万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

移民1000万人で日本は崩壊

2008年07月10日 16時34分52秒 | 日本政治
移民1000万人構想 「職場奪われる」 与謝野氏が批判(産経新聞) - goo ニュース
 日本国民は、「移民1000万人構想」を望んでいるのでしょうか。よくよくこの構想をシミュレーションしてみますと、どうやら失敗しそうなのです。

 第一に、新自由主義者である中川秀直氏が言い出したことにしては、市場のメカニズムを無視しています。移民受け入れの最大の理由は、少子高齢化による労働力の不足であるようですが、将来における雇用の変動は正確に予測することはできません。今後、技術革新や合理化によって、労働力の省力化が起きる可能性もあるのですから、1000万人の移民は、そのまま失業者になるかもしれませんし、あるいは、与謝野氏の述べるように、日本人の1000万人が職を失うかもしれません。

 第二に、資源に乏しく、食糧自給率の低い日本国が、大量の移民を受け入れることは危険です。しかも、昨今の資源高や食糧価格の上昇傾向が今後も続くとすれば、日本国の景気は後退せざるを得ません。つまり、労働力不足どころか、自国民の雇用の喪失こそ心配しなくてはならなくなるのです。現在でも、ニートや派遣の問題もありますし、失業率も0%ではありません(労働力不足の根拠はどこに?)。

 第三に、少子高齢化による高齢者問題は、公的年金制度の改革などによって解決することも可能です。移民受け入れだけが、唯一の問題解決の手段ではなく、むしろ、移民に高齢者を扶養させようという考え方は、身勝手とも言えます。

 第四に、メリットのみを強調し、移民受け入れのコストを無視していることです。移民の人々の社会保障、子弟の教育、就業条件などは、日本人と同じにしませんと、差別的待遇として、批判を浴びることになりましょう。

 最後に、根本的な問題として、たとえ、1000万人の移民を受け入れることで、日本国が現在の経済力を維持したとしても、別の国になってしまったら意味がないのではないか、ということです。移民の社会統合が極めて難しいのは、ヨーロッパ諸国で実証済みであり、現在では、失敗策として認識されています。長野の聖火リレーで見せた中国人の人々の動員も、この懸念を裏付けています。

 文化や慣習の異なる1000万人の移民が狭い国土の日本国に押し寄せた結果、日本社会に分裂がおこり、民族間の緊張を孕むようになったとしましたら、それこそ、日本人の不幸の始まりです。多文化共生の言葉はきれいですが、実際には、細分化された文化の単なる寄せ集めとなり、自国の伝統文化さえ守れなくなるかもしれないのですから。

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