伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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災害時における首長は判断の訓練を

2023-04-07 17:51:21 | 地震・災害 関係

 

(災害時における首長の重要性)

 

気象庁によれば、

南海トラフ沿いの大規模地震(M8からM9クラス)は、

今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、

昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から

約80年が経過しており切迫性の高い状態です。

 

まもなく起こるものとして覚悟し、

しっかり備えておく必要があります。

 

大災害時に対応の中心となるのは自治体です。

災害対策本部の本部長は知事や市町村長。

いざというときには、首長が最高責任者として

迅速かつ適切な判断を次々と下さなければなりません。

 

非常時において、迅速かつ適切な判断が

次々と下せないとどうなるか?

初動の遅れや判断の誤りは、災害対応において命とり。

 

しかしながら、

大災害を体験したことのある首長はごく少数と思います。

大多数の知事や市町村長は、生まれて初めての事態に遭遇し

そのなかでの対応が強いられます。

いわば素人がいきなり本番を迎えるわけです。

 

このように考えると、

災害時における最高責任者である首長が、

災害対応に関して迅速かつ適切な判断能力を持っていなければ、

非常に困った事態になることは容易に想像できます。

 

ほとんどの自治体は防災計画をつくり、

防災訓練を実施していると思います。

しかしながら災害対策本部において一番大事な部分はどうか?

首長は迅速な判断や指示を出す研修や訓練をしているのか?

私の知る限りでは、

ほとんど行われていないのではないかと危惧します。

 

災害時には一度にいろいろなことが起こり、

災害対策本部には大量の情報が押し寄せてきます。

専門的なことも多く、他機関と共通認識を持つ必要もあります。

 

その情報の洪水の中で首長は取り組むべき優先順位や

時間等の制約、災害対応の原則や、判断の仕方について、

最低限の知識と理解を全国の首長が身に着けられるよう、

国や県が計画的に首長の研修を行う必要があると考えます。

 

 

 

(被災地首長の貴重な提言)

 

過去の水害や大震災を経験した市町村長さんが、

「災害時にトップがなすべきこと」という提言を

平成29年に発表されました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

災害時にトップがなすべきこと

我が国は災害列島と呼ばれ、毎年のようにどこかで大災害が発生している。
しかし、多くの場合、当該都道府県では「たまに」、当該市区町村では「ご
くまれに」被災を経験するというのが実態である。いわんや、4 年任期の首長
にとっては、ほとんどの場合、「職務上初めて」の経験である。

市区町村長は、多くの場合、災害に関する危機管理の訓練を受けておらず、
しかも、わが国には災害の危機管理に関して市区町村長を体系的に訓練する仕組みは整っていない。その結果、毎年のように失敗と批判が繰り返されている。

それでもなお、「危機管理における意思決定は現場に最も近い市区町村長が
その責任を負うほかはない」というのが私たちの信念である。自分たちの地域への責任を、私たちは放棄するわけにはいかない。

この「災害時にトップがなすべきこと」は、大水害を経験した首長の集まり
である「水害サミット」で策定した「災害時にトップがなすべきこと」に、東日本大震災や熊本地震等の大地震を経験した首長の意見を新たに加え、風水害、地震・津波全般にわたって最低限トップが知っておくべき事項として取りまとめたメッセージである。

ここには、私たち自身が失敗し、もがき苦しみながら重ねてきた経験と教訓
が込められている。

いざというとき、全国の市区町村長の方々に、せめてこの「災害時にトップ
がなすべきこと」があったことを思い出し、参照していただければ幸いである。

このメッセージが、大災害に関するトップの意思決定の一助となり、被害の
軽減につながることを心から祈念し、全国に発信する。

(以下リンク先の本文をぜひお読みください)

 

 

 

(プロアクティブの原則)

 

務台俊介氏によれば、アメリカには

プロアクティブの原則」という危機管理の原則があります。

大規模災害時にトップに立つ者の行動原理で、

米国では組織のトップはこの行動原理が徹底的に叩き込まれます。

 

被害が極度にひどい時には情報は来ません。(千葉県庁の失敗事例)

その際、トップはどのようなスタンスで危機に臨むべきか、

という判断基準です。

 

プロアクティブの原則

一つは、「疑わしきときには行動せよ」、

二つ目は、「最悪事態を想定して行動せよ」、

三つ目は、「空振りは許されるが、見逃しは許されない」

 

逆に、良くない災害対応の例として

「プロアクティブの原則」の逆を考えてみましょう。

 

 1 状況を甘く考える。

 2 思った以上に状況が悪く、対応が後手後手になる。

 3 もっと早く資機材や人員を投入していれば軽くすんだのに、

   タイミングが遅れ被害が拡大してしまう。

 

 

 

(災害時に一番貴重なのは?)

 

災害時に一番貴重なのは何?

情報、食料、水、電気などいろいろ大切なものがあります。

私が考えた結論は「時間」です。

 

大災害時には、いろいろなものが壊れたり、不足します。

でも一番大事なものは「人命」です。

では、人命を守るためには何が大事でしょうか。

 

災害時には、大怪我をして救助や手当てが間に合わなくて

亡くなる方もいます。

でも、もし火災や大水が発生しても、

逃げられない人のところまで来るのが、

すぐではなくて100年後だったら、

余裕を持って助けられます。

 

出血多量で命の危機にある人も、

あと30分で死亡するのではなく、

1年後だとしたら、十分助けられます。

 

最災害時に一番重要で取り返すことができないのは「時間」です。

だとすれば事前に準備しておくことが、

災害対応の時間の節約になるのです。

必要な物資の備蓄や、訓練、情報広報手段の確保など。

 

 

 

(参考ブログ)

災害時にトップがなすべきこと

災害対応 プロアクティブの原則

県の防災体制 抜本的見直し 日本にもFEMAを

 

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