雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

期待以上だったステラショット3アップデータ3.0fの検証結果 (ZWO社CMOSカメラのカラーバランスを改善)

2024年04月28日 | 画像処理のはなし
一昨日(4/26)夕刻、アストロアーツ社からZWO社CMOSカメラのカラーバランス改善を含む
アップデータを公開した旨のメールが届いた事は前回記事の編集後記でお知らせしました。
このステラショットのZWO社CMOSカメラに対する不具合(撮影画像が青くなる)については
当ブログで何回にもわたり取り上げ、アストロアーツ社にも改善要望を上げてきた経緯があります。

他のステラショットユーザーからのアップデータの要望も届く中で、
アストロアーツは頑張って5月の新月期前にアップデータ3.0fを公開してくれました。
そこでこちらも頑張ってアップデータ3.0fの改善項目のうち、
ZWO社CMOSカメラのカラーバランス問題に絞って検証を行いましたので以下報告いたします。

まずはアップデータインストール後 驚かされたのが、この設定画面。↓
ホワイトバランスで[デフォルトに戻す]でこれまでの青みがかった画像になります

わたしはてっきり設定項目はそのままで、ホワイトバランスが改善された撮影画像が保存されるだけと思っていたのですが、
なんと、”ホワイトバランスはユーザーが自由に設定してください” という、
そこまでやってくれるか、やれるのか という驚き。(ただ実際の使用ではR(50)・B(50)しか使わないと思いますが・・)

今回の検証でも比較のため、カメラメーカーのZWO社が無償で提供しているASISTUDIOも使っているのですが、
こちらはホワイトバランス設定はおろか、オフセット設定すらできません。

お待ちかねの検証結果の報告に入りますが、
こちらは上の設定画面のホワイトバランスをR(50)、B(50)( Gは基準で50だと思います )で検証を行いました。

まずは アップデータ前後の比較 をいくつか
なお検証はバイアス(ダーク)フレームを撮影して行いました。
バイアス(ダーク)フレーム って何? という方は → こちら

まずは私の使用カメラASI533MC ProのユニティーGain100での比較です。
左側アップデータ以前にはカメラメーカーのデフォルト設定値を適用していたため
青(B)のみが異常に高いレベルとなり、ベイヤー(モノクロ)画像では格子状となり、
ヒストグラムでは青(B)のピクセルが右側にもう一つのピークを作っていました。
それが今回公開されたアップデータをインストールしてホワイトバランスを均等(R50・B50)に設定することにより
格子状から通常のランダムノイズ画像となり、ヒストグラムも一つのピークになりました。

これでやっとバイアス(ダーク)フレーム を撮った本来の目的である、適正なオフセット値を求めることができます。
上の例でいえばオフセット値は”6”で十分な事がわかります。(実際の撮影では”光害”の天然オフセットが加わることも考慮して)
わたしはユニテーゲインではなく、撮影の効率性も考慮して少し高めのGain150を設定していますので、
ついでにGain150のオフセット値も調べてみました。↓
Gain設定を真似たい方は拡大してご覧ください
上のヒストグラムから私のカメラでGain150ならオフセットは”8”もあれば十分なようです。

ほかにも検証データは撮っているのですが(たとえばASI533MCのオフセットデフォルト値”1”とか)
上の検証結果だけでも指摘されていた問題点が解消されていることは明らかでしょう。
そこで最後に記事の前の方でにふれた、カメラメーカーZWO社の無償ソフトASISTUDIOとの比較になります。
こちらは厳密な比較となるよう、冷却温度0℃で撮りなおしています。
ASIStudioはオフセットの設定はできないのですが、デフォルトでOffset70になることがわかったので
その設定に合わせてステラショット3(3.0f)でも撮って比較しました。
似たようなノイズ画像および瓜二つのヒストグラムとなったことから、
ASIStudioでも同じようなホワイトバランス補正が行われていることが推察できました。

以上の検証結果から、これで安心してダーク・フラット画像の作り直しに取り掛かることとします。

なおこれから迎える5月の新月期での実撮影で報告するべき事象が見つかれば、ブログにて報告いたします。
まずは めでたし、めでたし。


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今回の問題につきましてはアストロアーツさんにはかなり厳しいことも
書かせてもらいましたが、
その結果が期待を上回るアップデータの公開につながったということで
許していただきたいと思います。
記事内にも書きましたが、CMOSカメラでの撮影においてオフセット設定だけでなく、
ホワイトバランス調整までユーザが操作できるというのは、
海外のソフトに引けをとらないのではないでしょうか。
まして、機材設営からオートガイドまでこなす多機能さは
現在は日本語対応だけという弱点はありながらも
今後は海外展開という展望も持っていいのでは?


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[速報]今月中にアップデータ供給予定!(ステラショットのZWO社CMOSカメラ撮影不具合の対策)

2024年04月05日 | 画像処理のはなし
何回かにわたって、

ステラショットZWO社CMOSカメラを使って撮影すると、
「ダーク」「フラット」を含むすべての画像が青みがかって保存される。

という問題について、ユーザーの皆さんへの周知と、
問題に対処したアップデータの早い供給をアストロアーツに要望しよう、と呼び掛けてまいりました。
このブログ記事へのコメントを寄せていたいただいたM&Mさんをはじめ、多くのユーザーの声が届いた結果、
先ほどアストロアーツ社から、今月中にアップデータを供給したいとのメールが届きましたので報告いたします。
以下がアストロアーツから届いたメールの内容です。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
〇〇様
アストロアーツ ユーザーサポート係です。

製品に関するご意見ご要望を賜り誠にありがとうございます。
修正アップデータに関しましては今月中にリリースする予定です。
ご不便をおかけしますが、今しばらくお時間をいただきますようお願い申し上げます。

以上よろしくお願いいたします。

■■株式会社アストロアーツ ユーザーサポート係■■
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今回の問題の解決はアストロアーツにとっても容易な問題ではないはずですが、
簡潔なメール内容と、今月中という短期にリリースする予定 とあるのは、
アストロアーツが今後CMOSカメラにも本気で取り組む決意と受け止めたいと思います。


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かなりの時間とエネルギーをさいてこの問題について書いてきたのですが、
これでやっと、今月から始まる「星のふるさと館」でのわたしの写真展示会の準備に取り掛かれます。
気が付いたら、もう展示日まで2週間を切っていました。
正直焦っています。

これまで文字だけのブログ記事はたぶん書いたことがないので、ベランダから先日撮った早春の「火打山」と「焼山」です
日本画(墨絵)の様だったので撮影したものです


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ステラショットで、ZWO社のCMOSカメラを使う 当面の対策(がんばれ!! アストロアーツ)

2024年04月03日 | 画像処理のはなし
ステラショットで、ZWO社のCMOSカメラを使うと発生するこの不具合について、
(ステラショットから始まった問題ではなく、ステラショットでも同じです)
アストロアーツ社からユーザーに対して知らされていないばかりか、
問い合わせたメールに対して
原因はカメラメーカーの仕様であり、実際の撮影では実害は発生しない。
との認識の回答があったことから
長年アストロアーツの天体アプリを使用しているものの一人として、このブログ記事を書いています。

その目的は、ステラショットのこの問題に対処したアップデータ
アストロアーツにできるだけ早く提供してもらう事にあります。

正直なところ、ステラショットを使って ZWO社のCMOSカメラで撮影を行っている人が
どれだけおられるのか知りません。( わたし自身デジ一眼からCMOSカメラに換えてまだ一年です )
ただ前回記事への3日間のブログアクセス数が518pvとこの4年間の記事の中で最も多かったことからも、
関心を持っておられるユーザーは少なくないと思います。

そこで 今回は、アップデータの提供についてはアストロアーツの決断を待つしかないとして、
アップデータが配布されるまでの間、
問題を抱えたステラショットをどう使っていったらよいかの検討を行ってみました。
( 早くしないと、雪国越後でも春の系外銀河シーズンが始まっちゃう!)

まずは、ゲイン(Gain)、オフセット(Offset)の設定次第で なんとかなるのかどうか?

今回の問題がJ-APA「上越天体写真友の会」で表面化したのは今年2月下くらいからだったのですが、
当初は ”Offset設定を大きくすると発生する問題” との受け止めでした。
ところが 前回記事 での検証結果から、オフセット値には関係なく
ダーク画像を含むすべての画像が青みがかる現象である事がわかりました。
ということは、オフセットの設定がまだできなかったステラショット2でも
すでに問題が発生していたことになります。
(*ステラショット2では、533MCのオフセット値は デフォルト(?)の ”1”で設定さていたことが判明しています)
そこで、昨年12月にステラショット2で撮ったアンドロメダ銀河の撮影画像を検証してみました。
( 今回はフラット処理(フラットダークを含む)についても検証しています )

オフセット”1”でも元画像が青みがかっていたという この検証結果を見て、
なぜ画像処理の時に気が付かなかったんだろう?との疑問が・・
問題の存在に気づかずにブログ掲載した画像はこちら

その答えは じきにわかりました。
今回は検証のため、撮影画像(RAW)をステライメージの「ベイヤー・RGB変換」の「色調整」を
あえて ”手動(R・G・B:すべて1.0)” としたのですが、
ホワイトバランス設定のないCMOSカメラになってから、すべて「自動」にしていました。
R・G・Bのヒストグラムのピークを強制的に合わせてしまう この設定の結果、
元画像のカラーバランスの崩れに これまで気が付かなかったという訳です。
ならば、今後もそれでいけばいい・・?

上図の最終画像を見て
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青みがかった撮影画像を、ノイズまで青くなったダーク画像減算(ひきざん)して
更に青みが強いフラット画像除算(わりざん)したら、案外まともな画像になるのでは?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と考えた人がいるのでは?

私はついさっきまで、 ”そんな事があるわけがない !!” と思っていたのですが、
ダメ元で、わたしの小学校の算数レベルの頭で演算(シミュレーション)してみたところ
なんと、ダーク減算・フラット処理まで行えば
本来のカラーバランスに戻せるとの演算結果が。(ほんまかいな?)
(ただしフラット画像のホワイトバランスが正常な場合)
ダーク画像だけでやめると カラーバランスは崩れたままに。(上の図を参照)

撮影鏡筒を長焦点のVC200L(レデユーサHD)に換えて今年2月にステラショット3
撮影した画像についても検証しています。↓
( 画像クリックで拡大表示ができます )
室内で作成したフラット画像は、青みが強くなるステラショットの特性に加えて、
光源としたLED照明(緑が強め)が明るすぎたことによりひどいことになっています。
(フラットの光源がまともなら、ステラショットによる不具合で青だけが強いフラット画像となるはず)
フラット処理は撮影画像フラット画像で除算(わりざん)することなので、
フラット処理後の最終画像は、逆に赤っぽい色合いとなりました。
実はこの時点でも、まだ問題の存在に気づかずにブログ掲載した画像はこちら


確かに 光害対策でフィルターを挿入するだけでもカラーバランスは崩れてしまいます。
その対処策としては、「ベイヤー・RGB変換」の「色調整」で”自動”を選び、
それでも不自然さを感じるなら、
「オートストレッチ」を使うなど、色々処理の手段はあるでしょう。

しかしながら今回のステラショットの問題は、
光害カットフィルターの挿入のようなユーザーの意思によるものではない事です。
ユーザーの利益にならず、ユーザーが避けることができない
ステラショットによる撮影で保存された画像は すべて青みがかっている
という不具合への対処は
ユーザー側ではなく、
あくまでソフトを販売している供給側の責任で解決すべき問題と考えます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
記事タイトルに”当面の対策”と書きながら、
それらしいことは まだなにも書いてなかったですね。

●演算(シミュレーション)結果では、ダーク減算により 更にカラーバランスが崩れることはなさそうですが、・・・・・・・・・・
ノイズまで青みがかったダーク画像を新たに追加してつくるかどうかは、判断に迷うところです。・・・・・・・・・・

フラット画像については、ホワイトバランスに優れた光源で作成できるなら、フラット処理本来の・・・・・・・・・・・・・・
目的である ”周辺減光補正”、”カメラのごみ消去”などのほかに、ダーク減算と組み合わせて処理すれば・・・・・・・・
問題となっているカラーバランスの崩れも補正できるという演算(シミュレーション)結果になっています。・・・・・・・・・・・

ただし ダーク画像もフラット画像も室内で作成できるという簡便さはありますが、
あくまで「にはを持って制す」という、アップデータが供給されるまでの一時的なものになります。

◆撮影した画像は「ベイヤー・RGB変換」の「色調整」で一括”自動” 処理するより、コンポジットしたあとで・・・・・・・・・
「オートストレッチ」をかけた方が、ホワイトバランスの崩れ具合が把握できて良いのでは?・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆撮影にあたっては”青が強くなる事による画像へのダメージ”を少なくするため、オフセット値・ゲインは小さめ
が良いと思う。()の輝度レベルを飽和させないためにも)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上、思いついたことを書いてみました。

考えたくはないのですが
もし アップデータがいつまでも供給されない事態になったら・・・
ステラショットで導入補正まで終えたら、カメラを海外の撮像ソフトに切り替えて撮影する。
他のソフトで撮影中、ステラショットは オートガイドだけを担わせる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(カメラ冷却なども考慮すると、ステラショットならではの利便性が帳消しになってしまうのですが ・・)


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ステラショットで「庭撮り」ができれば
80歳までこの趣味「天体写真」が続けられそうだと思っていました。
機材が重くて設置できなくなくなったら、過去に撮りだめた撮影画像を
AIも使った最新の画像処理ソフトで再処理して楽しむ。
しかし、その保存された画像がすべて青く色づいたものだったとしたら・・・

ステラショットに愛着を持っておられるユーザーの皆さん、
アストロアーツに早期のアップデータの配布要望を上げましょう。
昨日、光ケーブル引き込みにかかりそうだった桜の枝を切りました
つぼみを持った枝を花瓶にいれておいたところ、今現在3分咲きになりました


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がんばれ !! アストロアーツ(星空でのステラショット3検証撮影結果報告)

2024年03月31日 | 画像処理のはなし
まず冒頭にステラショット3ZWO社のCMOSカメラに関わるこの問題について
これまでは”オフセットに関わる不具合”との記述をしてきましたが、
先日の実際の星空で検証した結果、
オフセットに関係なく
すべての画像が青みがかってFITSファイルで出力されるという事がわかりました。
オフセットが高いと問題が発生するのではなく、
画像が明るくなることにより青みがより目立つだけだったのです。

よって、今後この問題は
「ステラショットによる撮影で、 ZWO社CMOSカメラでカラーバランスが崩れる問題」
と言い換えることにします。
長すぎる ので、
ステラショットによる、 ZWO社CMOSカメラ不具合問題
という事で。

そんなことはいいから、”早く検証結果を報告しろ!という声が届きましたので本題に入ります。

検証撮影のための機材設置が完了(3/27)
共通DATA:NFD400㎜ F2.8(手製絞りでF4) 露光時間 240秒 LPS-D1フイルタ-  ASI533MC Pro(冷却-10℃)

撮影対象:おおぐま座 M81・M82銀河コンビ Gain・Offsetを変えて1枚づつ撮影
 
検証は ステラショット3Offset 6段階(0,1,10,20,40,70)  Gain 4段階 (0,100,200,400)
更にZWO社が無償で提供している撮像アプリのASIStudioで、デフォルトのOffset 70で Gain 4段階 ( 上記と同じ )・・・
計28通りの撮影を行いました。
加えて翌日昼間には、室内にて同じ枚数のダーク画像を撮影しています。

その中から、今回使用したASI533MC ProカメラメーカーであるZWO提供のASIStudio
ステラショット3での撮影画像を比較してみました。

OffsetASIStudioで設定されるデフォルト値70GainASI 533MC Proのユニティーゲインである100の画像で比較

比較した結果
ステラショット3撮影画像はダーク減算する前から、青が抜きんでて高いヒストグラムとなっている!
ステラショット3ダーク画像では、あろうことか ノイズまで青く色づけされている!・・・・・・・・・・・・・・・
ステラショット3で上記の撮影画像・ダーク画像を使ってダーク減算を行っても、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青が強い画像の傾向は残っている。(青が強い異常なダーク画像で減算することで多少は緩和される)・・・・・・・・・・・・・

ここでASIStudioでの撮影画像で、赤Rと緑Gのヒストグラムの開きを見て気がつきました。
前回彗星撮影を行ったときに、レンズアダプター部に光害対策のLPS-D1 フィルターを装着していたことに。

フラット撮影については青みがかることはわかっていたので 検証撮影は中止していたのですが、
LPS-D1フィルターを外した状態でのデータがどうしても見たくなって、
昨夜 仏間にておなじみの室内照明と障子紙を使ったフラット画像を撮影しました。
只今フラット撮影中
以下が結局 撮影する事になったフラット画像の比較です。
こちらも、Offset はASIStudioで設定されたデフォルト値70、GainはASI 533MC Proのユニティーゲインである100の、ダーク減算なしの画像で比較
左側が ASI Studio、右側が ステラショット3
残念ながらこれまでもフラット作成に使っていたLEDの室内照明は、
”白”Maxに設定しても緑がかっていたことがわかり、ちょっとショック。

ブログでお見せできるのは検証内容の一部になるのですが、もう一つ
オフセット値が大きいと起きる現象なのか?、について
残念ながら最新のASIStudioではユーザーによるオフセット設定が不可となっているため、
ステラショット3だけを使ってユニティーゲイン 100でオフセット値を6段階に変えたもので検証してみました。
比較した画像はダーク減算なしの撮影画像です。
ステラショット3だけの撮影画像を並べると、まるで薄明時の空で撮ったようです。

検証した結果
● オフセット値が大きくなることで青みがかるのではなく、ただ青みが明るくなっているだけ
ということが確認できました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上、今回の検証結果から、ステラショット3を使ってZWO社のCMOSカメラで撮像すると
オフセット値の大小にかかわらず、
すべて青みがかったFITS画像として出力されてしまうことが確認できました。

そうなる原因は明確です。
フリーを含めた海外の著名(ちょめい)な天体撮像ソフトでは、
ZWO社のCMOSカメラの仕様から生じるこの事象については、 かなり前から対処済であり、
そのことが 逆に
ZWO社が今さら不都合なこの仕様の変更ができない 理由となっているのではないかと推測します。

ステラショット開発元であるアストロアーツのこの問題への対応を見ていると
正直に言って 海外のCMOSカメラに関する見識がまだ薄く、不得手(?)なようにも感じられます。
問題の事象について、アストロアーツの回答では
ZWOの仕様が原因なので、了承してもらうしかない
 ですが、
天体アプリの関連業界(フリーソフトも含めて)では
そんな事は知ってるよ、だから対策済だよ。
となるのでは・・

これまで日本の天体写真の発展に大きく貢献してきたアストロアーツのプライドにかけて
早期のアップデータの配布を 要望します!


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思い起こせば、退職後から本格的に始めた天体写真の世界。
ちょうどデジタルカメラの登場時期と重なり、
いつもアストロアーツの天体写真アプリと共にありました。
ステライメージのアップデートで今回のように不具合情報を上げたことも何度か。
あれから12年、デジタルカメラからCMOSの時代に。
私ですら昨年からCMOSカメラでの撮影を始めました。
アストロアーツが今後も日本の天体写真の分野をリードしていけるよう
CMOSカメラにも挑む決意と、奮起を求めます。

4月から「星のふるさと館」で今年一年間 私の写真展示をさせてもらうことになりました。
本来なら今回の問題は「アストロアーツさん頼んだよ。」で、
展示準備に集中したいところですが、
この問題に対するアストロアーツさんの対応がそれをさせてくれません。
他のステラショットユーザーの皆さんも、
アストロアーツへの叱咤激励と早期のアップデータの配布要望を上げましょう。


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アストロアーツからの回答を受けて、只今実撮影で検証中!(ステラショット3の『オフセット』不具合問題)

2024年03月29日 | 画像処理のはなし
前回記事 をご覧になった方はおわかりかと思いますが、
ステラショットから可能になったオフセット設定機能で
不具合と思われる事象が見つかっています。
これはZWO社のCMOSカメラでは ベイヤー配列のBピクセルのみ輝度が高くなる仕様となっており、
何らかの対策をしないと カラ-バランスの偏った青みがかった画像になってしまう、という事象です。

海外の著名なアプリではZWO社からこの情報が提供されているのか、
フリーソフトを含めてこの問題への対処がされており、カラーバランスの崩れは見られません。
(バイアスフレームを使って海外の4つのフリーソフトで検証済 ----- 前回記事 参照)

ところが、ステラショットでは対策なしでメーカー供給のドライバー(?)を使用しており、
その結果 この問題が発生しているものと思われます。
という訳で
あとはアストロアーツからのこの問題に対処したアップデータの配布を待つだけ、 と思っていたのですが ・・

同じ問題に悩むJ-APA「上越天体写真友の会」の仲間のYoさんに
アストロアーツ社からこの問題にたいする回答メールが届きました。

以下が私が前回記事をアップしたその日(3/25)に届いたメール内容になります。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Subject: Re: ENQ 23560:ステラショット3/ステライメージ9 バイアスフレーム撮影画像の問題につきまして
〇〇様
アストロアーツ ユーザサポート係 です。
標記の件につきましてご回答大変お待たせいたしました。

バイアス撮影画像について、ステラショットの設定でオフセット値を大きくした際に発生するカラーバランスの
偏りが格子模様として見えているものになります。
この偏りは、ステラショットがカメラメーカー提供のカメラ制御モジュールから得られるデフォルト値を
採用しているために起きるもので、現時点では製品の仕様となります。何卒ご了承ください。
(ホワイトバランス調整機能については将来的に対応を予定しております)

上記のような状態のバイアスフレームであっても、通常の演算処理に使う限りでは結果的な影響はないかと存じます。
ご心配をおかけしまして恐れ入りますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。

以上よろしくお願い申し上げます。

■■株式会社アストロアーツ ユーザーサポート係■■ 
 以下 サポート先などは 私への返信メールでないため省略します
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
このメールを要約すると ・・・
カラーバランスが偏るのはZWO社の仕様通りに処理した結果で、了承してもらうしかない。
通常の演算処理(実際の天体撮影の事?)で使う限りは実害は発生しないと認識している。
よって、ただちにアップデータを配布することは考えていない。
となります。

私自身は実際の撮影でどんな影響がでるのかが この問題の最大関心事だったのですが、
越後の冬の空がその機会を与えてくれませんでした。
ところが幸運な事に先日(27日)満月過ぎの月が上って来る中で
おおぐま座のM81・M82コンビで検証撮影する事ができました。

なんとしても検証撮影をしてみなければ!
という気持ちにさせてくれたのが、
Yoさんが上記メールを受けて、すぐに作成してアストロアーツに送った
実害は出ている!!」という、次の資料です。 ↓

気になる人は気になる私の検証結果だと思いますが、現在慎重に検証作業を進めているところです。
本日の夜も検証用のフラットフレームを撮影予定です。

次回記事(2,3日後には公開予定)では詳しい検証結果を報告いたしますので、もう少しお待ちください。
( 実際にステラショト3ZWO社のCMOSカメラをお持ちの方は 結果を早く知りたいでしょうが・・ )

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実際の検証撮影では旧ヨンニッパレンズを使ったのですが、
あくまで検証用なのでオートガイドは行わずノータッチガイド。
撮影枚数も4分露光1枚だけと割り切っても オフセット6段階、ゲイン4段階で撮るとなると
それだけで24通り、更に比較のためにASIStudioでも撮影したので
結構大変でした。(ステラショットで屋内からリモート撮影ができたおかげ?)
更に翌日のダーク取得でも同じ撮影枚数・撮影時間がかかっています。
アストロアーツさんでも同じような検証を行った結果が、
今回のメール回答となっていると信じたいです。

最後まで読んでいただいたお礼という訳ではないですが、
検証開始前にズームレンズ(f200mm)とガタあり三脚で
2階の窓越しで撮った12P ポン・ブルックス彗星です。
( 画像クリックで拡大してご覧ください)
片手間処理でフラット画像もないため、中央に変なスポットが出てしまいました
2024/ 3/27 19:12'~19:20' EFZoom(f70~200㎜) f200㎜ F4 露光4秒×48枚 ISO1600 EOS6D(HKIR改造)
今度こそこの彗星のラストショットになると思います


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