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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

東芝半導体売却 四日市の苦悩① 工場誘致の揚げ句に

2017-05-18 14:27:43 | 経済・産業・中小企業対策など
東芝半導体売却 四日市の苦悩① 工場誘致の揚げ句に

東芝の半導体工場がある三重県四日市市の街並みは、企業とともに変ぼうを遂げてきました。東芝は、米国での原子力事業の損失を穴埋めするため、半導体事業の切り売りを進めています。地域経済への影響が懸念されています。(斎藤和紀)

「大企業を呼び込めば、地域が潤う」
この神話にしがみついた三重県と四日市市は、雇用創出や地域産業の振興を目的に、多額の補助金を東芝に交付しています。
三重県は事業所などの新設・増設などに約24億2000万円、四日市市は事業所などの新設・増設、研究機能の強化に約28億5000万円を東芝に交付。総額は約52億7000万円に達しました。

雇用増えたか
しかし、誘致の目的である雇用創出の効果があったかは不透明です。地元の三重県や四日市市での従業員採用数は、東芝が公表しないために県や市は把握できないといいます。四日市市は「(東芝による地元での雇用数の)統計はとっていない。今後詳しく調査する予定はない」としています。
東芝の四日市工場に隣接する広大な従業員用駐車場には、三重県外のナンバーをつけた自動車がずらりと並びます。岩手、大分、沖縄など全国各地のナンバーがあります。
四日市工場の従業員数は、2017年4月1日時点で6200人と発表しています。しかし、非正規雇用の従業員が多いとみられます。メンテナンス業務を請け負って工場内で働いていた男性労働者は「部門ごとにいくつかの派遣会社が入っていた」と証言します。ところが、県・市は四日市工場での非正規雇用者数を把握していません。
東芝の四日市工場が操業開始したのは1993年のことでした。
「東芝の誘致は、市が全面的に支援して進められました」。日本共産党の萩原量吉元三重県議は語ります。
「市の土地開発公社は東芝誘致のために野山を削り、東京ドーム9個分の土地を造成しました。強引に買収し、低い値段で提供しました。工場周辺の道路整備には約17億円投入するなど東芝のための基盤整備にも力を入れました」
東芝を引き留めるために奔走する市の姿もあります。
東芝は2008年に新たな建屋を建設するため地権者と用地買収の交渉をしました。しかし地権者が建設予定地以外の土地も買収することを条件としたため頓挫。東芝は岩手県北上市への生産拠点の移転を検討しました。移転に危機感を募らせた市は「新棟建設によって雇用約1200人、税収約220億円の経済効果が見込まれる」と宣伝。1・8ヘクタールの土地を約2・5億円で市が東芝に代わって買収し、移転を踏みとどまらせました。東芝にとって不要な建設予定地以外の土地は市が所有しましたが、用途がないため放置されました。



東芝メモリの四日市工場=三重県四日市市

悲劇的な結果
半導体工場の売却をめぐり、松下智治四日市工場長は、雇用は維持すると県や市に説明しています。しかし雇用維持の保証があるのか問われると、松下氏は「(守られるという)担保はない」と答えたと報じられています(中日新聞、4月7日付)。売却先によっては大規模な解雇が懸念されます。
「屈用創出」と「地域経済の振興」のために県・市は巨額な税金を東芝に投じてきました。しかし、その結果は半導体事業の切り売りという悲劇的なものでした。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月12日付掲載


兵庫県でも、大企業の誘致に補助金を出して、勝手に撤退されてひどい目にあっています。
東芝の場合は、企業の経営方針でなく、身売り先の術中に依存してしまう。

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