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本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

辻村深月 著 『かがみの孤城』

2017-07-31 | 本の紹介
夏休みに入って10日、天気のはっきりしない梅雨のような近頃ですが、今日で7月も終わりです。
今月の読書は以下の8冊、良いペースで読めています。

holyの本棚 - 2017年07月 (8作品)
アノニム
アノニム
原田マハ

読了日:07月16日

かがみの孤城
かがみの孤城
辻村深月

読了日:07月21日

生きかた上手
生きかた上手
日野原重明

読了日:07月23日

星の子
星の子
今村夏子

読了日:07月30日

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話題の新刊本を中心に読みました。
今回紹介するのは、辻村深月 著『かがみの孤城』(ポプラ社)、
私は辻村さんの作品を『ツナグ』『島はぼくらと』『東京會舘』等、10作以上読んでいます。
書店でもこの作品は平積みにして、大キャンペーンを繰り広げて売り出していますので、
大いに期待しながら読み始めました。
ストーリーは・・・
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた主人公の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始め、
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――

この作品を読みながら、以前読んだ冲方丁さんの『十二人の死にたい子どもたち』
とモチーフが似ているなぁと思っていました。
この作品は・・・廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち、
初対面同士の子どもたちの目的はみんなで安楽死をすること、というストーリーでした。
似ているのは、同じ境遇の子どもたちが集まって自分や相手の事を語り合い、
その結果、現実に戻っていくことが出来るようになる、という点です。
今の子どもたちに足りないものがあるとしたら、それは「語る」ことなのかもしれません。
友人たちとのおしゃべりやふざけ合いや騒ぐことはできても、心の内を語ることが出来ないし、
安心して語れる友人がいない。
子どもだけではなく大人でもそれは難しく、
お互いが傷つかないように当たり障りのない表面的な付き合いになりがちです。
心の内側を真摯に語っても大丈夫と思える友人を得ることは、誰にとっても難しいです。
でも、「語る」ことで自分をより深く知り、他人からの言葉や忠告を受け入れ、
一歩踏み出した少し違う自分になって、強くなって、現実の世界と向き合えるようになります。
たった一人でもいいから自分を認めてくれる友人がいたら、生きる勇気が出るものです。

小中学生の生きる世界は家庭と学校だけになりがちです。
そのどちらかに、あるいは両方に問題がある場合、どうしても行き詰まってしまいます。
もっと広い他の世界があり、自分に近い人たちが他の場所にはいるかもしれませんが、
他の世界へ逃げることが出来ない場合、「本」の世界へ逃げることも一つの手だと思います。
夏休み、子どもたちにとって心安らぐ期間であって欲しいと思っています。

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