暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

クリスマスイブに曨月の茶事へ・・・・1

2016年12月29日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)


(写真はすべて相客K様からです)

今年も残り3日となり、年内にどうしても書いておきたい茶事があります。

12月24日に曨月の茶事へまいりました。
ご亭主のTさまは今お茶事に燃えていて、まさに旬の方です。
毎月お茶事をやっているそうで、しかも一人亭主で懐石までなさるとか。
・・・そんなTさまの心意気に同感しながらも、同門ということで正客の指名があり、初めてのご亭主、連客3名さまとも初めての御目文字に多少の不安を覚えながらの参席でした。

暁庵のお茶サロン
で初めてのお客様をお迎えすることはあるけれど、まさに逆の立場です。
頭と心を柔らかくして、どんな事があっても受け入れること!」と自らに言い聞かせました。
・・・でも、心配は全く無用でした。

その日はよく晴れていました。
客4人は近くの駅で待ち合わせ、Tさま宅へタクシーで向かいました。
待合へ入ると、「忙中閑」の画賛、太湖に舟を浮かべた釣り人が一人、月を眺めながら悠然と釣り棹をたらしています。
その様子は、師走のクリスマスイブに集った私たちのよう、同じ舟に乗ってこれからお茶を楽しむのでしょうか?



庭の腰掛待合で蹲踞の筧の水音を心地好く聞いていると、ご亭主の迎え付けです。
初めて御目文字のご亭主Tさまと心を込めて無言の挨拶を交わしました。
庭先から八畳の茶室へ席入りするところは、我が家と似ています。
床には「今日無事」の軸、天竜寺牧翁和尚のお筆です。
そして、備前でしょうか、種壷が帛紗の上に荘られていました。
点前座にまわると、壁際にクリスマスの飾りが煌めき、炉には存在感のある釜が掛けられていました。

「なんて素敵なお釜かしら! この形はなんというのかしら? 御作は?」
戦国武将を思わせる堂々とした佇まい、天明を思わせる釜肌、乳母口、三角の尖った鐶付があり、海松貝などの地紋も見えます。
後でお伺いすると「塩屋釜」、門脇喜平作(たしか?)とのことで、
「鐶付のところに穴があり、湯が沸くとそこから湯気が出てくるのです。そこが気に入っています」
初炭が終わり、懐石の終わりころにしゅんしゅんと釜から湯気が出始めると、小さな穴からも・・・期待に応えてくれました。



手づくりの懐石が凄かった!です。
かわいらしい注連縄が飾られている雑煮碗が出ました。
「最初に注連縄を下に落として、今年の厄を落としてください」とご亭主。
なんて素敵なご趣向なのでしょう! 
皆、喜んで厄落しをしてから次々出される懐石を次々と平らげていきました。



一人で料理し、盛付けし、運び出すというのは、とても大変なことなのですが、微塵もそんなことは感じさせず、本当に料理好きで、おもてなし好きなのだなぁ~と感心しました。

もうもう満腹でしたが、伊勢土産という主菓子「宇治橋」(藤屋窓月堂製)を頂戴して中立しました。(つづく)


     クリスマスイブに曨月の茶事へ・・・・2へつづく


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