きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

自然エネルギー 世界の挑戦① アラブ首長国連邦 マスダールシティ

2011-06-29 21:05:02 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
自然エネルギー 世界の挑戦① アラブ首長国連邦 マスダールシティ

 福島第1原子力発電所の事故後、原発に頼らない温暖化対策として、再生可能エネルギーに注目が集まっています。世界各地での取り組みを現地からリポートします。

アラブ首長国連邦 マスダールシティ(上)
建設進む太陽光都市



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 アラブ首長国連邦(UAE)では世界最先端のクリーンエネルギー技術を集めた近未来実験都市「マスダールシティー」の建設が進められています。
 近代的なビルが立ち並ぶ首都アブダビからヤシの並木が続く道を車で約30分。灼熱(しゃくねつ)の太陽が照りつけ、ペルシャ湾からの熱風が吹きつける砂漠地帯の一角に同都市はあります。
 約40平方キロの敷地には「マスダール科学技術研究所」や図書館、一部の居住用の建物がすでに完成。研究所では大学院レベルの学生約600人が研究を始めています。



「マスダールシティ」理事長のアラン・フロスト氏(左)と「マスダール発電」理事長のフランク・ウォーターズ氏

指導的な役割
 市の建設は7段階に分かれ、すでに第1段階が終了。2025年にすべてが完了すれば、研究者など居住者4万人と通勤者5万人、計9万人の都市が出現します。世界の関連企業1500社が進出を予定し、アブダビの研究所や大学もここに移るといいます。
 「マスダールシティーで再生可能エネルギー利用の増大をめざしています。すでに世界市場で化石燃料の排出削減に向け指導的役割を果たしています」。マスダールシティー理事長のアラン・フロスト氏(オーストラリア人)が強調します。
 すでに2009年に1万キロワットの太陽光発電所が完成。「マスダール電力」理事長のフランク・ウォーターズ氏(オランダ人)によると、この3年間の発電量は3600万キロワット時。アブダビで走る車3300台が排出する二酸化炭素(CO2)2万4000トン分の削減を可能にする量だといいます。




ビームダウン式集光太陽熱発電施設

目標100%供給
 研究所などの施設の屋根には計1000キロワットの太陽電池が取り付けられています。現在これらを合わせた1万1000キロワットの太陽光発電のうち約4分の1が施設や進行中の建設に使われています。市完成後には30万キロワットの電力が必要ですが、フロスト氏は「クリーンエネルギーで100%の供給を目指しています」と話します。
 ウォーターズ氏が期待を寄せる新しい太陽熱発電所や太陽熱クーラーの研究も始まっています。新型の太陽熱発電は2009年に完成したビームダウン式集光太陽熱発電(100キロワット)です。ヘリオスタットと呼ばれる鏡を塔の周辺に大量に設置し、高さ20メートルの塔に取り付けられた鏡に光を反射させます。光は塔の下部にある集光器に再反射され、それによって得られた高温で蒸気タービンを回し、発電します。
 開発したのは東京工業大学の玉浦裕教授で、コスモ石油がUAEと折半で投資しました。同社のアブダビ事務所の松居聡所長によると、商業化されている方式より高い600度の高温が得られるので、効率が良く、コストダウンも見込めるといいます。現在、その実証実験が行われています。
(アブダビ=伴安弘 写真も)(つづく)

マスダール計画
 UAEが2兆円を投資して進める再生可能エネルギー推進計画。①「マスダール科学技術研究所」の設立と運営②世界の再生可能エネルギー事業への投資③再生可能エネルギーによる発電の開発・運営④二酸化炭素排出量の削減⑤マスダールシティーの建設―の5事業から成ります。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年6月27日付掲載



アラブ首長国連邦 マスダールシティ(下)
省エネも未来先取り


 アラブ首長国連邦(UAE)の近未来実験都市「マスダールシティー」は、クリーンエネルギーの創出だけでなく、省エネ技術でも未来を先取りしています。
 同市内ではガソリン車は禁止。敷地内は最高時速130キロの電気自動車(日本製)で移動します。16キロワット時のリチウムイオン電池が使われており、30分で80%までの充電が可能です。




 さらに路面に埋め込まれた磁石に誘導されて走る4人乗りの「人員高速輸送システム」(PRT)が未来都市を感じさせます。運転手なしで電気で動き、車内に取り付けられたパネルの行き先を押すと、自動で発車します。時速は直線で40キロ、カーブで25キロ。「駐車スペース」に入れば自動的に充電されます。施設内を案内してくれた都市計画部のゴーリッシュ・ウォーグル氏(インド人)によると、現在、PRTの車両は4台だけですが、都市が完成すれば、このシステムのネットワークができるといいます。



「風の塔」
 新しい省エネ技術の“目玉”の一つが「風の塔」。上空にある比較的冷たい風を中庭に流し込む装置です。高さ45メートルの円筒状の塔の天辺から風を流しこみ、頂上付近にある羽根板で風の向きを調整、途中で霧によって冷たくされた空気が流れ落ちます。日本の真夏を思わせる蒸し暑さの中、塔の下に入ると、細かい水滴とともに、天然の風が降りてきて、ほっとします。




 建物の天井には太陽の光を取り入れる仕組みが多く施されています。日本でいえば「天窓」。日本の伝統的な工夫が改めて新鮮に思えました。
 建物の壁は、エンジンの外部と似た横じま模様に遠くからは見えます。これは日中、太陽の熱の吸収を抑え、夜に放熱を容易にする工夫です。壁の素材にも同様の効果を生む軽い素材が使われているといいます。
 また、敷地内に建てられたリサイクルセンターでは、廃材がコンクリート、木材、金属などに仕分けされ、建設で生じた廃棄物の96%を進行中の建設に再利用しているといいます。掘削された土も埋め戻すため、保存されています。

電力部門
 UAEの再生可能エネルギー推進計画「マスダール計画」の電力部門、「マスダール電力」は、アブダビから120キロ南のザヤド市に中東で最大の10万キロワットの太陽光発電所を、アブダビ南西250キロのシルバニヤス島で3万キロワットの風力発電所を建設しています。また、イギリスの洋上風力発電所建設やスペインでの三つの太陽熱発電所建設にもかかわっています。
(この項おわり)(アブダビ=伴安弘 写真も)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年6月28日付掲載


化石燃料のオイルマネーで潤っているアラブ首長国連邦ですが、その国が自然エネルギーに攻勢的に取り組んでいるって学ぶところが多いいですね。
石油もいずれ枯渇するわけですから、次世代もエネルギーの主役を担おうと戦略的な取り組みをしているんですね。
コメント
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