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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと民主主義② 「国民総監視」の基盤

2024-05-17 07:10:44 | 赤旗記事特集
AIと民主主義② 「国民総監視」の基盤

経済研究者 友寄英隆さん

自公政権は2021年5月に十分な審議を求める国民の声を無視して「デジタル関連6法」を強行成立させました。同法それ自体は治安立法ではありませんが、個人情報を国家が一元管理してマイナンバー機能などと統合すれば、強権的な「治安体制」の強化につながる「国民総監視」の技術的基盤となります。
自公政権は、デジタル社会の目標を「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」(20年12月「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」)などとうたっています。そのために国民一人ひとりに番号を付け、さまざまな個人情報をひも付けるマイナンバー制度が必要だと強調しています。




強権体制支える
しかし実際は、個人情報が「監視国家」のために利用されると、「誰一人監視の網の目から取り逃さないデジタル社会」になってしまいます。デジタル技術そのものがもつ危険性と反民主主義的な政治が結びつくならば、強権的な治安体制を情報体制の面から支える危険があるからです。
反動的な社会変革の仕上げが憲法の改悪です。自民党が狙っているのは憲法に「自衛隊」を明記する9条改憲です。憲法9条を変えても自衛隊を憲法に書き込んで現状を追認するだけではないか―。こう考えることは大きな間違いです。憲法を変えることでこれまでのさまざまな反動立法、治安立法が一挙に動きだし、フル稼働できる国家体制になるからです。その時には「デジタル監視国家」が全面的に起動するでしょう。これはきわめて現実的な危険性です。
「デジタル専制主義」とは、18年1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で使われた言葉です。もっぱら中国などを念頭において「国民の経歴、嗜好(しこう)、行動など、あらゆる個人情報を国家が掌握し、一握りの権力者たちが国民を専制的に支配すること」だといいます。
こうした「監視社会」は中国だけの特殊な現象ではないとの指摘もあります。
『幸福な監視国家・中国』(梶谷懐・高口康太、NHK出版新書、19年)では、中国でも主要国でも人々がより幸福を求めた結果、監視と管理を強める方向に動いているとして、「『監視社会』が現代社会の人々に受け入れられてきた背景が、利便性・安全性と個人のプライバシー(人権)とのトレードオフにおいて、前者をより優先させる功利主義的な姿勢にあるとしたら、中国におけるその受容と『西側先進諸国』におけるそれとの間に、明確に線を引くことはできません」と指摘されています。

たたかいが必要
20世紀の人類は、「金融資本の最も反動的で暴力的な専制政治」であるファシズムの痛恨の経験をしてきました。各国のファシズムに共通していたのは、情報や宣伝、メディアや教育を全面的に国家が統制して、国民の意識をコントロールすることでした。
21世紀の人類は、1930~40年代のファシズムの教訓に学んで、デジタル情報技術が政治支配の手段にされることを阻止しなければなりません。デジタル・ファシズムが現実のものにならないように、その危険性を決して軽視せずにたたかっていくことが必要です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月15日付掲載


個人情報が「監視国家」のために利用されると、「誰一人監視の網の目から取り逃さないデジタル社会」に。デジタル技術そのものがもつ危険性と反民主主義的な政治が結びつくならば、強権的な治安体制を情報体制の面から支える危険がある。
20世紀の人類は、「金融資本の最も反動的で暴力的な専制政治」であるファシズムの痛恨の経験。各国のファシズムに共通していたのは、情報や宣伝、メディアや教育を全面的に国家が統制して、国民の意識をコントロールすること。
21世紀の人類は、1930~40年代のファシズムの教訓に学んで、デジタル情報技術が政治支配の手段にされることを阻止しなければなりません。

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