クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

鴻巣の“大間”に中世の館跡がある? ―伝源経基館跡―

2013年10月07日 | 城・館の部屋
夜、遠くに見える鴻巣のマンションの明かりを見ると、
なぜか妙に切なくなる。
見知らぬ町ではないのに、とても遠いところへ来てしまったような、
そんな寂しさに似ている。

新興住宅が建ち並び、発展著しい鴻巣だが、
中世の館がポツンと残っている。
まるで、そこだけ時間が遅く流れているように、
堀や土塁が現存しているのだ。

“源経基”の館跡と伝えられる。
経基は貞純親王の子で、源姓を賜り、清和源氏の祖と言われる人物だ。
武蔵介として、“興世王”と共に入部したというが、
この館跡が本当に経基のものなのかははっきりしない。

ちなみに、入部に際して“武蔵武芝”との諍いがあった。
この諍いには、かの“平将門”も絡んでくる。
これをきっかけに将門の乱が起こるわけではなかったが、
別の理由で挙兵に及び、「新皇」を称したとき、
経基は副将として参加している。
ただ、実際に将門の乱を鎮圧したのは、
“藤原秀郷”と“平貞盛”の軍勢だったことは周知の通りである。

鴻巣に残る館跡は、この源経基のものだろうか。
館は方形で、「城山」とも呼ばれている。
ちなみに、伝源経基の館跡のある鴻巣市大間の「マ」は、
狭間の低湿地を指しているという。
自然要害に囲まれた館だったのだろう。
かつては寂しいところだったに違いない。

だからだろうか。
妙に切なく見えるのは……。
遠くに灯る鴻巣の明かりは、
もののふたちの夢の気配がする。


埼玉県鴻巣市





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本一長い川幅は何メートル? | トップ | 関宿城攻めに3つの城を拠点... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

城・館の部屋」カテゴリの最新記事