まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

都会のお葬式

2013-01-14 13:39:11 | 生老病死の倫理学
東京で伯母の葬儀に参列してきました。
都会のお葬式はなんだかいろいろと勝手が違い、驚くことが多かったです。
例えばこういうのはフツーなんでしょうか?



ポータブル焼香箱です。
お通夜や告別式のときのお焼香といえば、読経の最中にみんなで祭壇の前に行列して、
遺族から順番にお焼香していくものだと思っていましたが、
今回は私たちが行列するのではなく、お焼香箱のほうがやってくるというシステムでした。
下に車のついた台の上に焼香箱が載っていて、
斎場の係の人 (台を押している人) が持ってきてくれるのです。
写真は初七日の法要のときですのでちょっと雰囲気がつかめないかもしれませんが、
こんなふうに↓こちらは座ったままで、焼香箱のほうがやってきてその場でお焼香します。



しかし、一番驚いたのは火葬場でした。
葬儀にはけっこう参列していますが、火葬場まで行く機会ってそれほどあるわけではありません。
今回、伯母の葬儀ということで久しぶりに火葬まで立ち会ったのですが、
都会の火葬場ってものすごいなと思いました。

今回利用したのは四ツ木斎場というところでしたが、
まず何がすごいって住宅街のど真ん中にあるのです。
父のときは横浜で葬式をあげ市内のどこかの火葬場に行ったのだと思いますが、
どこだったか定かではありませんが、そこそこ山の中というか、
人里離れたところに火葬場はあったような記憶があります。
ところが今回は東京ですから、葬儀場からいくらバスで走っても、
いつまでたっても市街地の中なのです。
こんな調子でいつになったら火葬場に着くんだろうと思って煙突を探していたら、
まったく思いもかけないようなところにバスは入っていきました。
煙突なんて見当たりません。
そして、焼き場の建物のすぐ脇に隣のマンションが建っているのです。
煙や臭いはどうなってるんだろうと気が気でなりませんでしたが、
滞在時間が短かったのでいろいろと取材してくることができませんでした。

その滞在時間が短いという点が第2の驚きでした。
とにかくすべてが流れ作業のようにスムースです。
霊柩車とバスが玄関に着くと、担当の係の女性が待ち構えていて、一行を整列させます。
その間に係の男性数名が棺と位牌と遺影をあずかり、
玄関入ってすぐのところにある焼き場に運んでいきます。
玄関のところに 「写真撮影はご遠慮ください」 の掲示が出されていたので、
写真を撮れなかったのが残念でなりませんが、
火葬炉の前でいったん棺を停め、ほんの数分間遺族と最後のお別れをします。
そして、棺を閉じ炉に納めすぐに点火です。
同行した住職が短いお経を唱える間にみんなでお焼香をしたら (ここでは4列の行列を作った)、
先ほどの女性係員の案内で待合室へと連れて行かれます。
こちらは火葬炉は9つあるらしく、バスは何台も停まっていて、
焼き場のあたりには何組も団体がいましたが、混乱することもなくすべては整然と進行します。
待合室も炉の数と同じくらいあって、それぞれ70~100人くらい入れそうな大きな部屋で、
どの団体がどの部屋かもあらかじめ割り振られておりそこに通されます。
5~6人ずつ座れるテーブルにはビールやジュースやウーロン茶の瓶と、
お饅頭やらチーズ鱈の袋が置かれており、焼き上がるまでそこで待ちます。
係の女性はずっと付いてくれていて飲み物がなくなると持ってきてくれます。
飲み物類は飲んだ分だけの精算で、食べ物類は込みになっているらしく、
残ったお饅頭などを持って帰るためのビニール袋までくれました。

当初、火葬場では1時間半くらいの時間が見込まれていました。
それでも十分短いなと思っていましたが、
待合室で待たされた時間は正味30分もありませんでした。
父のときも祖母のときもここで延々と飲み続けてベロベロになった覚えがあるのですが、
ひとり1本も飲まないうちに 「収骨の時間ですので下にお戻りください」 と呼び出しがかかりました。
炉の脇に収骨用のスペースが2箇所ほどあり、そこでお骨を壺に収めていきます。
30分もかかっていないというのに、棺やその他もろもろは完全に消失して、
みごとに遺骨と、棺に使われていたいくつかの金属片だけになっていました。
不謹慎な言い方になりますが、まるで料理番組のようです。
「はい、こちらにあらかじめ焼いておいたものをご用意しておきました。」
それぐらい、このほんのわずかな待ち時間のあいだにあれがこれになったとは、
とうてい信じられないようなスピーディさ、お手軽さなのです。
そうして収骨の係の人も、あくまでも丁寧に、しかしむちゃくちゃスピーディに、
遺骨を骨壺に収めて喪主に渡し終了です。
最後はバスで同行した葬儀場の女性がみんなを整列させ、バスまで案内して乗車させます。
ここまで丸1時間もかかりませんでした。
四ツ木斎場のパンフレットをもらってくる余裕もありませんでした。

本当にみごとな流れ作業です。
すべての応対も所作もひとつひとつとても丁寧ですので文句は何ひとつありませんが、
それにしてもものすごいスピードなのです。
都会の火葬場はこうやって数をこなしていくんだなあと思いました。
火葬場に向かうバスに乗る前に、
「コート類は置いていっていいですから」 と言われた意味がよくわかりました。
以前の葬式のときは火葬場で待たされてものすごく寒い思いをした覚えがあるのですが、
そんな心配はまったく要りませんでした。
寒さに震えているヒマなどまったくないのです。
おかげさまで不便・不快な思いはまったくせずにすんだのですが、
ただなんだかとにかくせわしない感覚が妙に残りました。
近代合理主義者の私としては、
一切のムダを省いたこのスピーディなシステムをものすごく賞賛しているのですが、
その一方で、本当にこれでいいのだろうかという逡巡も拭えません。
この問題については、いろいろな形式を経験してみてから結論を出したいと思います。
さて、福島の葬儀はどんな感じなのでしょうか?
福島に親族はいないので私が火葬場まで行く機会はそうそうないだろうと思います。
ご存知の方、いろいろと教えていただければと思います。


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4 コメント

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葬儀も合理化ですか (えい)
2013-01-14 15:33:37
ものすごく合理化されているのですね。
最近はそのようなシステムの斎場が増えているのでしょうか。
それとも都心ならではでしょうか。
私も明後日、五反田の桐ヶ谷斎場にてお通夜に参列するので、お焼香などにも注目してみます。
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興味津々 ()
2013-01-15 18:35:19
すごいですね!

田舎では、焼きあがるまで時間があるから、いったん帰って食事しますけどね。


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レポーター (まさおさま)
2013-01-18 22:01:10
えいさん、コメントありがとうございました。
長年、都会で暮らしているえいさんにもやっぱりこれは奇異に映るのですね。
五反田の桐ヶ谷斎場がどんな感じだったか、ぜひリポートお願いします。
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欧米かっ! (まさおさま)
2013-01-18 22:04:25
桃さん、コメントありがとうございました。
どんだけ火力弱いんだか。
あるいはたんにすり替え (こちらがあらかじめ焼いておいたものです)をしていないだけか?
それにしても一度家に帰るなんて…。
あまりに違いすぎる…。
欧米かっ!
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