2024年04月17日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[中国 ロシア産スケトウダラ原料再加工ビジネスの鈍化]
今年2024年明けから、中国のロシア産スケトウダラ原料再加工ビジネスの鈍化が確認されているとロシア業界紙(WEB)が伝えた。
2024年1月-2月、ロシア産冷凍スケトウダラ(H&G・W/R)の中国による輸入量は7万7,770トンで、前年2023年同期の9万1,060トンより14.5%減少した。
昨年2023年の中国のスケトウダラ輸入量は59万8,540トンで、前年2022年とほぼ同水準だった。
米国は、2022年7月、ロシアからの水産物製品の輸入を全面禁止し、更に2023年12月には、第3国が加工した製品についても、ロシア原産水産物の輸入を禁止する追加制裁措置をとった。
EUは、2024年から2026年の新たな自主関税割当(ATQ)制度から、ロシア産の主要なスケトウダラ等の白身魚を含め水産物製品を除外、輸入免税はなくなり、13.7%の標準関税が設定され、さらに、第3国が加工した製品についてもこれが対象になったと伝えられている。
英国は、2022年7月、ロシア産白身魚の輸入関税を引き上げ、35%を設定し、現在、第3国が加工した製品についてもこれを対象とする検討が開始された。
これらすべての政策変更は、中国の再加工メーカの原料仕入れと製品供給戦略の調整につながったと評価されている。
2024年明けから、中国は原料仕入れの減少と並行し、スケトウダラの再加工製品の輸出も減少させている。
2024年1月-2月の中国のスケトウダラ製品輸出は、フィレが2万5,240トンで、前年2023年同期の2万7,400トンより2,000トン以上減少している。
一方で中国は、ロシア産と比較して、まだ数量は少ないものの、米国産冷凍スケトウダラの輸入を増加させており、当該戦略調整を指し示す動向となっている。