
(魂をふるわす)
「魂をふるわす演奏」という言葉があります。
私はいきなり、魂を奪われました。
無認可幼稚園?である「伊勢崎あすか幼稚舎」の
子どもたちの演奏です。

北関東大会に出場するほどのレベルと聞いていました。
しかし、これほどとは。
圧倒的な音が響いた瞬間から、
私の意識は、すっ飛んでしまいました。
幼稚園や保育園などの幼児教育関係者の方、
関心のある保護者や、行政関係の方、研究者の方など
ぜひすぐに、あすか幼稚舎を訪問し、
子どもたちの演奏を聴くことをおススメします。
頂いたパンフレットから
「あすか」の教育理念をご紹介します。
幼児は科学的にも実践的にも人間としての能力を最も豊かに内蔵し
最も著しく発達することが明らかにされた。
従って我々幼児教育にたずさわる者は「知・情・体」の
調和の取れた教育環境を整えて「動きと言葉とリズム」を基調とした、
最も適切な経験を与え、活発な活動を繰り返し展開して
幼児の全面発達に全力を尽くすことを、ここに宣言する。
(指揮者を見る目)
音楽室一杯に子どもたちと楽器が広がっています。
子どもたちは自主的に配置について、スタンバイします。
指揮者の先生が演奏のため指を上げた時、
止まった時間の中で、
子どもたちの刺さるような視線が一点に集中。
ぞくっとするほどの緊迫感で、それだけで
これからはじまる演奏のレベルの高さがわかります。

「あすか」は、特別な子どもを選抜しているのではありません。
むしろ、協調性が無い、外国籍児童で日本語が良く分からないなど
他の幼稚園などで敬遠された児童も全て受け入れています。
私は、東京シューレ葛飾中学校のように
多様な教育のありかたが認められるべきだと考えています。
すべての保育所や幼稚園が「あすか」のようにすべきとは思いません。
子どもたちは様々な個性を持ち、保護者の希望も多様化しています。
自分に合った教育や、学校が選べれば、
今よりも不登校のこどもは減ると思います。
「子ども」も「園」も『みんなちがって、みんないい』のです。
「オルタナティブ教育」という言葉があります。
「非伝統的な教育」や「教育選択肢」とも言い、
主流または伝統とは異なる教授・学習方法を意味します。
(驚くべきは、)
ビックリしたことに
この「あすか幼稚舎」は、無認可の施設なのです。
正式な幼稚園でも保育所でもありません。
なので、行政からの補助金はゼロ。
保護者の月謝で経営しています。
そのため建物はボロ。
でも、子どもたちと先生はやる気一杯。
「ボロは着てても、心はにしき」
という歌を思い出します。
世の中に無認可の児童施設はたくさんあります。
「あすか」が驚異的なのは、独自の教育だけではありません。
在籍している児童数は、120名以上。
多い年は200名以上もいて、既に23年の歴史があります。
園舎も園庭もあり、これほどの規模で
これほどの年月運営している無認可児童施設は
あまり例が無いのではないでしょうか。
保育所のような所得に応じた月謝の低減はありません。
3人目の保育料無料、といった特典もありません。
でも、子どもたちの無限の可能性を信じて伸ばそうと取り組む
「あすか」の教育を希望する保護者は、
正式な園に比べて割高な月謝を払ってまでも、
毎年100名以上の子どもが通ってきているのです。
(保育所のかわりにも)
先生の話では、
「あすか」は朝の7:30から夜の6時過ぎまでやっているので、
家庭によっては保育所の代わりにもなっているとのこと。
伊勢崎市では、保育所の入所希望は100%カバーできている
ということになっていますが、
「あすか」だけでも毎年100名以上の幼児を受け入れていますので、
もし「あすか」がなければ、伊勢崎市では保育園の定員が100名も
足りないということになるのかもしれません。
このように考えると、
「あすか幼稚舎」が23年間も運営してきた役割は、
伊勢崎地域にとって社会的に必要なことだったのではないでしょうか。
これまで「あすか」では、正式な園となるように
ずっと行政にお願いしてきましたが、
認められなかったそうです。23年間も。
「無認可施設として、やりたい人が、やりたいように運営し、
高いお金を払っても、子どもを預けたい人が預けているだけだから、
行政のお金で補助する必要は無い」と考える人もいるかもしれません。
でも、私立の幼稚園や保育所、学校などが世の中には存在し、
宗教などに基づいた教育など、独自の教育を行いながらも、
認定された学校は、行政から多額の補助金を受けて運営しているのです。
昨日、今日、出来た施設や、
わずか数人の施設であれば、しかたないのかもしれません。
毎年100名から200名の幼児を受け入れ、
23年間も運営してきた実績を考えると、
他の私立施設が認められ、「あすか」が認められない理由は何か。
幼児のための施設は、保育所、幼稚園のほかにも
「認定こども園」などもあります。
「あすか」の活動を良く調べるとともに、
市の計画や政策・制度、これまでの経緯などを
研究したいと思います。