クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

年末年始は本を片手に史跡めぐり? ―資料展示「越後の龍 上杉謙信」―

2018年12月30日 | ふるさと歴史探訪の部屋
12月30日現在、年末年始で休館ですが、
埼玉県立熊谷図書館において「越後の龍 上杉謙信」と題して、
上杉氏や謙信、またゆかりの人物や城に関する資料(蔵書)を集めた展示を開催中です。

これは、埼玉県立嵐山史跡の博物館で開催中の企画展「越山―上杉謙信侵攻と関東の諸城―」に関連しての展示なのでしょう。

展示資料リストを見ると、熱い本たちが一堂に会しています。
80年以上、羽生城研究に命を燃やした冨田勝治先生の『羽生城―上杉謙信の属城―』もピックアップされていました。
そしてガラスケースに展示。
20代の頃、心躍った本もたくさん展示されており、
研究者たちの息吹が伝わってくるようです。

ところで、年末年始は読書と史跡巡りが比較的可能な時期です。
振り返っても、忘れられない史跡との出会いや、
後年とても影響を受けた本を読んでいたのも年末年始だった気がします。

1年の中でも、世界中がお祝いムードに包まれる時期です。
どちらかと言えば、僕は内省的に過ごしたい方で、
親戚挨拶や初詣、人と会う時間以外は史跡巡りや読書、
もしくは執筆などで世界を深めたいと思って過ごしてきました。

言っても、20代の頃は時間がありました。
自転車を走らせて神社参詣のハシゴをしたり、
コタツに入って1冊の本を書き写したりと、
お酒は飲まなくても本と史跡があれば十分酔えたものです。
その酔いはいまも続いていて、二日酔いどころではありません。
二十年酔いはしているでしょうか。

歳月は流れ、まつやま書房さんから声がかかって2冊の本を上梓しました。
ふと思いました。
自分が本と過ごした年末年始のように、
楽しい思い出として残っているように、
自分の出した本が誰かのそばにいられればいいな、と。
そして、それをもとに埋もれた歴史や史跡に会いにいくきっかけになれれば、
これ以上の喜びはありません。

『歴史周訪ヒストリア』は、羽生・加須・行田の“城”や“古墳”、“神社仏閣”、
『古利根川奇譚』は、羽生から杉戸町にかけて残る“伝説”や“河畔砂丘”について取り上げました。
自分で書いたものだからというわけではありませんが、
もしも受け手だったならば、本を片手に史跡巡りをしたくなる気がします。
(そもそも、自分自身が巡って楽しいから本に書いたのですね)

2018年の暮れは寒波が到来しています。
年末年始はどうお過ごしでしょうか。
実家に帰る人、旅行に行く人、家で過ごす人、勤務する人などさまざまだと思います。
暮れにどんな本を読み、
新年とともにどのような本を手に取るでしょう。

「心に残る本」リストに挙がり、
ガラスケースに展示をしたくなるような本と出会いたいですね。

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2 コメント

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Unknown (treasure)
2018-12-30 23:09:34
歴史周訪ヒストリア、読み終わりました。古墳から始まり城跡を経由して神社仏閣からの視点で書かれていますが、古墳は古墳として、神社仏閣は神社仏閣としての建造物として単体と見てしまってました。古墳は被葬者が権力者であることを示唆していますし、神社仏閣も由緒を調べると、時の権力者との縁も分かります。

こう考えて改めて羽生、加須、行田の歴史的な場所をみると、見え方も変わりますね。登場する城跡では、羽生城は勿論、花崎城がやはり気になりますね。

油井城の城主と比定される猪俣小平六則綱の名前を読んだ時は、信長の野望で後北条氏を選択すると家臣として出てくる猪俣氏かなと思いましたし、池波正太郎の「真田太平記」では、真田氏の名胡桃城を攻撃した人物として書かれています。

最近では、毎日新聞の埼玉版で歴史探報というコーナーがあり、五十子陣から始まって武蔵でどのように古河公方が擁立されて、山内・扇ケ谷上杉氏の内紛が起きたかが書かれています。忍城や羽生城が出てくるのか楽しみでもあります。これもあって、クニさんのヒストリアは一気に読んでしまいました。

長くなりましたが、資料展には行ってみたいと思います。今年もあと数時間と明日だけになりましたが、良いお年をお迎えください。
Unknown (クニ)
2019-01-01 09:27:12
拙著を読んでいただき、ありがとうございます。
古墳造成から寺院の建設に移り、全ての神社仏閣が該当するわけではありませんが、権力の象徴としての一面がありました。
地域の何気ない場所にも時の権力者や歴史が刻まれていますね。
花崎城は、幼心にただの公園ではないことを感じたのを覚えています。
いま足を運んでも「公園」ではなく「城跡」です。
まだ何か大きなものが秘められている気がします。
線路の向こう側で障子堀が検出されたわけですが、歴史ロマンをかき立ててくれます。

毎日新聞の連載に羽生城が出てくるといいですね。
忍城、特に水攻めは登場しても羽生城はなかなか光の当たらない城。
でも最近は博物館の展示なので取り上げられていますから、少しずつでも認知度は上がっていますでしょうか。
「広田直繁」や「木戸忠朝」の名前が出てきたらすごいな……
中央政権を中心とする教科書に慣れ親しんできた者にとって、関東戦国史は新鮮にさえ感じられます。
また機会があれば、古墳や城を取り上げたいなぁと思っています。

遅ればせながら、新年が明けました。
喪中なので「おめでとうございます」とは言えないのですが、新たな気持ちで過ごしていきたいですね。
「平成」もカウントダウンが始まりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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