伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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桐生市 いじめ 自殺事件と外国人児童の支援

2010-11-10 23:35:41 | 外国籍児童
水曜日となりましたので、
先日訪問したICSに行ってきました。
理事長の、ミックメーヒル カイラン サリコさんにお話を伺うことができました。

カイランさんは日本に永住資格を持つ、
米国人の女性です。
応用言語学の博士号をもつ、大学教授です。
現在、大東文化大学と、群馬県立女子大学で
教えていらっしゃいます。

博士論文は、
「在日外国人児童及びその母国語を中心に 
 -ポルトガル語、英語、日本語の
 コミュニティ・ランゲージ・スクールの実例研究」
です。



桐生市で、フィリピン人の母親を持つ小学6年生の女子が
学校でいじめに遭い、自殺した事件が大きく報道されています。

11月4日付けの読売新聞に、この事件について
カイランさんにインタビューした記事が載っていました。
カイランさんの言葉にとても共感しました。



ICSの活動概要は次のとおりです。
2才~中学生くらいの主に外国籍の子どもたちが対象です。
多文化・多言語を使用したシュタイナー教育を実践。



未就学児童へのプログラムは
法律用語で言えば、無認可保育所のようなもの。
学齢児童に対する教育は、
フリースクールのような感じ。
放課後の活動は、いわば無認可学童保育所でしょうか。



公立の小中学校に行けない子どもたちが
通っていますが、学校に行けている子どもたちも
放課後になると通ってきます。

ICSでは、子どもたちが日本の公立小中学校に
通えるように、日本語の授業もあります。
放課後には、日本の学校で出された宿題なども
学童保育の時間に指導しています。

外国籍児童の家庭では、
保護者が日本語が不自由だと、
児童が小学校の高学年や中学生になると
学校の宿題を教えてあげることができなくなります。

子どもたちはそこで、勉強につまずき、
不登校になってしまうことがあります。
このICSでは、学童保育の時間に
宿題を指導したり、保護者や子どもの相談に乗ったり、
外国語でのカウンセリングを行ったりします。

また、日本の学校へ行けるように
支援することと同時に、
それぞれの子どもたちの母国語を使って
母国の文化や歴史も教えます。

そのことによって、
外国籍児童は、自分の国や自分の親に誇りを持ち、
自信につながり、積極性につながります。

文部科学省からは、
「定住外国人の子どもの修学支援(虹の架け橋教室)」事業を
委託されています。この委託事業により、
様々な理由で不登校になっている外国人児童の就学支援をしたり、
親子のカウンセリングを行っています。

2010年10月25日、
このICSで架け橋サポーターの講演があり、
そのときには、文部科学省の責任者、
国際課企画調整室長も来校されたそうです。

文化庁からは、
「生活者としての外国人のための日本語教育事業」を
委託されています。
外国人小学生に、放課後、
宿題や母国語での学習支援をします。
日本語ボランティア教師の研修も行います。

群馬県庁からは、
「スクールホットライン群馬」という事業を委託されています。
外国語による教育相談と、外国語によるカウンセリング事業です。

これらのすばらしい活動を聞いて思うのは、
自殺した桐生市の女の子や、そのご両親が
この団体の存在や活動を知っていたら...。
もし、私が知っていたら教えてあげられたのに、
ということです。

ICSが関わった外国語の教育相談の中には、
県内でも以前、似たようなケースがあり、
訪問してまで支援したそうです。
その時は、学年が変わって、
担任の先生が交代して、
問題が解決したそうです。

私は桐生市の事件を聞いて
とても人ごととは思えません。
伊勢崎市の方が、
遙かに多くの外国籍児童がいるのです。
もしものことがあってからでは遅いのです。

今までの、学校や教育委員会の対応では
不十分だったと思います。
二度と同じ過ちを繰り返さないためには、
怒ったり、批判しているだけでは
何も前進しません。

具体的な支援のアクションを
起こす必要があります。

まず、
伊勢崎市内に、群馬県内に、
外国籍児童とその家庭を支援する団体があることを
多くの保護者や、先生、民生委員の皆さんに
知ってもらいたいと思います。

カイラン教授に、もっと小中学校に
PRしないのですかと質問しました。
実はすでに、
群馬県教育委員会を通じて各学校へ
他の機関の相談窓口と一緒に、このICSを
紹介するチラシを配っているそうです。

しかし、肝心の外国籍児童の家庭に
届いていないことが多いそうです。
なぜ、途中で消えてしまうのか尋ねました。

なんと、学校で外国籍児童を担当している
日本語教室の先生が、このチラシの配布を
止めてしまうことが結構あるそうです。
本当だとすれば、なぜなのでしょう。

以下、私の推測です。
学校として、学校内部の問題を外部に知らせたくないのか。
あるいは、
日本語教室の先生が、自分にとって不都合なことを
外部に相談してほしくないので、チラシを配らないのか。

もし、
学校や教育委員会に秘密体質があるとしたら、
教員も同じ体質になってしまうかもしれません。
行政においても、教育においても
情報公開はよりいっそう進めていくことが必要と思います。
(推測や、仮定の話ですみません)

私はカイラン教授の取り組みや理念を、
もっと多くの方に知ってもらいたいと思います。
そのためには、講演会を開いて
教授自身から話して頂くのが一番良いのではないかと
思います。

カイランさんは大学教授で、
教育のプロですから、講演は得意です。

本日は、
教育委員会や学校、児童家庭課に、
外国籍児童の就学支援の重要性を訴え、
この団体の活動をお伝えしてきました。
坂東小のPTA会長さんにも、残業でお疲れのところ
夜11時まで、ICSの話を聞いて頂けました。
本当にありがとうございました。

しかし、保護者としては
市役所や教育委員会が
動くのを待つだけではだめだと思います。
桐生市の事件は、子どもたち、そして保護者相互の
問題であったと思うのです。
保護者自身が当事者意識を持ち、
行動を起こすことで学校が、地域が、子どもたちが
変わっていくのではないでしょうか。

P.S.
ICSでは、次の言語に対応しています。
スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、
英語、パキスタン語、イラン語、日本語。






















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