりと歩いて無事到着したのでした。

ミルカ・シンは“空飛ぶシク教徒”の異名を持つ実在の陸上選手。
インドでは国民的英雄として知られているそうですが、
本作を観るに当たってウィキペディアで調べようとしたら、日本語頁は無し。
もっと知りたい。そのうち誰かが書いてくれることに期待。

1930年頃にイギリス領インドのゴーヴィンドプラ村に生まれたミルカ。
温かい家族と友人に恵まれて過ごしていたが、1947年の印パ分離独立のさい、
パキスタン側に位置するゴーヴィンドプラ村に残ることを家族は選択。
自分たちの住む場所を守ろうとした結果、惨殺されてしまう。
ミルカに「逃げろ、ミルカ、逃げろ。後ろを振り返るな」と言い残して。

生き延びたミルカは、難民キャンプへたどり着く。
姉のイシュリは既婚者で、夫に従って先にゴーヴィンドプラ村から離れていて無事。
優しい姉と再会を果たしたものの、なんとなく義兄が好きになれない。
キャンプでの生活は貧しく苦しく、ミルカは悪友を得ると盗みを働くように。

ごろつきのまま成人したミルカは、それでも子どもたちの人気者。
子どもたちを笑わせようと芸を披露しているときに、ひとりの女性と出会う。
ビーローというその女性に一目惚れ、
彼女と結婚したい一心でまともな職業に就こうと決める。

陸軍に入隊するミルカ。
競走で上位10人に入れば雑役が免除されると知り、兵士みんなが色めき立つ。
しかし、ミルカが惹かれたのは雑役免除よりも牛乳。
足の速い者には牛乳と玉子が配られると聞いて、
幼い頃から牛乳が大好物のミルカは発奮、1位となる。

軍でコーチを務めるグルデーウは、ミルカの才能を確信し、指導に当たる。
やがてインド代表に選ばれたミルカは、代表コーチのランヴィールのもと、
オリンピックで輝かしい成績を残すようになるのだが……。

物語は1960年のローマ・オリンピック決勝シーンから。
途中まで金メダル確実の走りを見せておきながら、
ゴール直前でなぜか後ろを振り返ったミルカは4位に終わります。
その後すぐ、パキスタンとの友好親善陸上大会が企画され、
インド側団長を命じられたミルカは固辞。
パキスタンに行くのは絶対に無理だというミルカを説得するため、
首相の言いつけでミルカのもとへ向かう大臣とランヴィール。
そして、ランヴィールが「彼ならミルカを説得できるかも」と呼び寄せたグルデーウが、
列車の中でミルカの数奇な人生を大臣に語って聞かせる形で進められます。

明るく生きているように見えても、家族を殺された光景に支配され続けていたミルカ。
どうにかパキスタンへ行くことを承諾し、
むかし暮らしていた場所を訪れたのは気持ちの整理をつけるためだったのか。
そのくだりは涙があふれて仕方ありませんでした。

歌や踊りは無しかと思いきや、上手い具合にそれが当てはめられて束の間のボリウッド
相当重い話ながら、ニッコリしてしまうこともたびたび。
原題の“Bhaag Milkha Bhaag”(英題は“Run Milkha Run”)が
最初は「逃げろ」としか聞こえないのに、最後は「走れ、飛べ」に聞こえます。

インド人俳優は、いくら本国で人気でも、タイプじゃないなぁと思う人がほとんどですが、
本作のファルハーン・アクタルはカッコイイ。しかも体も韓流顔負け
ほかにどんな作品に出ているのかと思ったら、俳優よりも監督として活躍。
なんと『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』(2011)の監督さん。
いやいや、アナタ、その顔にその体で、自分で出なきゃもったいないでしょ。

まだ2月に入ったばかりだというのに、今年の個人的1位かもと思う作品が多すぎる。
『百円の恋』『トラッシュ! この街が輝く日まで』、『KANO 1931 海の向こうの甲子園』
そして本作と、いい映画いっぱいで嬉し。

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