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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

長時間労働 電通過労死で問われるのもの③ 過労死促進「残業代ゼロ」法案 体壊しても「自己責任」

2017-01-18 12:03:17 | 働く権利・賃金・雇用問題について
長時間労働 電通過労死で問われるのもの③ 過労死促進「残業代ゼロ」法案 体壊しても「自己責任」

電通社員の過労自殺は、いま政府が国会に出している「残業代ゼロ」法案(労働基準法改悪案)を絶対に成立させてはならないことを痛切に思い知らされます。
労働者一人ひとりの労働時間を正確に把握し業務を調整して健康を守る対策をとる―この企業責任を電通が果たさなかったために不幸はおこりました。労働時間を把握・管理する企業責任がいかに重要かを教えています。



電通本社の強制捜査を終え、段ボール箱を運び出ず東京労働局の職員ら=昨年11月7日、東京都港区

時間規制外す「高度専門職」
ところが、「残業代ゼロ法案」はその逆です。労働時間管理責任から企業を解き放ち、残業代を出さずに労働者を長時間働かせる自由を与えるものです。
まず「高度プロフェッショナル制度」の創設。これは管理職の一歩手前で年収1075万円超の「高度専門職」について、労働基準法の労働時間規定をいっさい適用しないという制度です。企業は、労働者の労働時間を管理する必要はなく、残業代、深夜・休日出勤の割増手当を支払う義務がなくなるという、究極の無制限労働制度です。
賃金は仕事の成果しだいで、労働者は他より多い成果を出すための競争に駆り立てられて長時間労働が避けられなくなります。しかし企業には労働時間の管理責任がないので、労働者が体を壊し、過労死することがあっても「自己責任」です。
電通事件では、本社などが労働時間管理責任を問われ、労働基準法違反で会社と幹部が書類送検されています。これが「高度プロフェッショナル」になれば労働時間規制の適用外で、事件にならない可能性があります。
安倍晋三首相は、年収要件が高く、適用されるのはごく一部だといいます。しかし、電通では35歳で年収1000万円に到達します(有価証券報告書から)。ごく一部どころか中堅の段階で対象になります。経団連の榊原定征会長はことしの年頭インタビューで法律がまだ成立していないのに、「年収基準を引き下げて対象を広げるべきだ」(「日経」1日付)と主張しています。

裁量労働制の適用業務拡大
もう一つ、裁量労働制の適用業務拡大も深刻です。
法案は企画業務型の裁量労働制の適用対象を「提案型営業」と「管理・評価をおこなう業務」に広げます。
裁量労働制は、仕事を労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用する制度です。営業や管理・評価の仕事は、上司の指示で働くもので裁量労働には該当しません。したがって、提案型の営業が中心の広告業界には適用されず、電通の人事部長が2002年に専門誌で営業職にも導入できるよう制度改正を求めていました。
法案が成立すれば、過労自殺した電通の女性社員が携わっていた業務が対象になります。適用されると、実際に働いた時間とは関係なく労使が協定した時間を働いた時間とみなします。労使協定が8時間であれば、実際は10時間働いても、超過の2時間は働いていないことにされるのです。「三六協定」も必要ありません。
財界の要求でつくられた日本独特の異常な制度です。仕事が多すぎて残業しても、なかったことにされます。
これは事実上、企業犯罪である「サービス残業(割増賃金不払い労働)」を合法化する制度にほかなりません。これを裁量のない営業などの業務に広げようというのです。
この法案が成立すれば、労働時間が企業の思いのままに長くなるのは必然です。成立させるわけにはいかない過労死促進法案です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月14日付掲載


本当の意味での「高度専門職」「裁量労働」なら、自分で労働時間を管理出来て、体を壊すほどに働くことはないけれど。
財界が言う「高度専門職」「裁量労働制」は偽物。労働者は自分で働く時間を管理できない。

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