こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

わが子を嫁に出す気持ち

2011年04月20日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
こんなことがあった。


某科の医者(少なくとも私より一回り年下)

「先生、明日大学の講義頼まれちゃって、その時にいいマクロ写真一枚出したいんですが、すごい!というようなのもらえませんか?」
「は?・・・自動販売機じゃないんだけど
しばし呆然とした後、「あのさ、先生、それどういう事?先生、この病院来たの、この4月でしょ?先生の症例なんて無いよ。第一、これまでの症例だって、先生の先輩たちが丁寧に出してきたものだし、切り出しとかだって、どれほど丁寧にやっているかわかってる?
「(しばし無言)」
何を考えているのだろう・・・

「いや、ホントはその講義、某科の部長が頼まれたんですけど、その先生が行けないっていうんで」
「それで、先生にお鉢が回ってきたと
その部長には私は恩義があり、しぶしぶながら応じることにした。
「じゃあ、一緒に探そうか」
マクロ写真だったら、病理診断支援システム内に保存してある写真から適当に選べる。

「病理に来ればこう言うのがいつでもすぐに手に入るなんて思ってちゃだめだよ
「ハイ、分かってます」
とか言いながら、すでにUSBメモリを差し出している。
その手を眺めつつ、『しめしめ判った、これからも使わせてもらおう』だろうな?と思いながら。
「じゃ、この写真でいいね。わが子を嫁に出す気持ちだよ
「ハイ、ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。」
「せいぜい良い講義をしてください

こういう、「病理医=自動販売機」的思考の臨床医への対応は不可能なので、今日のところは、感想なし。これでおしまい。




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4 コメント

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ナイスです。 (ろどりぃ)
2011-04-21 09:36:24
お疲れ様です。でも本当にこんな臨床医(たとえキャリアが同じ位でも)が周囲に頻発してしまうと大変ですね、というか本当に気がおさまらない。私の周囲も以前はこんな臨床医ばかりでした。今、大学を出ているので、若干このような無礼な臨床医は少ないのですが。大学時代、臨床のいうこと聞くのが病理の役目だろう、みたいな失礼なことを言う某外科系臨床Dr(自分より学年は上だったが)がいて、余りにも態度が無礼で本当に頭にきたので、”病理医が何でも臨床のいうことを聞くと思っていること自体、大間違いなんだよ!。ウチらはアメリカに男芸者のように振る舞う国連軍じゃあないんだよ!”って少々キレてしまいました。発言内容に少々政治内容が含まれたために、後ほど、”あの病理医は共○党だ”とか、”気が違っている”みたいなことを言われましたケドネ・・・。若い時にはこんなこともありました。若気のいたりか、それとも今、年をとって丸くなったのか・・・・。
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いますいます (ある)
2011-04-23 13:40:05
市中病院で、1年目の研修医が「学会発表に使うミクロの写真が欲しい」と言ってきたそうです。上の先生は写真をあげるだけでなく、顕微鏡を見ながら組織の所見を説明しようとしたそうです。そうしたら何と、「忙しいので写真だけくれればいいんです!」って言われたそうです。

自分がその場に居合わせたら、ガツンと怒りつけたかったです。
でも先生は「ごめんね」と言って写真を渡したそうです…。
こういう時にきちんと注意しないと、その研修医はずっと病理医を「学会発表のお手伝いさん」「認定医試験用の解剖レポートを書いてくれる人」と思い続けるでしょうね。

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研修医の態度は上司の教育を反映してます? (ろどりぃ)
2011-04-23 17:38:41
お疲れ様です。おそらくですが、私が想像をするには研修医の振る舞いは上司(臨床医)の病理医に対する日常の態度・考えを反映しているものと思われます。つまりは、学会発表をする研修医の先生にも当然、指導する臨床の先生がいる訳でして、その指導医(臨床)が病理医に対して普段から小馬鹿にするというか、かなり失礼な態度をとっている(陰で”あの病理医って使えないよね・・”みたいな悪口を言ってみたりとか・・・)からでしょう。こんな雰囲気の中では、自然と研修医も同じような態度をとってしまうんだと思われます。自分も臨床研修の時、医局長クラスで病理医の悪口ばかりを言っている先生がいたケド、やはりその科全体が病院病理部を馬鹿にするような雰囲気にはなっていました。でもそのような臨床Drは、ある意味では損をしちゃっているのだと思われますが(いざという時に、しっかりと協力してくれる病理医がいないと思う)、自分自身では気付いていないのでしょうね。
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Doctor's doctor (colocolokenta)
2011-04-23 19:20:59
ある若い内科医「私、炎症性腸疾患の勉強したいんです」
その上司「そうなんですよ、先生方よろしくお願いします」
私の上司「是非、病理も見に来てください」
ある若い内科医「ハイ」

それから、2週間。その間にも、興味深い症例が出ていたが、その若い内科医が病理に来た痕跡はありません。
こうして、その若い内科医は病理を、少なくとも病気の一側面を知ることなく、過ごしていくことになるのでしょうね。
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