万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日韓EPA―ウォンのステルス操作をどうするのか

2011年09月22日 15時33分01秒 | 日本政治
日韓首脳、EPA交渉再開へ協議促進で一致(読売新聞) - goo ニュース
 市場のグローバル化に伴い、二国間や多国間のEPAやFTAが持て囃されるようになりました。野田首相は、韓国の大統領との会談で、韓国とのEPA交渉に向けて協議を再開すると述べたようですが、この協定、日本国側にとりましては、リスクが高いと思うのです。

 何故ならば、韓国政府は、積極的に為替市場介入し、ウォン相場を操作しているからです。もし、為替政策に関する合意を抜きにして、日韓でEPAを締結するとしますと、円・ウォンの為替相場の変動は、両国間の輸出競争力に直接影響を与えることになります。おそらく、韓国政府は、対日輸出を促進するために、対円相場をウォン安に誘導することでしょう。以前は、日韓の間には技術力に格差がありましたので、恒常的に韓国は対日赤字でしたが、日本企業の技術流出や韓国企業の成長により、技術差は縮小し、震災後には、韓国から部品を調達する企業も増えていると報じられています。競争力を失った日本企業が、ウォン安攻勢をかけられますと、さらに苦境に立たされることになります(韓国政府は、現在でも円買介入を行っており、日本国政府も、対抗措置として、ウォン買を行うべきとする指摘もある・・・)。相手国が、公表せずにステルスで為替操作する国では、日本企業は、公平な競争条件で活動することはできません。

 もっとも、韓国は、巨額の対外債務を抱えるために、ウォン安は望ましくなく、今度は、ウォン高に介入するとの憶測も流れていますが、おそらく、市場介入は対ドル・対ユーロとなり、対円では、ウォン安を維持したいはずです。韓国の為替政策が、自己中心的であり、かつ、不安定であることを考えますと、EPAの締結には、慎重であるべきです。それとも、民団から違法に献金を受けていた民主党政権は、韓国の国益のためにこの協定の締結を急いでいるのでしょうか。

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