雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

フラットパネル不要の雪国の空で(検証その3)

2014年02月18日 | 画像処理のはなし
これでフラット補正に関する検証記事は3回目。
そろそろ読むほうも集中力が切れて来た頃かと思いますので
連載は今回で一区切りといたします。

前回はフラットファイルのダーク減算も行う事で、ゴミの影や周辺減光は
ほとんど補正できたのですが、わたしにとっての最大の課題であった
カメラ内部のミラーBOXなどによるカゲリがまだ残っていました。
その原因を、
鏡筒の先に付けたフラットパネルで光が散乱し、
カメラ内部の構造によるカゲリが撮影時とは違ってしまうため。
と推測しました。
そこで、フラットパネルを外してフラット画像を取得する事にしました。
どうやって?
冬のあいだ、星どころか満月が出ててもわからない雪国の空で。
昼間でも充分フラットな鉛色の空だったのですが、シャッター速度が高速になる事を嫌って、夜まで待ちました。

夜間にフラットパネル なしで撮影したフラット画像です。
これでは、どう変わったのかわからないので、
昼間フラットパネルを付けて撮影したフラット画像と比べてみました。(RGB別特性)

フラットパネル あり 昼間 1/250sec ISO1600

フラットパネル なし 夜間 8sec ISO1600

見た目はほとんど変わりませんが、フラットパネルが無い方が
画像下端のかげりや周辺減光が、より撮影画像に近いようです。
(当然と言えば、当然。)

フラット補正後撮影画像の光度特性比較(RGB別)です。
フラットパネル あり

フラットパネル なし

フラット処理後の画像だけを見ても、違いがわかりにくいので省略したのですが、
弱くはなっているものの、フラットパネルなしでも下端のかげりは残りました。
がっかりしましたが改善は見られたので、今後フラットパネルなしで行くつもりです。

最後の頼みのつなは、コメントでいただいた
ピントが合っていないのでは? 」 というもの。
2階の窓から見える木の枝を使って、それよりきもち遠めに合わせただけなので・・
どうか、大きくズレていてくれ!
昼間、鏡筒を外して遠くの山で確認したら・・合ってました。(エライ!

ほかに打つ手はあるのでしょうか?
もし、あるとしたら・・
が言っておられた
『 いかに撮影時の状態に近づけるか。 』 なんでしょうね。

それでも、以前に比べれば大幅な改善になっている訳で
今回検証用に撮ったフラットを使って、以前の画像を再処理してみました。

NGC1300銀河(エリダヌス座)
( 左が以前のもの 右が新フラット処理  いずれもトーンカーブ調整まで終わっています。)
今回の検証にも使った画像ですが、以前のものは簡易なフラット処理を行ったうえ、
周辺減光補正までやっても、背景のむらやゴミの影が残っています。
新しいフラット処理をした画像では、周辺減光補正は不要のため省略していますが、
強めの画像処理を行うと、下端のカゲリが見えてきます。

トールのかぶと星雲(おおいぬ座)
( 左が以前のもの 右が新フラット処理  いずれもトーンカーブ調整まで終わっています。)
以前のものは周辺減光補正を行っていますが、新フラット補正の画像では行っていません。
これまでは、残った画像むらはFlatAideなどでこのあと補正していました。

(追加報告)記事はこちら→

==========================================
何回も続いたフラット補正の検証ですが、
元はといえば画像下端のカゲリが気になって、
コマコレクタの減光特性を調べ始めたのがきっかけでした。
思わぬ成果はあったのですが、依然としてカゲリが残っているため
本来の、コマコレクタを純正に戻すべきかの検証もやらねば。

雲上くもがみ
ブログランキング参加しています。
にほんブログ村 写真ブログ 天体写真へ ←ポチッとおねがいします。
にほんブログ村

==========================================

コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フラット画像のダークは必須... | トップ | フラットは甘くない!(追加... »

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (龍之介)
2014-02-19 00:23:00
検証大変おつかれさまです。
フラット処理した作品、やはり格段に綺麗ですよね。

ちなみに遠くの山でピントが合ったとの事ですが、遠くの山と恒星のピントって同じでしたっけ?思い違いかもしれませんが、微妙に違う気がします(汗)

かと言って今の季節、そちらでは検証のしようがないとは思いますが、フラット処理画像を見させていただくと、あとほんの少しでバッチリ合いそうに見えますので、ぜひいつか検証の再開を期待しております!^^

返信する
Unknown (やまねももんが)
2014-02-19 05:02:38
おはようございます。

またまた貴重な検証をありがとうございます。
やはりフラットパネルの影響はあるのですね。
とても参考になりました。
でもミラーボックスによりけられが完全に補正されないのは何故なのでしょうね。

今回のフラット補正の方法で、画像が格段にきれいになったと思います。
返信する
スポンジカット (tantan)
2014-02-19 08:25:03
まずはフラットダーク上手く行って良かったですね。

画像下のケラレですが、イプシロンなどの明るい光学系を使っている方はフラット補正でもこのケラレが除去しきれないので、原因となるミラーボックスの手前にあるスポンジを切り取ることで良好な結果を得ているようです。

悪影響は無いのかな?と思ってしまいますが、「イプシロン フラット補正 スポンジ」で検索するといくつか出てきます。
返信する
ピントズレの影響は・・ (雲上(くもがみ))
2014-02-19 12:30:52
龍之介さんありがとうございます。
言われる通り、カメラ用のレンズでは無いので山にピントが合っていても、
星を撮ればピンンボケになるかと思います。
ただフラット画像であればこれくらい合っていれば影響は少ないかなと考えております。
むろん、ミッチーさんの言われる通り「いかに撮影時に近づけるか」ですので、
正式なフラットファイルの作成は月か星でピント位置を割り出した上で行いたいと思います。

まだパーフェクトではないのですが、皆さんのアドバイスで大きな成果が出た事はまちがいありません。
感謝・感謝です。
返信する
雪国の雲も貴重? (雲上(くもがみ))
2014-02-19 12:41:54
やまねももんがさん、アドバイスありがとうございました。

考えて見れば∞の距離にあるフラットな対象が撮れるのが理想で、
フラットパネルは便宜的なものだったのですね。
その意味では雪国の鉛色の空も捨てたもんじゃないですね。
冬の間にフラットライブラリ作らなくちゃ。

ほんとにこれでもカゲリが残るのはなぜなんでしょうね。
それでも、もう画像処理の「周辺減光補正」が不要になりました。(それに最後のゴミ消しも)
みなさまのおかげです。

返信する
スポンジがカットできない (雲上(くもがみ))
2014-02-19 12:52:19
tantanさん、ありがとうございます。
ここから先の追い込みは、tantanさんが検証されていた
RGB個別の問題まで入らなければならないのかも?

スポンジカットはkiss(DX・X2)ではむき出しだったので、買ってすぐカットしたのですが、
60Dはスポンジが金属カバーの裏面に張り付けられていて、
カバーごともぎとりでもしないと効果がないんです。
高級感はあるのですが・・(メーカも切り取る事を前提に作ってないみたいです。)
返信する
ここまでこれば。 (ミッチー)
2014-02-19 21:13:39
今回の一連の記事は、撮影時とは時間的にも機材的にも
同一ではないですもんね。
自分がフラット処理で感じていることは
ライトフレーム撮影直後に準備したフラットは、
かなり合う、っていうことです。
たとえば、遠征地で撮影後、そのまま機材を保持して取得したフラットと、
帰宅後に、撮影時の状態を「再現」して撮ったフラットとでは、
仕上がりはまったく違うと思ってます。
機材をバラした時点で、まったく違う光学系になっていると言っても過言ではないかと思うのです。
ドローチューブをネジで固定しても、それは言えます。
あ、そこはくにゃくにゃ鏡筒SE200Nだからかもしれませんけど(笑)
言ってみれば、そこに「恐怖」すら感じるわけですけど、
徹底するっていうのは、そーゆーことなんだなー、と。
返信する
とりあえず「再現」で (雲上(くもがみ))
2014-02-19 21:48:32
ミッチーさんこんばんは。
わたしは以前わざわざ現地でフラットを撮るのは、カブリまで補正しようとしているためと思っていたのですが、
筒の向きもどんどん変わる訳で所詮は近似的なものにしかならないと考えていました。
でもカブリは無理でも、撮影時に撮るという事は大きな意味がある事が今回わかりました。
ただ、わたしとしては事前にフラットを作成しておいて、使い回すというのが基本スタンスです。(ダークも同じ)
撮影時に毎回フラットやダークを撮るのは、処理も含めて、ちょっとしんどいというのが正直なところです。
(当然手を抜いた分、得られるものも少なくなるわけですけど。)
それでも撮影時に近づけられるものは近づけて・・
返信する
完璧に見えますよ (naopon)
2014-02-21 00:15:23
雲上さん、こんばんは。
NGC1300とトールの兜を見る限り、新フラットの効果は凄まじいですね。
私は周辺減光が出来るだけ抑えられていることを第一にフラット処理していますので、今回のはとても素晴らしくみえます。
ミラーボックスの陰り(←誤字?)などはわかりませんが、この分だと時間の問題で雲上さんなら解決されそうですね。
返信する
フラットは甘くない。 (雲上(くもがみ))
2014-02-21 09:27:40
naoponさんこんにちは。
新フラットの成果に気を良くしてコンポジット枚数を32枚に増やしたもので、
過去の画像の再処理を始めたのですが・・
(当分はこの再処理画像でしのぐ、もくろみだった。(笑))
ところが最初の画像からつまづいてしまいました。
それは一言でいえばRGB特性(微妙な空の色合い)の不一致からくるものの様です。
整理できたら報告いたしますが、もしかした泥沼にはまりつつあるのかも?
返信する

コメントを投稿

画像処理のはなし」カテゴリの最新記事