万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国有財産の証券化案―小沢前幹事長は売国奴か

2010年09月03日 15時06分42秒 | 日本政治
無利子国債発行、市場への影響含めた検討が必要=財務相(トムソンロイター) - goo ニュース
 小沢前幹事長は、先の衆議院選挙でのマニュフェストを実行するために、何としても財源を見つけ出したいようです。苦肉の策として、無利子国債の発行や国有財産の証券化を言いだしたようですが、無利子国債については別の機会に譲ることとして、本日の記事では、国有財産の証券化に伴うリスクについて指摘しておきたいと思います。

 第一に、継続を前提とした政策の財源を捻出するために、国有財産(不動産?)に手を付けることは、いわば、国家が”売り食い”をしている状況に等しくなります。証券化という手段であれ、国有財産が全て売却されてしまえば財源も消滅しますので、この政策はもはや続けることはできなくなります。

 第二に、もし、この国有財産が一定の収益を生み、それが歳入として国庫に入っているとしますと、政府は、むしろ、安定した財源を失うことになります。そもそも、収益の期待できない不動産に投資する人はいませんので、有望な国有財産の証券化は、長期的に見れば、財政の健全化には逆行します。

 第三に、一度に国有財産を大量に証券化しますと、市場価格の低下が心配されます。郵政民営化に際しては、かんぽの宿といった資産が、二束三文で売却されたことが問題となりました。

 第四に懸念されることは、中国の政府系ファンドによる大量買い付けです。最近、中国は、日本国債の購入を急激に増加させており、既に1兆を超える国債を保有しているとのことです。ここにきて、国有財産の証券化を行いますと、日本国の資産が、そっくり、中国に移るとも限りません。

 不動産売買を”趣味”としていたとされる小沢氏らしい発想なのですが、政権維持のために、国家の財産を売り飛ばすとなりますと、小沢氏は、正真正銘の売国奴になるのではないでしょうか。


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