本シリーズもいよいよ最終回。
施工時のちょっとした注意点や小技をまとめてみたよ。
【PZ系キャブレターの配管関係】
ガソリンコックからの燃料ホースやフロート室内の圧力を大気圧
と同じにする大気開放ホースはここに接続。
大気開放ポートはそのまま放置しても良いけれど、埃や雨水が侵
入すると厄介なので、ホースが太くてブカブカでも被せる程度に
差し込んでおくと良い。
燃料蒸気還元装置の接続ホース。
最初は臨時で透明の耐油ホースを使ってたが、耐久性に難がある
のでちゃんとした物に変えたよ。
キタコのフューエルライン・ホース 105-051 が丁度良い。
ドレンホースにも使える。
ずれ止めバンドは9mm用がピッタリで、バイク用品店などに
キタコや武川、キジマなどの数個セットがあるし、ホムセンの
ホースや園芸用品売り場でも見かける。
俺はカインズホームで買ったが、地域のホムセンの中で最安値の
30円台だった。
ドレンホースはエンジン後部とフレームの隙間から下へ垂らす。
キャブ内のジェット類を交換する時は、ドレンボルトを緩めると
ここからフロート室内のガソリンが排出されるので、コップで
受けてタンクへ戻すとよい。
【燃調時(空燃比セッティング)の工夫】
燃調でジェット類を交換する時は、固定ボルト2本を外してから
バンドを緩める。
横倒しにするとキャブ本体を外さずに交換可能だ。
何かの拍子に部品が落下してエンジンの隙間などに落ちないよ
に、下にウエスを敷く事を強く勧めします。
スロットルバルブの扱い。
この構造をよく観察する。
バネを縮めながらワイヤーを付けたり外したりするのだ。
初めて作業する人はここで苦労するらしいけど、分かってしまえ
ば簡単な構造だよ。
ジェットニードルの固定クリップ。
これは板バネ構造。
ジェットニードルを下から押す。
押せばクリップごとジェットニードルが抜ける。
細かい燃調時(特にスロットル1/8~1/2開け時のセッティング)
のクリップ位置変更。
5段の溝の中から選ぶ。(標準は中間位置の3段目)
写真は俺が決定した燃調時でM3小丸ワッシャーを併用した。
純正エアクリとマフラー時のセッティングデータ
・メインジェット#102
・パイロットジェット#38
・ジェットニードル段数 上から2.5
・パイロットスクリュー 1・1/2回転開け
シムはバイク用品店かラジコン模型店でも買えるだろう。
細かく気にしないなら2段か3段のうちの好みの燃調でどうぞ。
固定クリップの装着。
ジェットニードルを戻したら固定クリップを浅くはめる。
スロットルバルブのスプリングで押すとそのまま底までクリップ
が移動する。
先細なラジオペンチを使わなくても簡単にセットできるのだ。
スロットルバルブ装着時は方向に注意する必要がある。
方向を厳守しないとエンジン始動直後にいきなり高回転になって
しまうのだ。
【チョークケーブルの引き回し】
運よく純正のチョークケーブルをそのまま流用できたのは良い
けれど、キャブ側の位置が変わった関係で若干長さが足りなくな
った。
このように引き回しのルートを変更すると問題なく使う事が出来
るので、引き回し変更をすると良い。
【厳冬期の始動手順について】
ビッグキャブ化によってキャブヒーターが無くなったけれど、
まったく問題なし。
アルミインテークのおかげでエンジンの廃熱が適度にキャブを
温めるため、厳冬期でも時間が経てば超安定するよ。
そして、寒い日はチョークを使って始動した方が楽なので、以下の
手順で行えば問題なし。
1:チョークレバーを引く(効かせる)。
2:スロットルを約2mmほど開けながらスタートボタンを押す。
3:エンジンがかかったら、そのまま5秒待ってチョークレバーを
戻す。
4:2000~3000回転を維持するようにスロットルを微調整。
5:30秒から1分程度で回転が上がりだすので、スロットルから
手を離してもかまわない。
6:これからが「暖気必要時間」なので温めるかゆっくり走り出す。
コツは3のチョークレバーを戻すタイミングで、初爆(最初の点火)
が起きたらチョーク動作は用済みなのだ。
ここでいつまでもチョークを効かせていると、かえってプラグにカ
ーボンが蓄積して再始動しにくくなる。
始動性の良し悪しは初爆の良し悪しであって「暖気必要時間」では
無いから「早々に点火するなら始動性は良好」と判断すればよい。
【その他の小技】
スロットルのあそびが無い時はどうする?
あそびが多い時とは逆にアジャスターナットであそびが確保でき
ない場合、臨時にスロットルパイプ(スロットルコーン)に
5~6mmくらいの穴を追加して、ワイヤーに少し余裕を持たせ
る技があるのだ。
入手したスロットルケーブルの個体差は各自で補ってください。
別売のスロットルグリップセットも使用可能。
実はヤマハ純正以外のスロットルパイプやグリップ付きセット
も流用可能なのが多い。
検索用語「摩托车油门胶手」
緊急注文した中に入れておいた物だけど、今回ビッグキャブ化
した時に装着して遊んでみたのだ。
このレトロ感あふれるグリップセットは30元(約600円)なので、
良い買い物だったよ。 id=535743310800
感触は「健康サンダル」。
冬用グローブなら問題なく良く食いついてくれるが、薄手グローブ
だと凸凹感が少し伝わってくるし素手だと痛い。w
可能なかぎりポン付けできる部品選定をしたつもりだけど、少し
工夫は必要だったなあ。
上手に組み合わせれば特殊な工具を使わずに組めるから、楽をし
たければ部品注文はケチらない方が良いだろう。
個人輸入が頼りなので、後から買い足しするにも送料・手数料や
時間が無駄にかかるのだ。
買うなら一回で済ませた方が結局早くてお得だよ。
以上で今回行ったYB125SPのビッグキャブ化シリーズはおしまい。
時々見直して加筆や修正は行うと思う。