
日刊ゲンダイに連載中の番組時評「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ朝日のドラマスペシャル「死と彼女とぼく」について
書きました。
本格女優の道開いた
吉永小百合の“後輩”
吉永小百合の“後輩”
21日深夜、ドラマスペシャル「死と彼女とぼく」(テレビ朝日)が放送された。
主人公は死者の姿を見たり声を聞いたり出来る女子高生(三根梓)。ビルの屋上から転落死した女性建築士(櫻井淳子)と出会う。警察は自殺と断定したが、実際は設計プランを奪った同僚(袴田吉彦)に突き落とされたのだ。三根は、恨みに満ちた櫻井が無事に旅立てるよう奔走する。
脚本は「世にも奇妙な物語」などの演出家でもある落合正幸が手掛けた。川口まどかの原作漫画をベースに、死者たちと向き合うことで、逆に“生きること”を大切にしようとするヒロインを巧みに造形していた。
しかし、このドラマで注目すべきは、特殊な設定にも関わらずハツラツと演じた三根梓である。女性誌のモデルとして知られる三根だが、今回がドラマ初出演にして初主演。大きなプレッシャーの中での挑戦だったはずだ。
現在20歳の三根は、なんと早大政経学部在学中の現役学生。彼女にとってこのドラマは、大学生が就職活動の一環で夏休みに体験する、企業での「インターンシップ」に当たるのだ。しかも、うまくいけば本格的女優業への道が開ける。そりゃ頑張るしかなかったろう。
まずは及第点という結果だが、遠く吉永小百合を望む“早稲田女優”に名を連ねることができるかどうかは、今後の精進にかかっている。
(日刊ゲンダイ 2012.09.26)