まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

監督責任

2010-05-27 17:32:38 | お仕事のオキテ
「監督責任」 という言葉は保護者や責任者などが、
自分が管理している人間が犯した過ちに対して責任を負うことを意味する、
広い意味の一般名詞ですが、
今日のところはスポーツにおける監督の責任という意味で使います。
その意味での 「監督責任」 に関して、普通の日本人は、
直近では、サッカー日本代表の岡田監督のことを思い浮かべるのでしょう。
それに対して私の場合は、東京ヤクルトスワローズの高田監督のことが真っ先に思い浮かびます。
しかし、いずれにせよ最近のホットな話題であります。
ただし私は、サッカー日本代表の最近の動向を知りませんし、
(韓国戦で負けたことどころか、そんな試合をやっていたことすら知りませんでした)
ヤクルトスワローズの最近の動向も知りませんでした。
(ダントツのビリだということは知っていましたが、交流戦0勝ということは知りませんでした)
したがって、岡田監督の采配や高田監督の采配についても何も知りません。
ただ、どちらもネット上で相当批判されているところはよく見かけました。
そして、今日になって高田監督が休養 (事実上の辞任) したということを知ったのです。

シーズンの途中 (しかもこんな早い時期) に辞任を決意した高田監督、
留任してこれからすぐにワールドカップに臨まなければならない岡田監督、
どちらも苦渋の決断だったのでしょう。
私としては、これらの件に関して何の意見もないのですが、
ただまあファンの人たちの喧噪を見ていて思うのは、
プロスポーツの監督というのはたいへんな仕事だなあということです。
監督はどこまで責任を負わなければならないのか、
別の言い方をすると、監督の力でどこまで勝ったり負けたりできるのか、
これって難しい問題だと思うのです。
けっきょくフィールドに立って実際に戦うのは選手たちなわけですから、
名監督が采配をふるえばそれでどんなチームでもすぐに勝てるというわけではないでしょう。
しかも、采配というのは結果論でしか評価できませんから、
当たれば名采配として激賞されますが、外れれば迷采配として非難の的となるわけです。

それよりも、監督としての本来の腕のふるいどころはチーム作りの部分でしょう。
しかし、これにはまず時間がかかりますから、
例えば野村さんが監督になればすぐに優勝できるというようなものではないわけです。
でも、今の監督さんたちにどれくらいの時間が与えられているでしょうか。
マスコミもサポーターもフロントもすぐ結果を出すことを望みますし、
なんとか結果を出したとしても、翌年結果を出せなければすぐにまた責任が問われます。
しかも、チーム作りは監督ひとりでできるものではありません。
特にプロ野球チームの場合、選手を集めてくるという意味でのチーム作りはフロントの仕事であって、
監督は与えられた手駒を短い期間で教育するという意味でのチーム作りしかできません。
日本代表チームの監督の場合は、選手集めというところから任せてもらえる場合もありますが、
それでもやはり完全に自由にやらせてもらえるわけではないでしょう。
(野球のWBC代表チームの場合は相当制約がありました)
そういう意味では監督というのは中間管理職にすぎませんから、
そんな人にどこまで責任を負わせるべきか難しい問題だと思います。

プロスポーツの世界というのは、本当にギリギリのところで戦っている世界ですから、
読売ジャイアンツのようにフロントがあれだけいい選手をザクザク集めてきたとしても、
だからといって、年間通して全試合勝ち続けるとか、
毎年リーグ優勝して日本一になり続けるなんていうことはできないわけです。
1試合1試合の勝敗にせよ、シーズンや大会全体を通しての成績にせよ、
けっきょくのところ人事を尽くした上で、あとは天命を待つしかないのであって、
ちょっとした偶然やたまたまの運によって良いほうに転ぶこともあれば、
悪いほうに転ぶこともあるでしょう。
しかし、人はなにかある結果 (特に悪い結果) が生じると、
その原因を探し出そうとしてしまう生き物であり、
しかも、複雑で複合的な諸原因よりも、単純でわかりやすい単一原因を求めがちですし、
責任を帰せない自然原因よりも、責任を帰することのできる人為的原因を好みますので、
勢い 「犯人捜し」 が行われることになるのです。
私にいわせると、たんに相手のほうがほんのちょっとだけ強かったとか、
たまたま相手のほうがツイていた、なんていうことはよくあるのだろうと思いますが、
そういう原因は、こちらが負けた原因とは認定してもらえないのです。
で、責任を取ることのできる1人の人間が犯人とか戦犯として名指されることになります。
これを私は 「犯人捜し症候群」 と呼んでいますが、
その恰好の生け贄となって、責任を取らされやすいのが監督なわけです。

うーん、監督ってたいへんな仕事だなあ。
会社の社長さんだって、業績不振になってもここまで責任を取らされたりしないよなあ。
(不祥事を起こした場合は別ですが)
ましてや一国の元首や首長は、戦争に負けようが国を借金まみれにしようがまったく知らん顔だし。
学校の先生が子どもの成長に対していちいち責任取らされたらたいへんなことになってしまうよなあ。
うーん、それに比べるとやっぱりスポーツの監督はたいへんだあ。
高田元監督、お疲れさまでした。ゆっくりお休みください。
岡田監督、がんばってください。お身体に気をつけて。

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2 コメント

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責任とは (サプライズ)
2010-05-27 21:06:34
監督として采配を振るうのは本当に難しく、今だけでなく、将来のチームを見据えて、育てることも必要で、高田監督になって三年目ですが、五年待つくらいに余裕を持たないといいものはできないと思いました。『果報は寝て待て』という言葉もありますが、実際のところ、未来からしか過去は客観視できないと考えるので、まだ解任は早いし、最後まで任せてもよいのではと思いました。
長文失礼しました
フロントの責任 (まさおさま)
2010-05-28 02:41:44
サプライズさん、コメントありがとうございました。
ミクシィのほうにはヤクルトのコミュニティで知り合ったマイミクさんが、
何人かいらっしゃるのですが、
このブログの読者で高田監督のことをご存じの方がいらっしゃるとは思っていませんでした。
この前の古田監督解任のときもひどいありさまでしたが、
このところスワローズのフロントはグダグダだと思います。
監督を任命した責任やチーム作りに失敗した責任をフロントがまったく取らないまま、
現監督ひとりに責任を負わせるのはいかがなものかと思います。
選手たちが悪いわけではまったくないのに、どうも最近はヤクルトの応援をする気になれなくて…。

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