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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 ODA大綱見直し③ 「憲法」から「国益」へ

2014-12-23 15:31:54 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 ODA大綱見直し③ 「憲法」から「国益」へ

現行大綱を決定するにあたって政府は、「改定について」という文書を前文として付記し、憲法の精神を強調しています。
「わが国としては、日本国憲法の精神にのっとり、国力にふさわしい責任を果たし、国際社会の信頼を得るためにも、新たな課題に積極的に取り組まなければならない」
ところが今回、政府が示した改定大綱案には、「憲法」という文言がすっぽりと抜けてしまいました。対照的に強調されているのが、現行大綱には盛り込まれなかった「国益」という言葉でした。
「世界が抱える課題に取り組んでいくことはわが国の国益の確保にとって不可欠」
「国益」との言葉が入ったのは、安倍晋三内閣が13年12月に閣議決定した「国家安全保障戦略」で「国益」が強調されたためです。外務省は、「『国家安全保障戦略』で『国益』の説明をしているので、そのエッセンスをここに持ってきた」と説明しています。改定大綱案には、安倍政権が進める「アメリカとともに海外で戦争できる国づくり」が色濃く反映しているのです。



財界3団体の新年パーティーであいさつする安倍晋三首相(左)と3団体の首脳たち=都内のホテル、1月7日

軍隊へ民生支援
改定大綱案に対し、NGO(非政府組織)などからの批判が集中しているのが軍隊への民生分野での支援です。
改定大綱案は、「実施上の原則」の項で次のように明記しました。
「民生目的災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」
つまり相手が軍隊であっても、その活動が「非軍事」が目的ならば、支援対象とすることを検討する、としたのです。
これまでも、政府は外国軍隊へのODA支援をおこなってこなかったわけではありません。01年に西アフリカのセネガルに対して、国防省が管轄する軍の総合病院の産科棟を改修した経緯があります。このときは、保健分野の支援であり、対象となった病院が軍の管轄にあるからといって、協力ができない、ということではない、として実施されました。
「動く→動かす」と「国際協力NGOセンター(JANIC)」の緊急声明(10月31日)では、援助案件が軍事転用されないための担保が、改定大綱案には記されていないこと、軍隊は機密性の高い組織であり、援助案件がどのように運用されるのかを把握することが困難であることを挙げて、懸念を表明しています。

「原則」が空洞
さらに、今後、軍や軍籍保有者への支援が当然視され、改定大綱案でも明記された「開発協力の軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するとの原則を遵守」するとした原則が空洞化する危険性を指摘しています。
全国4カ所で開かれた公聴会(東京、京都、福岡、仙台)でも、会場から批判の声があがりました。
途上国の民生分野での能力を強化するといっても、軍隊による復興活動支援あるいは、人道支援の能力を高めることは、結果的にその国の軍隊の能力を高めることにつながるではないか。民生目的と軍事目的があいまいな場合や、その両方の目的を持つケースが存在するが、境界線をどこに引くのか。民生目的、災害救助であっても、厳格なガイドラインや審査制度の担保があるのかないのか―などです。
公聴会で外務省は、これらの批判、懸念にたいして軍事的用途の回避のために「二重三重にチェックしていく」と答えるにとどまりました。しかも「二重三重に」と強調するわりには現在のところ、外務省内に、特別な審査組織を立ち上げることは検討されていません。
いったん、軍隊支援への抜け穴を開けてしまえば、その穴が大きく広がっていく可能性は高い。しかも、時の首相が改憲を狙う安倍首相であれば、なおさらです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年12月19日付掲載


そもそもODAとは相手国の経済発展のためにあるのだから、「国益」とリンクさせること自体がおかしいことです。それに、一番非経済的で破壊的な軍隊に支援することは、ODAの理念に反していると思います。

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