実務家弁護士の法解釈のギモン

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仮差押えと法定地上権(5)

2017-02-23 11:06:34 | 最新判例
 先走って述べてしまったが、仮差押えから本差押えに移行する場合の効力は、おそらく、本差押えの効力が仮差押え時に遡るイメージのはずである。これは、いわば仮差押えの順位保全効である。この順位保全効を不動産に対する仮差押えで考えると、差押えの仮登記のようなものだと思う。
 したがって、仮差押えから本差押えに移行するというのは、不動産でいえば、差押えの仮登記に基づく本登記請求のようなイメージがぴったりなのではないだろうか。通常の不動産の権利に関する仮登記から本登記請求をする場合と同じイメージである。

 ただし、登記簿を見れば分かるが、仮登記はその直後に空欄が設けられており、本登記はその空欄に記載することになる。登記の見た目にも順位の保全効が分かるような登記となっているのである。
 が、何度も述べているように、仮差押えの本差押えへの移行という部分の規定がないこととあいまって、仮差押えの登記と本差押えの登記とは、バラバラに行われてしまう。だから、一見すると、仮登記と本登記との連動性は分かりにくい。それでも解釈上は、本執行への移行により、仮差押え時に本差押えをしたものと扱えばいいはずだと思っている。