伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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しずおか型特別自治市

2013-10-25 16:06:13 | 道州制 政令指定都市
政令指定都市は増え、20市になりました。
いまや国民の5人に一人は、政令指定都市の住民です。
はじめは5大市と言われた100万都市が対象でしたが、
その後人口が100万人に届かない市も認定されるようになりました。

最近では、市町村合併を促進するため、
特例として70万人で政令市となれる措置もありました。

このような経緯から、従来は大都市=政令指定都市
というイメージでしたが、現在は必要な人口を確保するため
山間部や過疎地域までも含む政令指定都市が存在しています。

「政令指定都市 - 100万都市から都構想へ」 (中公新書) 北村亘
などによれば、政令市が誕生したころから、
県から独立し県と同格の権限を持とうとする政令指定都市側と、
それを認めまいとする県側との争いが続いてきました。
なかなか決着がつかず、あいまいなまま今日に至っています。

近年では、大阪の橋下市長が「大阪都構想」を発表し、
大阪府と政令指定都市である大阪市の一体的な行政を
目指しています。

大都市を国の中でどのように位置づけるのか、
という問題がある一方で、岡山市や熊本市、浜松市のように
山間部や人口の少ない地域までも包括している政令市は、
大都市と同じようには扱えないので、これらの政令市を
どのように位置づけるのかも現在の課題です。

このような背景の中、
PHP総研主席研究員、荒田英知さんの論考が参考になりますので
要約してご紹介します。詳しくはリンク先をご確認ください。

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「“しずおか型特別自治市”を静岡県も後押しへ
荒田英知(あらた ひでとも)政策シンクタンクPHP総研 主席研究員

指定都市市長会は、
府県との二重行政を完全解消する「特別自治市」の実現を求めている。
しかし、6月に政府の第30次地方制度調査会は、
「まずは、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を可能な限り進め、
実質的に特別市(仮称)に近づけることを目指す」と答申しました。

20政令市の状況は多様であるため、一律の制度化にはなじまない。
答申を受けて、特別自治市をめぐる動きは、
個々の政令市による具体的な実績の積み重ねフェイズに移行した。
鍵を握るのは各市と府県との関係である。
一般的に府県側は移譲には消極的。

そうしたなか、浜松・静岡の両市は
“しずおか型特別自治市”の具体化に向けて県と会議を重ねてきた。
10月21日に行なわれたG3(県・政令指定都市サミット)では、
川勝平太・静岡県知事と鈴木康友・浜松市長、田辺信宏・静岡市長の3者が、
「しずおか型特別自治市」の制度骨子について合意。

道州制への移行を踏まえて、浜松、静岡の両市域で
警察等の広域事務以外は両市に県の事務を移譲するとともに、
市域内の全ての地方税を特別自治市が賦課徴収して
「基礎自治体の自立モデルを確立する(鈴木市長)」というものである。
政令市と県が連名で移譲方針を明文化したのは全国初。

川勝知事が「府県制度の廃止、道州制を目指す」という考え。
広域自治体の役割が大きく変わるからこそ、
基礎自治体に移譲できる事務は大胆に移すべきだという判断。

静岡県はこれまでの地方分権改革の過程で、
県から市町村への権限移譲実績が全国最多。
特別自治市の具体化に際しても、「内政のフロンティア」として
全国をリードする存在でありたいとする自負があったからこそ、
各論反対となり易い税財源の移譲まで盛り込めたのだろう。

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(紹介ここまで)


政令指定と市が、県から完全に独立して
同等の権限を行使するには、財源の問題をクリアしなければなりません。

かつての5大都市時代の政令指定都市は、
都市部で人口が集中し、日本全土で見た場合税収が多い地域でした。
そのため政令指定都市内の税収を政令市だけで使ってしまうと
残された過疎地域の税収が不足するという課題があり、
税源以上は進みませんました。

ところが、浜松市と静岡市の場合、
過疎地域や限界集落も抱える「国土縮図型都市」であるため、
市内の税収で自立するという面で、大都市部よりも正当性があるのです。



政令市が県から独立することに、反対する県が多い中で、
なぜ静岡県だけは、市への権限と財源移譲に積極的なのか、
という理由ですが、荒田さんの分析のとおり知事の判断と
県庁のスタンスの違いが大きいと思います。

私はこれからの時代は、日本は道州制が適していると考えていますが、
静岡県知事も広域自治体の役割は道州制へ向けて大きく変わる時である、
そのため県の事務は基礎的自治体へ大胆に移すべきだ、という
大極的判断をお持ちです。時代を読むリーダーの力。

そして、静岡県庁の姿勢。
これまでも事務事業評価などで、全国の自治体の
行政改革をリードしてきました。
県の事務を市町村へ移した実績が全国最多であり、
荒田さんによれば、「特別自治市の具体化に際しても、
「内政のフロンティア」として全国をリードする存在でありたい
とする自負があった」からなのでしょう。

私はすでに「自治体戦国時代」に突入していると認識しています。
国による行政指導や補助金行政は終わり、
発展するのも衰退するのも自己責任の地方分権時代です。
時代の変化を読み、早くから適切な手を打っている自治体と、
漫然と旧態依然とした行政を繰り返すだけの自治体では、
経営に大きな差が出ます。






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