夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ソウル・サーファー』

2012年06月24日 | 映画(さ行)
『ソウル・サーファー』(原題:Soul Surfer)
監督:ショーン・マクナマラ
出演:アナソフィア・ロブ,ヘレン・ハント,デニス・クエイド,
   ロレイン・ニコルソン,キャリー・アンダーウッド他

初めに、ものすごい先入観があったことを打ち明けておきます。
某TV番組でトミーズ雅が本作を絶賛しているのを聞き、
雅さんに何の恨みもありませんが、映画の趣味はバッチリ合うとも思えず、
イマイチ、いや、イマサンかもぐらいの気持ちで観に行きました。
彼が褒めそやす作品は確かに良い作品かもしれませんが、
「椅子から立ちあがれないほど感動した」かと聞くとそこまでは。

それから、実話に基づく作品で、感動を押しつけるかのような惹き文句は苦手です。
本作のそれは「勇気と感動の実話を完全映画化。あきらめない―」。
う~ん、私にとってはかなりマイナスからのスタート。

ハワイのカウアイ島で、両親と2人の兄と暮らす13歳の少女ベサニー。
私の血管には海水が流れている。そう思うほど海が好き。
幼なじみの親友アラナとともに、プロサーファーを夢見て練習に励む毎日。
地方大会に出場して観衆を魅了、スポンサーまで付く。

ところがある日、サメに襲われて左腕を食いちぎられる。
全体の60%にも当たる血液を失っていながら、奇跡的に一命を取り留めると、
ベサニーは順調な回復を見せ、サーフィンを再開するのだが……。

ものすごく健気(けなげ)です。
腕が1本なくなったというのに、医師や見舞客に悪態をつくこともなければ、
気遣うみんなに冗談を言って笑わせ、逆に元気づけます。
この年齢でこんなことができるなんて。これもほんとなら感服。

見ていて嬉しかったのは、サメに襲われたときに応急処置をするアラナの父親の姿。
昔々、救急法の講習を受けたことはありますが、
実際にこんな大ケガを負った人を目の前にしたら、パニックを起こすでしょう。
自分で庖丁で指を切ってもショック状態に陥るぐらいなのに。(^^;
動揺しながらもベサニーに声をかけつづけ、
できるかぎりの完璧な処置をほどこしたアラナの父親にも感服。

片腕を失ってから初めて出場した地方大会で惨敗し、
一度はサーフィンをやめようとしたベサニーに再びやる気を起こさせたのは、
タイの大津波で被災した子どもたち。
海を恐れて近寄れなくなった子どもたちにサーフィンを教えることにより、
彼女はもう一度大会に出たいと思うようになります。
自分は両手で誰かを抱くことはできないけれど、勇気づけることはできると。

美人で嫌みなライバルの登場は、真実だったとしてもディズニーっぽい。
被災地へボランティア活動に向かうリーダーが、
フル化粧でまつげビシバシというのも私には理解しがたし。

相当ひねくれています、私。(^o^;
てなわけで、マイナスからのスタートが急激に持ち直すということはなく。
ただ、前述の『ワンドゥギ』と同じく、いかなる苦境にあろうとも、
打算のない愛情を注がれつづけていればそう簡単にはひねくれない。
そんなことを思いました。
また、サーフィンのシーンも文句なく素晴らしいです。

愛情を注ぎつづける両親役のデニス・クエイドヘレン・ハント
こんな親の姿がしっくり来る年代になりましたねぇ。

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