常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

青春懐古

2017年03月22日 | 日記


啄木の歌集を開くと、学生時代を懐古する甘酸っぱい青春の歌に心を打たれる。啄木にとって学生時代ほど夢と希望に胸をふくらませた時代はなかった。友と友情を育み、淡い初恋に心を震わせた。盛岡中学校では学業に打ち込み、成績もよく、先輩の影響で文学への関心を高めて行った。

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心

不来方はこずかたと読む。不来方城は南部二十万石の居城で、今は岩手公園になっている。この空を見上げながら、15歳の啄木はどんなことを思ったのであろうか。空に吸いこまれて行く少年の心は、友との友情も、初恋の思いもいつしか消えていき、ただ無心で空の青さに見入っていたのではないか。

わが恋を
はじめて友にうち明けし夜のことなど
思ひ出づる日

啄木の初恋の人は啄木が下宿していたほど近くの堀合家の長女節子であった。節子は女学校に通っていたが、堀合家に啄木の同級生が住んでいたので、自然の成り行きで親しくなって行った。バイオリンを弾く才媛で、歌を詠む啄木の才能に惹かれ、二人は恋文を交し、恋を語り合った。同級生の証言によると、啄木との恋におちた節子はみるみると、見違えるほど美しくなったという。後年啄木は節子と結婚する。

選抜高校野球に不来方高校が出場していた。啄木の後輩たちが、この城の名を背負い、甲子園ではつらつとプレーした。強豪静岡に敗れるも、不来方の名を全国に知らしめた。
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