病理とだけいうと、実験を主とした仕事にしている基礎医学者、すなわち病理学者のように聞こえるが、私のように病院に勤務して日々診断を行っている病理医は臨床医である。
臨床医にとして研究、発表を行っていくには、日々の症例から興味深い点を見つけて、まとめていくしかない。ここ10年である興味深い症例が数例集まった。そのうちの一例は臨床が症例報告をしているのだが、まとまったものとしてはまだない。こういうのは不思議なもので、10年で数例しか経験できなかった症例でも、自分のところでまとまってくると他所でもたくさん集まっていて、世に出す準備をしているのではないかと、にわかに焦ってくる。
ということで、不肖コロ健、この症例について論文を書こうと、現在構想を練っている。
まだ、症例が集まったというだけの状態なので、この先いろいろ困難が予想されるが、一番大変そうなのが対照症例の設定。数例集まったら、似たような症例とか、全くの正常症例だのを集めて比較検討せねばならない。これらをどう選んでどう論陣を張るかを考える。
こんなふうにして、論文の構想を練っているこの時期が、最も大変で、最も楽しい。