天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

朝日にちぢむ土竜妻

2017-04-24 12:42:42 | 身辺雑記


7時に二階から一階へ降りた。
いつもなら電灯がともり朝食の用意をしている妻がまだ床にいる。
「あっ朝なんだ!」という妻をまたいで雨戸をあけて光を入れ、電灯をともすと、妻が体を九の字にして屈みこんだ。
言葉が出せれば「わたしを殺す気?」といっていただろう。
しまったと思い電灯を消す。
妻はしばらく屈んで苦痛に耐えている。それは男が金的を蹴られて悶絶している感じ。内容はまったく違う苦痛なのだろう。

妻は朝がめちゃくちゃ苦手。
自立神経系の問題があり唾液を分泌しないので朝は声が出せない。涙を分泌しないのは朝だけでなくしゅっちゅうで目薬をさしている。これは孫の流行り目のウイルスにかかってからの後遺症とか。
血圧は極度に低く、最高血圧が100に到達しない。
はやい話、生物としての生きる機能がとりわけ朝はいちじるしく低下しているのだ。

ぼくは5時前に起床して中央例会ボツであったリベンジをはたすべく、草取りの句を考えていた。
「藪枯」と「屁屎葛」は同じものだったか違うのか気になって、妻に聞いたのだが妻に返答はなかった。ここであわてて電灯をともしたのがいけなかった。
数分して、「ご ご ごめんね あさ こえ が でなくて」と切れ切れにいう妻に対して、悪かったなあとつぶやいていた。
体調がよくなってきてほっとした。
妻にとって今日の朝日や電灯は蕎麦アレルギーの人があやまって蕎麦を食べたようなショックであり、非道なことであった。
けれどとっさのとき「人の身になって」とか「人の気持ちになって」とかいうのがほぼ無理と直感した。

特異な体質の妻のコンディションに思いが至らないのは、妻が毎日よく家事をこなし、バレエのレッスンにもいきいきと通っているせい。それに夫にせっせと小言をいいこちらの反撃は受け付ないせいもあるだろう。
それにごまかされて妻は万全と錯覚してしまうのである。
もう少し気をつかってやらねばと反省した朝であった。
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