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『エリジウム』

2013年09月27日 | 映画(あ行)
『エリジウム』(原題:Elysium)
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン,ジョディ・フォスター,シャールト・コプリー,アリシー・ブラガ,
   ディエゴ・ルナ,ワグネル・モウラ,ウィリアム・フィクトナー,ファラン・タヒール他

封切り日だった先週の金曜日、急にダンナが飲みに行くことになったので、
私は私で仕事帰りにいそいそと109シネマズ箕面へ。

3年半前に観て衝撃を受けた『第9地区』(2009)。
しばらくエビを見れば思いだしてオエッ、困ったという事実はさておき、
ニール・ブロンカンプ監督の大ファンになりました。
2作目となる本作は、顔ぶれも一気にメジャー級に。

2154年、環境破壊で荒廃が進むも人口は増加する一方の地球。
ほんの一握りの途轍もない富裕層だけは、
地球の約400km上空にスペース・コロニー“エリジウム”を築き、
どんな怪我や病気も瞬時に治す医療ポッドまで備え付けて、
何の心配も不自由もない楽園のような生活を送っている。

そんなエリジウムに夢を抱きながら、地球で貧しく暮らす男性マックス。
車の窃盗の腕は一流、何かと目をつけられてはいるものの、
巨大企業の工場でロボットの組み立てに従事し、今は真面目に働いている。

ところがある日、故障した機械を復旧させようとしたところ、
多大な放射能を浴びてしまい、5日で死に至ると宣告される。
生き延びるにはエリジウムへ密入国してあの医療ポッドに入るしかない。

そこでマックスはレジスタンス組織と接触。
組織のリーダー、スパイダーは、エリジウムに潜入するための偽造ID等を渡す代わりに、
革命を起こし得る重要人物の脳内データを奪取せよとマックスに指示。
マックスは決死の覚悟でエリジウムへの潜入を試みるのだが……。

地球が荒廃して貧困層と富裕層に分かれるという設定の作品は、どれもそれなりの面白さ。
この間も『アップサイドダウン 重力の恋人』を観たところだし、
富裕層が悪趣味なゲーム観戦に走る『ハンガー・ゲーム』(2012)なんてのも、
んなアホなと思いつつ、なんだかんだで面白く観てしまう作品です。

本作もそういう意味では別に目新しくはないのでしょうけれども、
南アフリカ出身の監督だけあって、遠景の荒廃した地球が凄絶。
普通のハリウッド映画とはどこか違うように見えます。

最近ちょっと太り気味かと思われたマット・デイモンは、
脱いでビックリの美しく鍛え抜かれた体。
あちこちに電極を繋がれる姿に笑ってしまったものの、
ほぼ無敵の強さが嬉しくなります。

冷酷非情な防衛長官にはお久しぶりのジョディ・フォスター。
偉そうな人物を演じていても、憎々しくは思えないのはこれまでの経歴ゆえか。
早々と死んでしまうディエゴ・ルナも体重を落としたのかスッキリ。
『第9地区』では主人公を演じたシャールト・コプリーが極悪人役で、キモくて怖い。

前作のハチャメチャぶりに比べると、
メジャー級になった分、商業的意識が強まったかなという気がしなくもありません。
死を覚悟して突入するのは『アルマゲドン』(1998)そのものですが、
これは想いを寄せつづけた女性フレイのためでもあり、
全人類に平等を期するためでもあるのはやっぱり南アゆえ。

今後の作品も楽しみな監督です。

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