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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『利休にたずねよ』

2013年12月15日 | 映画(ら行)
『利休にたずねよ』
監督:田中光敏
出演:市川海老蔵,中谷美紀,伊勢谷友介,大森南朋,成海璃子,石田三成,
   クララ,袴田吉彦,市川團十郎,柄本明,伊武雅刀,中村嘉葎雄他

この間の木曜日、ダンナが会社の飲み会ということで、
私は仕事帰りに109シネマズ箕面にて映画を1本観ることに。
あれこれ観たい作品はあるけれど、時間的にこれが合う。
上映前にクリーニング店に寄ろうとしたのですけれど。

車を駐めてからクリーニング店へ行く途中、横断歩道の信号が点滅。
間に合うかなと走ったら、マンガのように転んでしまいました。
信号のはるか手前の、つまずくものなんて何もないところで。

いったいどういう転びかたをしたらこんなにあちこち負傷するねんというぐらいの惨状。
右手は甲と手のひらずるむけ、左手は甲から手首までずるむけ、人差し指を突き指。
右膝はジーパンに損傷はないものの、内側ずるり。顎からも出血。
幸い誰にも見られていませんでしたが、あまりの痛さにしばし立ち上がれず。

クリーニング店の店員さんが私の顔を見て呆然。
「だ、大丈夫ですか!?絆創膏はありますけど、1枚では到底足りませんよね」。
私自身はわりと冷静だと思っていましたが、振り返ればある種のショック状態ですね。
大丈夫ですと言って退店、映画を観に行くかどうかしばし迷い、
どうせ家に帰っても血を洗い落とすだけやし、観に行こうかと。
血まみれのまま行きましたがな。

天正19(1591)年2月、茶人・千利休は聚楽第内の茶室で切腹の日を迎える。
妻・宗恩は、利休には想いつづけてきた人がいるのではないかと尋ねる。
それはいったい誰だったのか、そして利休の美意識はどのように成されたのか。
物語は切腹の日からさかのぼり、これらの謎が明らかにされます。

織田信長のもとへ、世にも珍重とおぼしき品を持ってかよう人びと。
そんななか、当時は宗易と呼ばれていた利休が持参したもの。
これに感嘆した信長は、以降、利休を茶頭(さどう)として置く。

信長が落命した後は豊臣秀吉の庇護を受け、“天下一の宗匠”として崇められるように。
巷の人気は秀吉以上、利休のことを妬んでよく思わない者も多数いる。
高麗に出兵しようとする秀吉に反対の意を示したことや、
弟子が秀吉に反抗したことから、秀吉は利休を生かしてはおけぬと考え……。

どこまでが史実そのままなのかわかりませんが、
本作の後半で描かれるのは利休が墓場まで持って行こうとした秘めた想い。
高麗から拉致されてきた女性に恋い焦がれ、
言葉の通じない彼女に料理とお茶で助けになりたい気持ちを懸命に伝えます。
もとは相当な女好きも、ひとつの悲しい恋によってこんなにも生き方を変えられるのですね。

市川海老蔵は『一命』(2011)のときにも思いましたが、本当に美しい。
顔も所作もすべてに品があって美しく、実生活でいくらやんちゃであろうとも、
こんな演技ができるならええやんと思わされてしまいます。

血は止まらず、あちこちひりひりしたままでの鑑賞でしたが、
「閑」の文字が心に響き、そうそう「閑」な気持ちでねと落ち着きました。
しかし痛いがな、手も顎も。

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