夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『女王陛下のお気に入り』

2019年02月26日 | 映画(さ行)
『女王陛下のお気に入り』(原題:The Favourite)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:オリヴィア・コールマン,エマ・ストーン,レイチェル・ワイズ,ニコラス・ホルト,
   ジョー・アルウィン,マーク・ゲイティス,ジェームズ・スミス他

TOHOシネマズ梅田にて、『フォルトゥナの瞳』とハシゴ。
本館から別館へ移動しました。

アイルランド/アメリカ/イギリス作品。
ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督。明らかに変人です。
『籠の中の乙女』(2009)を観たときの衝撃と言ったら。
その次に観た『ロブスター』(2015)を観たときもぶっ飛びました。
受ける印象はミヒャエル・ハネケ監督と似ています。

18世紀初頭のこと。
イギリスは植民地をめぐってフランスと戦争の真っ最中。
君主であるアン女王の体調が思わしくないことを理由に、
宮廷の実権を握るのは側近のレディ・サラ。
何も決められないアン女王に代わり、戦争賛成派のサラは戦費の調達に奔走する。

そんな折り、サラの従妹だというアビゲイルが宮廷にやってくる。
元は上流階級の出だが、ろくでなしの父親のせいで没落。
サラを頼ってやってきたらしく、女中として働くことに。

可愛い外見とは裏腹にしたたたかなアビゲイルは、アン女王に取り入ることに成功。
サラも仕方なくアビゲイルを女官に据える。
以降ますますアン女王の歓心を買うようになったアビゲイルは、
サラの追い出しをも目論み、その計画を着々と進めるのだが……。

各国で高い評価を受けているからと言って、
映画をたまにしか観ない人には絶対に薦められない作品です。
つきあいたてのカップルとかは知的で面白そうだなんて思って観に行っては駄目ですよ(笑)。

面白いです、とても面白い。でもとても嫌な話。善人はひとりもいない。
アン女王はわがままでヒステリーなデブ女だし、サラはとにかくきつい。
いちばん食えないのはアビゲイルで、女の敵(笑)。

アン女王役のオリヴィア・コールマン、アビゲイル役のエマ・ストーン
サラ役のレイチェル・ワイズ、三者三様、皆上手。
彼女たちの演技を見るだけでも十分価値があるけれど、
下ネタも相当に生々しいから、想像してキモ!と思う人もいるかも。

わがまま言い放題のアン女王が何度も流産死産を繰り返し、
17人もの子どもを亡くしたことを語るときの表情はたまりません。
オリヴィア・コールマン、アッパレです。
エマ・ストーンのヌードは私は初めて見た気がします。
過去に脱いだことありましたかね。これで脱ぐんや。

実在の人物ばかり、よくもこんなに破廉恥といえば破廉恥に描くことが許されたなぁと思います。
許されるぐらい面白くはあるのですけれど。
これが史実だと信じたら怒られると思う(笑)。

本作にて第91回アカデミー賞の主演女優賞をオリヴィア・コールマンが獲得。
おめでとうございます。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする