実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社関係訴訟の被告適格(4)

2015-11-26 10:56:09 | 会社法
 実は、独立当事者参加をする際には、通常の訴えを提起する場合と同様に、訴訟当事者の双方または一方に対して請求を立てなければならないという点がネックになっているのである。つまり、解散の訴えに対して解散原因を争いたい株主が独立当事者参加を考えているとして、原告や被告に対してどのような請求を立てればよいか。これが大問題なのである。

 新株発行無効判決の事案と同じように、参加人が株主であることの確認を求める請求を立てればよいかというと、これがうまくいかない。なぜなら、参加人は、解散の前も後も引き続いて株主であることに変わりはなく、全く訴えの利益がないからである。
 この点で、新株発行無効判決が確定すると、第三者割当を受けた者が株主でなくなってしまうことから、自らが株主であることを争いうるのと、大きな違いがある。

 そのため、解散判決に関する判例の事案では、参加人は、原告の請求の棄却を求めるだけの請求を立てて独立当事者参加の申立をしたようなのである。しかし、単に請求棄却を求めただけでは、請求を立てたことになっていないといわざるを得ない。
 そのため、判例は不適法却下してしまったのである。

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