夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ピエロの赤い鼻』

2005年06月06日 | 映画(は行)
『ピエロの赤い鼻』(原題:Effroyables Jardins)
監督:ジャン・ベッケル
出演:ジャック・ヴィユレ,アンドレ・デュソリエ,ティエリー・レルミット,
   ブノワ・マジメル,シュザンヌ・フロン他

新作落ちしたところのレンタルDVDで。

フランスの片田舎。
小学校教師ジャックは町の人気者。
授業中も生徒たちを笑わせる。
休日はピエロに扮装し、集会所で大勢の観客を楽しませている。

そんなジャックを悲しげに見つめるのが息子のリュシアン。
笑わない彼に気づいたジャックの友人アンドレは、
「父さんが嫌いか」と尋ねる。
「父さんが嫌いなんじゃない。ピエロが嫌いなんだ」。
そう答えるリュシアンをアンドレは外へ連れ出し、こんな話を始める。

リュシアンの生まれる前、第二次世界大戦のさなか。
大親友のジャックとアンドレは、
ふたりともが想いを寄せるルイーズにいいところを見せようと、
ささやかなレジスタンス活動を決意する。
それは、ドイツ軍の列車が通るポイント切替所に
自作の爆弾を仕掛けるというもの。

見張りのドイツ兵をジャックがおびき出し、
そのすきにアンドレが爆破。作戦は大成功。
ふたりは得意満面でルイーズのもとを訪れる。

ルイーズの手料理とワインで祝杯をあげていると、警官が乗り込んでくる。
なんと、無人だと思われていた切替所には
町の老人フェリックスが詰めており、瀕死の重傷。
犯人が名乗り出るまで、ドイツ軍は町の男4名を人質にすると言う。
犯人だとバレてはいないが、人質として指名されてしまったジャックとアンドレ。

ふたりを含む人質たちは、深く掘られた穴に投げ込まれる。
食事も与えられず、脱出する方法も見いだせず、雨に打たれて震える4人。

やがてやってきたのはドイツ兵ベルント。
恐怖に怯える人質たちを前に、ベルントはピエロの赤い鼻をつけて芸を始める。
最初は「これは侮辱だ」と憤る4人だが、次第に心が和み……。

ただただ、いい話。
ひとしきりおどけたあとのベルントの、
「生き続ける限り、希望がある」という言葉は甘いかもしれない。
けれど心が揺さぶられます。

「笑いは最強の武器である」。
本作の公開直前に亡くなった作家、セバスチャン・ジャプリゾへのオマージュともなりました。
戦時中を描いた作品には、食べ物と音楽があれば
なんとかなるんだと思わされることが多いですが、ここに笑うことも追加。

作品中のお料理の話についてはこちらで。

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