雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

画素数 と ピクセルサイズ (フルサイズ vs APS-C part 2)

2018年11月28日 | 機材
前回に引き続き 半年前に購入したフルサイズの EOS 6D(HKIR改造) の検証を行います。

前回のPart1では、わかりやすい 写野の広さ について検証をおこないました。
要約すると、 受光部が大きいフルサイズなら
● 一度に広い範囲を写す事ができる
反面
● 見かけの小さな撮影対象は相対的にますます小さくなってしまう
と いったところでした。

今回はそう単純では無く、まさに検証してみなければわからない
画素数ピクセルサイズ の画像への影響についてです。
検証方法は
今回もこれまでの主力カメラ Cooled 60D(APS-Cサイズ)の撮影画像との
比較でおこないます。

まず 検証した各カメラの 画素数 を比較すると
--------------------
Cooled 60D ・・ 5,184  × 3,456 ピクセル
EOS 6D・・・ ・・ 5,472  × 3,648 ピクセル
--------------------
受光部の大きさ(面積)2.6倍 にもなっているのに、
総画素数は わずか 1.1倍 になっただけ
総画素数が少ないメリットとしては
〇 販売価格を低く抑えられる
● ファイル容量が小さく、処理も早く済ますことができる
があげられます。

更に ピクセルサイズ を比較すると
( 受光サイズ ÷ 画素数 で机上算出したもの )
--------------------
Cooled 60D ・・ 4.3 μm × 4.3 μm
EOS 6D・・・ ・・ 6.5 μm × 6.6 μm
--------------------
1ピクセルの大きさ(面積)60D2.3倍になります。
つまりフルサイズで受光部が大きくなった分は 画素数をあまり増やさずに
1ピクセルが大きくなる結果となっています。
ピクセルが大きいメリットとしては
● 受光量が多いので 相対的にノイズが低下する
● 実質的に高感度となり アンプノイズを抑えられる
ただ 天体写真の場合のデメリットとして
● 画素が大きくなったことにより 分解能が低下する
( 細部が鮮明に写らない )
事にならないだろうか?

これらの疑問について、実際に撮影した画像で比較検証してみます。

検証 その2 ピクセルサイズによる違いはあるか
上段 ) ノートリミング画像 ( 縮小画像 )
下段 ) 等倍トリミング画像 ( 512 × 512 ピクセル )
) EOS 6 D (HKIR改造)  ( ) Cooled 60D (SEO-SP4)

同じ光学系で撮影した画像で比較してみました。
共通DATA: vixen R200SS+コレクターPH(合成f=760㎜ F=3.8)

■ アンドロメダ銀河 ■
(左) EOS 6D: 6分×10・1分×10(総露光70分) ISO3200 LPS-D2 2018/9/19am
(右) Cooled 60D: 15分×5・1分×4(総露光79分) ISO1600 LPS-P2 2017/9/25am
*( 全体画像でもフルサイズは相対的に星像が小さくなりますが、同じ画素数でもピクセルが大きい分 星像は小さめです )
アンドロメダ銀河内の星団の写りを見ると、フルサイズの方が負けてる気がします。

■ さんかく座 M33銀河 ■
(左) EOS 6D: 6分×10・1分×10(総露光70分) ISO3200 LPS-D2 2018/10/18
(右) Cooled 60D: 15分×7・1分×10(総露光70分) ISO1600 LPS-P2 2017/9/19am
右の60Dの方はガイドが少し流れていますが、ピクセルが小さい分 細部が見えるような。

■ オリオン大星雲 ■
(左) EOS 6D: 6分・1分・4秒 × 各10(総露光42分) ISO3200 LPS-D2 2018/10/19am
(右) Cooled 60D: 15分×5・1分×5(総露光122分) ISO1600 LPS-P2 2017/11/13am
露光時間にも差がありますが、右の60Dの方が星の写りは明瞭です。

■ まゆ星雲 (はくちょう座) ■
(左) EOS 6D: 6分×4・1分×7(総露光31分) ISO3200 LPS-D2 2018/10/15
(右) Cooled 60D: 15分×6(総露光90分) ISO1600 LPS-P2 2017/9/19am
実質の露光時間(感度を考慮)も多いが、60D の方が星が明瞭。

他にも作成した検証用画像はあるのですが、
ピクセルサイズが小さい方が画像の分解能力に優れているのは間違いないようです。

一方、ピクセルサイズが大きい事のメリットになると思われる
ノイズの少ない画像が得られる かどうかについては
やっかいですが、次回の記事で検証してみたいと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・( 訂正とお詫び )・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2018.11.28 23h 57m
当初 本記事の( 追記 )にて 
 「 Nikon D810A の画素数がEOS 6Dより少なかったのは意外だった 」  
との記載を行いましたが、いっそくドラゴンさんからいただいたご指摘で
誤りだったことがわかりました。
(誤)4,928 × 3,280 ピクセル  (7,360 × 4,912 ピクセル
EOS 6Dの約1.8倍もの総画素数がある まさに高級機でした。
ピクセルサイズも4.9μmとAPS-Cカメラ並みに小さいものでした。
誤解を与えてしまい申し訳ありませんでした。
 某光学機器の販売会社のHPに載っていた商品仕様を確認せずそのまま記載してしまいました )

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星の文化祭 が終わって、
今月末で「星のふるさと館」は冬期休館に入ります。
先日スタッフのAKIYAMAさんから早くも初雪の写真が届きました。
冬はそこまで。我が家の庭木の冬囲いも2日がかりで完了しました。

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フルサイズ(EOS 6D) vs APS-C(Cooled 60D) Part 1

2018年11月25日 | 機材
6月にフルサイズのデジ一眼カメラ EOS6D(HKIR改造) を購入しました。
今思えば5月に母を看取り、そのあと葬儀などであわただしく
一段落した気のゆるみからポチっていました。
事前に十分に検討した上での購入ではありませんでした。

そこで購入して半年経った今、
撮影した画像から客観的評価をやってみる事にしました。
具体的な検証方法として、
それまで使っていたメインカメラの Cooled 60D(APS-Cサイズ) で撮った画像と比較してみました。

検証 その1 写野のちがい

事前検討はしてなくても フルサイズカメラの写野の広さは明らかでした。
カメラ受光部の大きさを比較すると
--------------------
Cooled 60D ・・ 22.3 ㎜ × 14.9
EOS 6D・・・ ・・ 35.8 ㎜ × 23.9
--------------------
受光部の大きさ(面積)2.6にもなります。
同じ光学系なら一度の撮影で従来の倍以上の範囲が写せるのは魅力でした。
ほぼノートリミング画像での比較です。

■ アンドロメダ大銀河 ■
共通DATA : vixen R200SS+コレクターPH(合成焦点距離=760㎜)
Cooled 60D
( 北 部 ) ↑
( 南 部 ) ↑
撮影DATA : 北部・南部とも 露光時間15分×5枚・1分×4枚 ISO1600 2017/ 9/25am
EOS 6D (HKIR 改造)
撮影DATA : 露光時間6分×10枚・1分×10枚 ISO3200 2018/ 9/19am
これまで分割して撮影したのちに合成していたものが一度に撮影可能に。

■ IC1805 ハート星雲 ■
共通DATA : vixen R200SS+コレクターPH(合成焦点距離=760㎜)
Cooled 60D
撮影DATA : 露光時間15分×8枚・1分×4枚 ISO1600 2017/ 9/26am
画像タイトルも 「ハート星雲 中心部
EOS 6D (HKIR 改造)
撮影DATA : 露光時間6分×11枚・1分×10枚 ISO3200 2018/ 9/19am
ハートのかたち全体が収まりました。

このように、短焦点の鏡筒や望遠レンズで見かけの大きい対象を狙うには
広い写野の得られるフルサイズカメラは好都合なのですが・・
わたしのように もっぱら庭撮りで、光害カブリを目立たせないため
長めの焦点距離で小さめの対象を狙う場合は、広い写野が裏目に出てしまいます。
たとえば こんな対象
■ さんかく座 M33銀河 ■
共通DATA : vixen R200SS+コレクターPH(合成焦点距離=760㎜)
Cooled 60D
撮影DATA : 露光時間15分×7枚・1分×4枚 ISO1600 2017/ 9/19am
メジャーな銀河だけにAPS-Cサイズならそれなりの迫力で写ってくれます
EOS 6D (HKIR 改造)
撮影DATA : 露光時間6分×10枚・1分×10枚 ISO3200 2018/10/187
ここまで小さいと、どうしてもトリミングしたくなります
メジャーな銀河ですらこうですから、大半の系外銀河は ・・
■ NGC 891付近 (アンドロメダ座) ■
Cooled 60D
撮影DATA : VC200L+レデューサー2(合成f=1,278㎜)露光時間20分×5枚・5分×4枚 ISO3200 2017/11/21
これでも無数にある系外銀河の中では明るく大き目の方なのですが
EOS 6D (HKIR 改造)
撮影DATA : VC200L+レデューサーHD(合成f=1,386㎜)露光時間10分×8枚・2分×8枚 ISO6400 2018/11/ 4am
新しいレデューサーで焦点距離は伸びているのですが ・・ 小さすぎて画になりません。

一度に広い範囲が写せる!!
なんて
単純に喜んでいた私が馬鹿でした。

更に、受光面のサイズ(面積)2.6 にもなっているのに、
総画素数はわずか 11.4 しか増えていない。
その結果 撮影画像にどんな影響が出ているのか?
引き続き 次回 検証してみる予定です。

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フルサイズの広い写野のデメリットを克服するためには
VC200Lのレデューサーを外して
更なる長焦点(f=1,800mm)を目指すか。
または もう何年も使ってないサンニッパレンズで
あえて逆に広い写野に挑むか。
まだ方針は決まっていません。

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「第8回 星の文化祭」 今年も出品しました

2018年11月21日 | 天体写真よろず話
今月3日から19日まで 上越清里 星のふるさと館で『星の文化祭』が開催されました。
いつもは最初の土・日に早々出かけて来るのですが、
今年は千葉から孫娘のあみちゃんが遊びに来てくれて・・
そのあとはひいた風邪が長引き、14日(水)にやっと行ってきました。

陽が傾き始めた午後で おまけに平日なので
予想通り駐車場に車はほとんどなし。

玄関ロビーで館のマスコット くしりん がお出迎え。
入館料が必要なのですが文化祭期間中は出品者は無料パス。

文化祭の展示場所は今年も2階の学習室でした。

わたし以外にもう一人の来館者にスタッフの方が説明されてました。
頼まれてもいないのにわたしもつい口をはさんで・・

館で募集した「天体写真に挑戦」メンバーの方々の作品のようです。

一般の方の写真の中に、よくコメントをいただく さすけ さんの奥さんの作品も。
ニュージランドに行かれた時のものだそうです。

ちなみに わたしの出品物は・・
今年はまさに展示コーナーに展示されてました。
今年の展示物についてはこちら まったく撮れない! グレずに文化祭展示品づくり

他にはスタッフの皆さんの出品も

子どもたちの展示作品も
「第8回 星の文化祭」今年は51人(園児を含む)、76点の参加があったそうです。

天気が良かったので坊ケ池対岸からパノラマで撮ってみました。

中央に「星のふるさと館」、右端の建物は「ビュー京ケ岳」です
このあと 夕暮れまで待たずに山を降りました。

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週間予報では太陽は1日も顔を出しません。
当分は満月期なのでかまわないのですが、
そろそろ冬眠に入る覚悟も ・・

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薄明後20分でゆで上げたカニ星雲

2018年11月17日 | 天体写真(星雲・星団)
4日早朝、当初予定より総露光時間を5割増やしたため
きりん座の近傍銀河IC342の撮影終了時間は4時45分。
この朝の薄明が始まる時間でした。
本来はここで撤収すべきなのですが、予報では11月新月期で撮影できるのはこの夜だけ。
経験では薄明開始時間から20分くらいは撮影可能ということで
短時間露光でもなんとかなりそうなカニ星雲を撮影。

M 1 かに星雲 ( おうし座 )
( 等倍 トリミング画像 )
( 北 は 上方向 になります )
撮影DATA : 2018/11/ 4am 04:53’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,386mm))
露出 分 × 枚+分 ×  ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7
カニに見えるかどうかは別にして、この姿から約千年前(1054年)
星が爆発した残骸というのは納得できるのではないでしょうか。

トリミングなしの全体画像です。
( 画像クリックで元画像の25%表示 )
トリミング無しだと フルサイズカメラで撮影のため余計に小さくなってしまいます
今回は総露光時間わずか16分。
肉眼でも空が白んできたのがわかったので5時11分に撮影終了。

撮影中のおりおんショットを撮る時間がなかったので、
前のきりん座IC342撮影中に撮った11月早朝の星空を。
2018/11/ 4am 02:13’~ 30秒×4枚

2018/11/ 4am 04:10’~ 30秒×5枚

2018/11/ 4am 04:15’~ 30秒×5枚
5枚目に流星らしきものが写っていました。上の画像で、ばら星雲のすぐ近くです

2018/11/ 4am 04:18’~ 30秒×6枚
参考に今回撮影した かに星雲の写野枠も入れてあります
撮影共通DATA: TamronZoom(f=17mm F2.8) LPS-P2 ISO1600 kissDX(SEO-SP2) 三脚固定撮影

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新月期後半、つまり新月から上弦までも結局ダメでした。
上弦の月の15日は予報が外れる事を期待して
設営したのですが、風邪が治るのが遅れただけ。
11月も後半になるともう雪国の冬の空になってしまいます。

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近傍銀河きりん座 IC342(三度目はフルサイズで)

2018年11月14日 | 天体写真(系外銀河)
11月の新月期に撮れたのは3日夜だけで終わりそうです。(今月もガッカリ!)
その夜の4タイトル目(下弦過ぎれば新月期 その4) は、
きりん座の近傍渦巻銀河IC342になります。

IC 342 ( きりん座 )
( 画像クリックで元画像の30%表示 )
( 北 は 上方向 になります )
撮影DATA : 2018/11/ 4am 02:04’~  Vixen VC200l+レデユーサーHD(合成f=1,386mm))
露出 分 × 12枚+分 × 12 ISO 6400 LPS-D2 EOS 6D (HKIR改造)
タカハシ EM-200 Temma2M マイクロガイドスコープ 60 ToupCam ステラショット ステライメージ7
わずか700万光年とごく近い銀河ですが、天の川銀河面に近いため
銀河の塵にさえぎられて淡く暗いマイナーな銀河となっています。

そんな難物ですが
わたしのお気に入りの写真集「FAR OUT」にも掲載されていたことから、
3年前に短焦点反射鏡筒のR200SSで初めて撮ってみました。 ↓
関連ブログ記事 2015/10/28 「有名になりそこねた銀河(IC342きりん座)」
写せることが分かったので、より長焦点で昨年撮り直しています。 ↓
関連ブログ記事 2017/12/26 「きりん座 IC 342(大きさに反比例して写しにくい銀河)」

今年は昨年と同じ鏡筒で同じ焦点距離で撮影しています。
違うのはフルサイズカメラで撮っている事ですが、
写野角が広がった分 銀河が小さくなっただけ、となりかねません。
そこで せめて露光量だけでもたっぷりと、昨年の倍の感度にした上で
総露光時間も昨年より増やしました。
その結果、フルサイズの低ノイズの効果も加わって昨年画像より良くなったのでは・・

銀河部分のトリミング画像です。 ↓
( 画像クリックで 縮小率60%で表示 )

撮影中の北天の星空です。
( 画像クリックで星座名入りで表示します ) 
月明かりを除けば、深夜1時過ぎから薄明までは灯火が暗くなるゴールデンタイムです

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先月から風邪気味でずっと尾を引いていました。
これまでは医者や薬に頼らず寝て治すでやってきたのですが、
治りかけてるはずが夜になるとはげしく咳が出ます。
やむを得ず昨日お医者さんに。
普段 薬を飲まないせいで処方薬ですぐ治るというのが
これまでだったのですが、果たして ・・

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