永遠なるサグラダ・ファミリア
〜“未完”の世界遺産 2023〜
6月30日(金)深夜24時45分~55分
*7月1日(土)午前0:45 〜 0:55
東京国立近代美術館で開催中の
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」。
スペイン・バルセロナで
今日も建設作業が続く「未完の聖堂」の
最新の姿を美しい映像でお届けします。
(番組サイトより)
永遠なるサグラダ・ファミリア
〜“未完”の世界遺産 2023〜
6月30日(金)深夜24時45分~55分
*7月1日(土)午前0:45 〜 0:55
東京国立近代美術館で開催中の
「ガウディとサグラダ・ファミリア展」。
スペイン・バルセロナで
今日も建設作業が続く「未完の聖堂」の
最新の姿を美しい映像でお届けします。
(番組サイトより)
ギャラクシー賞の今後
5月31日、第60回ギャラクシー賞(放送批評懇談会主催)の贈賞式が行われた。メインイベントは、すでに公表されていた「入賞作」から選ばれる「大賞」の発表だ。
今回、「テレビ部門」では大賞候補といえる入賞作が14作品あった。ラインナップを見ると、2022年におけるテレビの“成果”が概観できる。
14本のうち、ドラマは連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK)、「エルピス-希望、あるいは災い-」(関西テレビ放送)、そして「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ放送網)など5本だ。いずれも高く評価された作品であり、ドラマの豊作年だったことがよくわかる。
残りの9本はドキュメンタリーなどのノンフィクション系だ。決定的な物証も自白もないまま有罪となった事件を、死刑執行から20年以上を経て問い直し、文化庁芸術祭賞の大賞を受賞したBS1スペシャル「正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮~」(NHK)。
安倍晋三元首相銃撃事件で明らかになった、日本の政治と旧統一教会との深い関係を掘り下げ、いち早く報じた報道1930「激震・旧統一教会と日本政治~問われる政治との距離感は」(BS―TBS)など、こちらも秀作が並んでいた。
最終的に、テレビ部門の大賞に選ばれたのは「エルピス」である。冤罪事件をテーマに、権力や忖度や同調圧力などに挑む者たちを描いただけでなく、メディアのあり方にも一石を投じる優れたドラマだった。
ただ、この結果を知った時、強く感じたことがある。長い歴史を持つギャラクシー賞だが、そろそろドラマとドキュメンタリーを同じ「テレビ部門」で審査する形を変えてもいいのではないか。
賞の審査は最終的に優劣を決めることになる。ドラマの「エルピス」が大賞で、「激震・旧統一教会と日本政治」が優秀賞、「正義の行方」は選奨という序列だが、ジャンルという足場が異なる作品を同じ土俵に上げて審査することに、どこか無理はないだろうか。
放送に関する他の賞はドラマ部門とドキュメンタリー部門が分かれているものがほとんどだ。「エルピス」の大賞に拍手を送りつつ、ギャラクシー賞の今後を思った。
(しんぶん赤旗「波動」2023.06.29)
当初は「ドクターX」(テレビ朝日系)のパロディーかと思った。先週幕を閉じた「Dr.チョコレート」(日本テレビ系)である。何しろDr.チョコレートこと天才外科医・寺島唯は10歳なのだ。
「あちらが熟女ドクターなら、こちらは少女だ!」などと、企画・原案の秋元康御大なら考えそうではないか。
物語の設定も奇想天外だった。唯(白山乃愛)の父(山本耕史)は天才心臓外科医で、母(安達祐実)は長寿遺伝子の研究者。幼い頃から外科手術のシミュレーションに励み、高度な医療技術を身に付けたという。
2年前、両親が爆発事故を装った手口で殺害される。この時、父の愛弟子だった野田哲也(坂口健太郎)の右腕を切断する手術を行い、命を救ったのが唯だ。以来、野田は唯の代理人「ティーチャー」となる。
このドラマ、白山なくしては成り立たなかった。というか、昨年の「東宝シンデレラ」オーディションで最年少グランプリに輝いた白山の「女優デビュー」こそが、最大の目的だったのかもしれない。
そんな大人たちのもくろみはともかく、とびきりの笑顔と生真面目な演技で最後まで走り切った白山に拍手だ。
また主演でありながらティーチャー役に徹して白山を支え続けた坂口も見事だった。7月には、主演らしい主演作「CODE-願いの代償-」(日本テレビ系)が始まる。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.06.28)
低い認知度を逆手、笑い誘う熱演
カメラのキタムラ
リユース「キタムラ新たな旅立ち」篇
カメラのキタムラのCMといえば、2017年から出演している安田顕さん。
新作のリユース「キタムラ新たな旅立ち」篇では、伊藤沙莉さんと共演している。
田舎道のバス停。乗車する人影。走り出したボンネットバスを追いかける2人。
突然、安田さんが「キタムラ!お前、販売だけじゃなく買取も始めたらしいな!」と呼び掛ける。
しかもカメラ以外に時計やブランド品も買取の対象となるらしい。
伊藤さんも走りながら訴える。
「キタムラ君、カメラの印象が強いから、ブランドのキタムラとか、時計のキタムラとか、ちゃんと言わないと伝わらないからね~!」。
つまづいて倒れ込む安田さん。気遣う伊藤さん。そして2人が声をそろえて叫ぶ。
「キタムラ、頑張れ~!」。
カメラについては実績があるが、それ以外の買取はまだ認知度が低い。
このCMは弱点をさらけ出すことで新規参入のハンデを逆手に取っているのだ。
安田さんと伊藤さんが熱演するほど見る側は笑ってしまう。また笑えるからこそ印象に残る。何とも心憎い演出だ。
(日経MJ「CM裏表」2023.06.26)
私の弟(碓井純二)は、
故郷の信州で
歯医者さんをしています。
歯科医としてはもちろん、
古いオーディオ機器を
再生する腕もかなりのもので、
マニアの間では
知られた存在のようです。
そして、
再生のプロセスやコレクションを
ブログで公開しています。
そのグログ「浪漫紀行」で、
若き日の是枝裕和監督の
テレビドキュメンタリー
「もう一つの教育~伊那小学校春組の記録」と、
私との関係が
紹介されていました。
テレビマンユニオン時代、
後輩の是枝さんと一緒に
ATP賞優秀賞を受賞した、
懐かしい作品です。
弟のブログ「浪漫紀行」はコチラです。
↓
恐るべき強さの弟子を持った師匠
伝えたい、その信条とは?
杉本昌隆
『師匠はつらいよ~藤井聡太のいる日常』
文藝春秋 1760円
今年4月から6月にかけて、将棋の第81期名人戦七番勝負が行われた。渡辺明名人に挑んだ藤井聡太は四勝一敗で名人位を獲得。史上最年少の七冠となった。
将棋界のタイトル戦は竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖の8つだ。今や藤井が手にしていないのは王座だけとなった。恐るべき強さなのだ。
著者はそんな藤井七冠の「師匠」である。プロの棋士になるためには日本将棋連盟の養成機関「奨励会」に入らなければならない。その際、師匠につくことが必要とされる。聡太少年が著者の「弟子」となったのは小学4年生の時だった。
プロとして30年以上のキャリアを持つ著者は現在八段。本書は週刊誌に連載されたエッセイ集だ。
対局時のマナーから勝負メシ、ライバル、パーティー、家族サービスまで、将棋と棋士をめぐる多彩な話題が披露されている。とはいえ、やはり興味を引くのは藤井七冠に関する話だ。
たとえば、その積極的な将棋には「攻め」「果敢」「決断」といった言葉が似合うと著者。高度な技だけでなく、その前向きな姿勢がファンを魅了する。
また七冠が持つ常識を超える感性。「普通はこう指す」という常識に挑戦するのが藤井将棋であり、「意表をつくようでも深い研究と読みに裏付けられている」。奇をてらう指し方ではなく、常に「まっすぐ」な将棋なのだ。
面白いのは、弟子の対局における師匠の立場だ。スポーツの監督は「そこを狙え」などのアドバイスが可能だが、将棋では「助言」の反則となってしまう。「実に歯がゆい」と言いながら、著者は楽しそうだ。
さらに師弟の「理念」も明かしている。師匠は技術や棋士魂を弟子に伝承し、若い弟子はひたむきさを師匠に伝える。いわば分け合う関係だ。
「人生は諦めなければ負けない。なので、倒れるまでは前を向く」という師匠の信条もまた弟子に受け継がれている。八冠となる日もそう遠くはない。
(週刊新潮 2023.06.29号)
今期ドラマの多くがゴール間近となった。連ドラの最終回は作品全体の評価につながる勝負どころだ。
今週最終回を迎える「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」(TBS系)も例外ではない。
いや、それどころか「最も注目すべき最終回」と言っていいかもしれない。なぜなら、決着をつけなくてはならない「課題」が結構あるからだ。
2023年春、美容師の直哉(山田裕貴)や消防士の優斗(赤楚衛二)ら普通の人々が乗った電車が30年後の未来にタイムワープしてしまう。
深い森の中での集団サバイバルが続いていたが、先週、ようやく過去の世界に戻ることができた。
しかし、そこは3年先の26年5月だった。この年、小惑星による大災害が起きることを知る彼らを、周囲は好奇と疑いの目で見るばかり。生還の喜びも無力感と絶望感へと変わってしまう。
さあ、この状態での最終回だ。まずは世界を荒廃させる小惑星衝突問題。映画「アルマゲドン」のような展開は無理だとしても、地球規模のパニックをどう回避するのか。
また、これまで果敢に運命を切り開いてきた直哉と優斗だが、先週いきなり心が折れてしまった。
2人と紗枝(上白石萌歌)との関係も含め、見る側が納得のいく大団円は用意されているのか。
物語における「ペンディング(保留)事項」を一気に処理すると同時に、後味の良さも残してほしい。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.06.21)
NEXCO中日本のキャラクター「みちまるくん」
海老名SAの名物「メロンパン」
キティちゃんとのコラボです。
メロンパン、でっかい!(笑)
【新刊書評2023】
週刊新潮に寄稿した
2023年1月後期の書評から
西野智彦
『ドキュメント通貨失政~戦後最悪のインフレはなぜ起きたか』
岩波書店 2750円
1971年、当時のニクソン米大統領が「金とドルの交換停止」を含む経済政策を発表した。いわゆる「ニクソン・ショック」だ。これにより1ドル=360円の固定相場制は終了。日本経済は大きく揺れ動く。本書は戦後最大級のインフレの遠因となった「失政」のドキュメントだ。当局者たちは何をして、何をしなかったのか。またそれはなぜだったのか。今、半世紀前の失敗から学べることは多い。(2022.12.23発行)
小田嶋隆『諦念後~男の老後の大問題』
亜紀書房 1760円
惜しくも昨年6月に亡くなった著者。本書は還暦を過ぎた頃に書いていた〝幻の連載〟だ。「進行中の老化を実際の取材と生身の身体感覚を通じて紹介する生体実験」と称しており、コラムというよりルポルタージュに近い。スポーツジムに通う。断捨離を試みる。鎌倉彫もやってみた。それどころか、脳梗塞で入院までしてしまう。いずれも小田嶋節炸裂のルポで、泉下の著者に拍手を送りたくなる。(2022.12.28発行)
群ようこ『足りる生活』
朝日新聞出版 1430円
前期高齢者となった著者が二つの難題に挑んでいく。一つは本を減らすこと。すっきりした空間で暮らしたいが、それを阻むのが所有する大量の本だからだ。本好きにとって本の処分は痛みを伴う作業であり、著者の試行錯誤は参考になる。次は新たな住まいを探すことだ。広さや家賃が今の自分に合っているのかの検討に始まり、物件探しの旅に出る。泣き笑い満載の引っ越し大作戦、その顛末は?(2022.12.30発行)
中沢新一『今日のミトロジー』
講談社 2420円
ミトロジーとはフランス語で神話のこと。本書では現代の日常生活に潜む神話について考察している。近代という時代の精神を象徴する「オリンピック」。この世に完全な正義はないことを示す「ウルトラマン」。ミニチュア化によって日本人の自然哲学を表現する「盆栽」。そして食べる瞑想としての『孤独のグルメ』。現代的事象と古代的事象を結びつけ、聖なるものの断片を見つけていく試みだ。(2023.01.11発行)
関 容子『名優が語る演技と人生』
文春新書 1320円
俳優と女優の絶妙なマッチングによる、8つの対談が並ぶ。仲代達矢×岩下志麻、松本白鸚×鳳蘭、小林薫×吉行和子、西島秀俊×梶芽衣子などだ。岩下に向って「あなたはラブシーン、うまいんですよ」と仲代。映画『女囚さそり』や『修羅雪姫』を見て、梶のすごさを知ったという西島。小林と吉行は共通体験であるアングラ芝居の魅力を語り合う。よき対談は生身の人間が発生させる化学反応だ。(2023.01.20発行)
丸谷才一:編『作家の証言 四畳半襖の下張裁判―完全版』
中央公論新社 3960円
本書は1979年刊行の同名本に、永井荷風作とされる当該問題作「四畳半襖の下張」を加え、完全版として復刻したものだ。日本の文学作品を対象に「わいせつとは何か」が争われた歴史的裁判の記録である。被告人は野坂昭如。特別弁護人が丸谷才一。証人として五木寛之、井上ひさし、吉行淳之介、開高健などが法廷に立った。その証言自体が彼らの文学論・人生論として読める、豊かな一冊だ。(2023.01.25発行)
【新刊書評2023】
週刊新潮に寄稿した
2023年1月前期の書評から
伊集院静『旅行鞄のガラクタ』
小学館 1870円
全日空機内誌『翼の王国』連載のエッセイ、その数年分が一冊になった。テーマは「小さな土産品」だ。松井秀喜選手が雨上がりのグラウンドで逆転ホームランを打った夜に入手した、ヤンキースタジアムのレインコート。また取材旅行先のパリで愛用したミュージアムパスは、ルーブル美術館やベルサイユ宮殿などにフリーパスで入館できる優れもの。小さな品々は記憶の旅への搭乗チケットだ。(2022.12.03発行)
山口健:編『先輩の本棚』
文化通信社 1100円
人生の先輩たちが若者に向けて「推し本」を挙げたのが本書だ。しかし若者だけに読ませるのはモッタイない。思わぬ人が思わぬ本を紹介して刺激的なのだ。糸井重里がドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』。法然院貫主・梶田真章は星野道夫『旅をする木』。ヨシタケシンスケの絵本『りんごかもしれない』を推すのは養老孟司だ。選者が引いた一本の補助線が、読む側に思わぬ発見をもたらす。(2022.12.15発行)
松本清張『歴史をうがつ眼』
中央公論新社 1430円
歴史に関する講演と対談で構成されている。中軸は司馬遼太郎とのロング対談「日本の歴史と日本人」だ。古代史の諸説は幻想だとする司馬。幻想と片づけられると不満だと言う清張。朝鮮半島と日本の関係や日本人北方民族説などをめぐって、丁々発止のやりとりが続く。日本文化がテーマの講演や歴史学者・青木和夫との対談は今回が単行本初収録。読後は『古代史疑』などを読み返したくなる。(2022.12.25発行)
井上ひさし『うま~馬に乗ってこの世の外へ』
集英社 1870円
昨年、テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』で公開された、162枚の未発表戯曲である。書かれたのは大学在学中の昭和34年だ。舞台は16世紀の羽前の国(山形県)。ある村に、病気の老母と「黄金の糞をする馬」を連れた旅人がやって来る。ざわめく村人たちと有力者。その若者は、ムラ社会を支配する、常識という名の「まやかし」を次々と破壊していく。没後12年の著者から届いた贈り物だ。(2022.12.10発行)
フリート横田『盛り場で生きる~歓楽街の生存者たち』
毎日新聞出版 2200円
時代と共に変容する盛り場を住処としてきた人たちがいる。「欲望を持つこと、それを適切に引き受けること自体には、なんら罪はない」というのが著者のスタンスだ。登場する「生存者」は11人。上野の娼館で働き暮らした元男娼。都市の歓楽街も地方の温泉場も知る、現役のストリッパー。東京と大阪を行き来した元トルコ嬢などだ。それぞれ何を守って、昭和の歓楽装置の裏面史を生きたのか。(2022.12.30発行)
五箇公貴『サイコーサウナ』
文藝春秋 1760円
現在のサウナブームのきっかけとなった、深夜ドラマ『サ道』。この番組のプロデューサーである著者が、選りすぐりのサウナ施設とそこで出会った人たちを紹介するのが本書だ。凍った湖が水風呂の北海道上川郡「北海道アヴァント」。東京都墨田区の「黄金湯」はDJブース付きの下町ニューウエイブ銭湯。いずれも経営者の熱狂と酔狂の産物であり、サウナ好きなら一度は訪れてみたい聖地だ。(2022.01.10発行)