昨日、突然フルート演奏会のチケットを友人から戴きました。演奏会は久しぶり・・・ 昭和音楽大学ユリホール。チケットは完売。
P.L ルーカスさん、御年なんと89歳の高齢の演奏家です。内心『大丈夫かなあ、この酷暑の中で・・・最後まで演奏に耐えられるのかしら?』なんて、夏バテ気味の私は密かに心配してました。
全席自由席なので、私は、気分が悪くなっても気軽に外に出られるようにと、中程の通路に面した席を選びました。足も伸ばせるし、舞台も全て見えるし良い席です!そこは5人掛けで、男性二人がすでに座っていて、私はその隣に、少しして女性が来て一つ置いた席に座りました。つまり、4席が埋まりました。
するとそこへ若い座席案内の女性がやってきて「すみませんが、詰めて座って頂けませんか」と言いました。「詰めるウ?」私達四人全員????マークがともりました! なぜ?どういう風に?全く意味も理由もわかりません!!
とうとう男性が聞きました「なぜ詰めなきゃいけないんですか」すると案内係は困って「あのう、空いてる席は詰めて頂いてます」と・・・「でも、この席の前は通路ですよ、詰めなくても十分座れますよね?」・・・
仕方なさそうに案内係はその場を去りました。「何考えてるんだろうね?」「何も考えてないね、マニュアル通りに席が空いてたら詰めるように言われているんだろ」(そう言えば彼女が持っていたボードにも空いてる席は詰めてと書いてありました。)「まあいかにも最近の子だわねえ」なんて、四人でちょっと話しが弾んじゃいました。
しばらくして、一人の女性が空いた席に座ろうとやってきました。私はちらっと見ただけでしたが、その方はじっと私を見つめています。え?空席かどうか聞いてるのかな?私はどうぞという顔をしたのですが、腰掛けてからも未だじっと見つめられて・・・あれ、と私も見返しているうちに思い出しました!
「ああっ、クラリネットの先生!」「そうです○○です」「うわあ、スミマセン!」・・・数年前に,短期間とはいえ個人レッスンして頂いたこの大学の先生を忘れるなんて!会が始まるまでの間色々話して、私がクラリネットは中学校のブラスバンドに寄付したというと顔を覆って残念がって・・・御免なさい 先生は今日のフルート奏者の伴奏をする田原さえさんから誘われたそうです。
と、前振りが多くなりましたが、いよいよペーター=ルーカス・グラーフさんの演奏が始まりました。
演奏は「すごい」としか表現のしようがありませんでした。ゆったりとした曲の豊かな音色から、超絶に速い激しい曲までどんなものでも軽々と演奏し、一曲毎に拍手喝采。 アンコールはなんと三回も!
全曲の中で一番心にしみたのは、福島和夫作曲の「冥 フルート・ソロのための」でした。尺八みたいな音色をはじめ、様々な音色が混じった鎮魂歌のような曲です。そして一瞬、フルートを外して口笛も吹いていました。
素晴らしい演奏会でした。そして、89歳の演奏ということにも大いに勇気づけられました。
「もう、トシだから・・・」は禁句ですね。